異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎに転生した主人公の異世界飯テロチーレム冒険ファンタジー!!~

きーす

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第6章 冒険 -帝国編-

不穏

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「へぇー、ここがミレーなのねー。いつものことだけど、初めての街はドキドキするねー」

「何か珍しいものがあるといいけどな」


 無事にミレーに着いた俺たちは、街中を馬車で走っていた。

 まず向かうのは当然のように市場だ。
 これに関しては、食いしん坊の嫁ズたちも何も言わないのだ。

 シェリルが言うには、オルティアに近いからフィデールと売っているものについてはそんなに変わらないらしいが、それでも帝国にしかないものもチラホラあるとのことだ。


「おぉー!! これは懐かしいなー!!」

「本当ね、農村にいた頃を思い出すわー」


 レーヴさんとルーチェさんが何かを手に取って話している。

 ん?
 もしかして、アレって大豆じゃね?


「レーヴさん、それは何ですか?」

「シーマくん、これは豆だよ。あまり料理向きじゃないんだけど、食べると腹持ちがよくてね…。ウチは裕福じゃなかったから、農村にいた頃はよく作ってたんだよ」


 マジか...。
 これはキマリじゃん!!


「レーヴさん、これもフィデールで作ってくれませんか?」

「別に構わないけど、大して美味くないぞ?」

「はっきりとは言えないですが、いろいろと使い道がありそうなんですよねー」

「分かった。シーマくんが言うならやってみるよ」

「ありがとうございます。シェリル、これ全部買い占めてくれ!!」

「はーい」
 
「おいおい、買い占めるほどなのかよ!!」

「一応ですよ、一応笑」


 前の世界の知識があればこの豆は化けるんだ。買っておいて損はない。



 思わぬ食材との出会いに嬉しくなった俺は、この辺の魔物の状況を聞くために冒険者ギルドに寄った。
 クラリスとフィリア、そしてカノンについてはとりあえずの顔バレ対策はしてるが何かあっても面倒なので、ギルドには俺とセレナだけで入ることにした。


「この辺から国境近くって、魔物の状況はどんな感じですか?」


 俺は早速受付嬢に聞いてみた。


「魔物は少ないんですが、最近冒険者達の間で妙な噂があって、そのせいで国境近くは冒険者は多くなってますね」

「妙な噂って?」

「オルティア側の国境近くで、オルティア王国の第3王女フィリア様を見かけたという噂です」

「「!!」」

「噂の出どころが分からないので何とも言えませんが、お付きは女性ばかりだったとう話もあって、冒険者達が色めき立っているみたいなんです」

「...」

「そうなんですか。とりあえずは魔物がいっぱいいるわけじゃないと聞いて安心しました。それでは」

「はい。お連れの方も可愛らしいので、くれぐれもご注意下さいね」


 俺とセレナはすぐに冒険者ギルドを出て、急いで馬車へ飛び乗った。


「マズいことになった。街を出るぞ!!」

「シーマ、何かあったの?」

「悪いがシェリル、話は後だ。出来るだけフィリアを隠して街を出る!!」

「分かった」

「クラリスとカノンも変装は外すなよ!!」

「「はい!!」」


 俺たちは大急ぎでミレーを出た。

 俺とレーヴさんで御者台にいるようにしたのが功を奏したのか、意外とあっさり出れたのだった。




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