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第6章 冒険 -帝国編-
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しおりを挟む「全く、シーマさまさまだな」
イルマさんが出ていったと思ったら、今度はロナルドさんかよー。
っていうか、まだこの宿にいたんだ...。
あれからまたフィリアと話していたのかな?
「何がですか?」
「すっとぼけやがって...。王家との繋がりは言うまでもないが、イルマさんやアイゼンの幻陽と一緒にフィデールに来れたことはとてつもなくデカいんだよ!!」
「はぁ...」
「自覚なしかよ!! まぁいいか。それはそれでシーマらしいな」
「そんなことよりロナルドさん?」
「あーぁ、お前にとってはそんなことなのかよ...。で、何だ?」
「お願いしてた新しい宿のことなんですけど...」
「おう、そのことか!! もう材料は揃ってるらしいから組み立てと内装だけだが?」
「それなんですけど、2階部分に大きめな部屋を2つ作ってもらえないですか?」
「ん? お前らが住むのは3階のはずだろ? あぁそうか、そういうことか。分かった、上手くやっといてやるよ」
「ありがとうございます。それと...」
「何だ?」
「シェリルから聞いてるかもしれませんが、大きめの馬車をお願いしたいんですよ」
「あぁ。シェリルから聞いてるぞ。2頭引きにしたいんだって? 大丈夫だ。それも俺に任せとけ!!」
「それと、最後にもう1つお願いが...」
「まだあんのかよ!!」
「すみません...。新しい宿を置いておける土地も確保しておいて欲しいんです」
「土地? お前らフィデールで暮らすのか?」
「いえ、まだ決まったわけではないんですけど、せっかく作っていただく宿ですからちゃんと置いておく場所も必要かと思いまして...」
「ふーん...。どっちみち建てるにあたって土地は必要になるからな。その場所が変わるだけだ。これも問題ないぞ」
「ありがとうございます。それと...」
「今度は何だよ!!」
「ロナルドさんが持ってきた書簡には、近いうちにゼスト国王がフィデールに視察に来ると書かれていました」
「本当か?」
「えぇ。フィリアが言ってましたので間違いないかと」
「それは願ってもない絶好の機会だ。それまでにこの街の商いと宿をもっとデカくしてやる!! これから忙しくなるなー!!」
ちょっとロナルドさんが浮かれてるような気がしないでもないので、一応釘をさしておくか...。
「くれぐれも国王の件は内密にお願いします」
「当たり前だ。ここでフィリア王女からの信頼を失うわけにはいかないからな。こっちも水面下で動くことにするさ」
「お願いします」
「それと、こっちからもお願いがある」
「ゲッ!!」
「ゲッじゃねえよ!! こっちの頼みも聞いてくれよ!!」
「あーはいはい。何でございましょう?」
「全く雑な返事しやがって...。帝国から帰ってからで構わないが、フィリア王女と相談して、化粧水とやらの詳細を教えてくれ」
「早いですね。もう取り掛かれるんですか?」
「詳細が分からないことには準備のしようがないからな。そこからどんな形がいいのかを考えるんだ」
「なるほど。わかりました。それについてはフィリアとも話を進めておきますが、それに関連して準備しておいておきたいものがあります」
「何だ?」
「レモです」
「レモ? そういえばほのかにレモのいい香りがしてたなー。わかった。周りに勘づかれる前に丸ごと押さえておく」
「よろしくお願いします」
「お互いにこれから忙しくなるな!!」
「ハハハ笑 申し訳ないですけど、ロナルドさんは相当忙しくなると思いますよ」
「だよな笑」
「すみません...」
「まぁいいってことよ!! それじゃ、引き続きシェリルをよろしく頼むぞ!!」
「はい!!」
ガシッ
俺達は最後に固く握手をして別れた。
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