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第6章 冒険 -帝国編-
本音
しおりを挟む翌日。
シータの言った通り、刀は直ることなく武器屋から持ち帰ることとなった。
宿に帰って来るまでは予定通りだったのだが、ここで予想外のことが起きた。
カノンからみんなに話があるというのだ。
何だろう?
まぁ帝国絡みのことなんだろうけど…。
「わたし、もう少ししたら帝国に戻らないといけないんです…」
みんなが集まった食堂で、カノンが立ち上がって話し始めた。
「ある程度の日数が経ったら帝国に戻らないとお父様とお母様が…」
「全く…噂には聞いてたけど帝国も酷いことするわねー」
「えっ?!」
カノンの話の途中にも関わらずフィリアが言葉を発した。口に出さずにはいられなかったのかな? それも彼女らしいといえば彼女らしい。
「両親を人質にとって、才能のある可愛い女の子をスパイにさせるなんてね」
「ほんとよね」
「その通りです」
フィリアの言葉に、セレナとクラリスが続いた。
「それで、カノン?」
「はいっ?!」
「何よー、そんなに固くならなくてもいいのにー」
「でも…」
「いいのいいの。それで、あなたはどうしたいの?」
「それは…」
「カノンちゃん、ここにいる人達みんながあなたの味方です。素直に言っていいと思いますよ?」
フィリアの問い掛けに対して、躊躇するカノン。そこにクラリスがすかさずフォローを入れてきた。さすがは聖女だ。
「わたしはお父様とお母様とオルティアで暮らしたいです。そして、わがままを許してもらえるならシーマさんの刀をずっと使い続けたい…です」
「「「「「「「「…」」」」」」」」
そうきたかー。
帝国を出たいのかなーとは思ってたけど、両親のことまで考えてるとは…良い子だな。
あとは刀かー。
シータがどうしたいかにもよるけど、とりあえずは後回しでもいいだろう。
「いいんじゃない? お父様とお母様さえ良ければ、オルティア王国は受け入れますよ?」
「え、えぇっ?!」
「ただし、ご両親も納得された上での話よ。ご両親は帝国の貴族とかではないわよね?」
「えぇ、ごく普通の平民です。作物を育てて暮らしていたのですが、わたしの剣術がテンペスタ領主の目に留まってしまったため、今は街中で監視されながら暮らしているのです。わたしは両親を解放してあげたいのですが手立てが何もないんです」
「そう…。それならご両親を引っ張ってくるしかないってことね」
「でも、そんなこと出来るんですか?」
「大丈夫よ、強奪なら任せなさい…シーマさんに笑」
「そこで俺かよ!!」
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