異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎに転生した主人公の異世界飯テロチーレム冒険ファンタジー!!~

きーす

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第6章 冒険 -帝国編-

潜入開始

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「さて、いよいよね」

「そうだな」


 俺たちは今、カイゼル帝国の主要都市であるテンペスタ近くで野営している。
 フィリアが言うように作戦決行の時だ。


「それじゃ、ひと足先に両親の元へ戻ります。皆さんもどうか気をつけて」

「うん。大丈夫よ」

「カノンもしっかりね」


コクコク


 クラリスとフィリアの言葉に頷いたカノンは野営地を出て、テンペスタ内の両親の元へと向かった。


 昨日の夜、みんなで決めた作戦はこうだ。
 ・カノンは1人で普通に両親の元へと戻る
 ・両親を説得したら預けておいたアイテムバッグに荷物を入れる
 ・夜のうちに全ての準備をして、明け方になる頃に刀へ魔力を注入する
 そこまでが第1段階だ。

 実はココにカノンにも話していないことがある。
 シータを預けることの利点だ。
 まだカノンにはシータが魔刀であることを伝えていないし、実際にはカノンの魔力がシータに注入されることはないのだが、シータには魔力を感じたら俺に知らせるように伝えてある。それによって俺は位置を割り出せるというわけだ。

 1つ懸念があるとすれば、カノンが両親を説得出来るかどうかだが、それはカノンに任せるしかない。
 俺はカノンが、自分の未来は自分で切り開いてくれることを信じてるよ。



 そして、明け方近くなってから俺たちは野営地を出発してテンペスタ近くに馬車を停めた。それも、事前にカノンに聞いていた通り、カノンの家に近いところだ。
 俺だけが外に出て、馬車には認識阻害と魔除けの魔道具をかけつつ、なおかつバリアの魔法で覆っておく。


「それじゃクラリス、何かあったらルミナス経由で教えてくれ」

「分かりました。シーマさんも気をつけて下さいね」

「あぁ。無理はしない…と思うけど…」

「そんなんで本当に大丈夫なの?笑」

「たぶん何とかなるよ、フィリア」

「もう…」

「セレナとシェリルも、頼んだぞ!!」

「「分かった!!」」

「それじゃ、行ってくる!!」


 俺は馬車から離れてテンペスタの出入口へと向かう。

 馬車は嫁ズ+王女の女性のみになってしまうという不安はある。だから、あまり人が行動しない明け方を選んで行動するようにしたのだ。
 一応セレナとシェリルがいるし、よっぽどのことが無い限りは大丈夫だとは思うけど、それでも心配なものは心配なんだな…。離れてみるとよくわかる。


「お前、やけに早いな!!」

「いやいや、逆ですよ。あまりにも遅くなったからこの時間になっちゃったんです笑」
 
「そうか、それは大変だったな。ゆっくり休めよ!!」

「はい。ありがとうございます」


 俺は衛兵と軽いやり取りをしてテンペスタの中に入った。

 これからが本番だ。
 否応にも緊張が走る。
 こういった緊張はクラリス救出の時に経験済みなんだけど、慣れないもんなんだな…苦笑

 

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