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第5章 冒険 -教国編-

進化?

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「あれ?」

「何でシーマさんが料理してるの?」


 起きてきたフィリア王女とクラリスが俺に声をかけて来た。
 何でよりによってこの2人が先に食堂に来るかなー。一応、君たちはバレちゃいけない存在なんだけどな…。他にも宿泊者がいるんだから少しは気をつけてもらいたいもんだ。
 後から来たイースさんはそれに気付いてるのかすごく不安そうな表情を浮かべてる。あの2人と一緒だもんな…大変そう苦笑 
 あとでレモンの砂糖漬けをあげよう。


「ちょっと早く起きちゃって食堂に来たら、ロビンさんが宿泊代タダにするから手伝えって…」

「そんなこと言ってねえよ!!」

「ハハハッ、ロビンさん冗談ですよ笑 クラリス、俺がお願いして手伝わせてもらってるんだ」

「たまには休めばいいのに…」

「おっ、クラリスが嫁さんみたいな心配してるな!!」

「それが『みたい』じゃなくて、本当の嫁になりたいんですけど…」

「なるほどな、シーマくんの周りにはいっぱい女性がいるから難しいと…」

「そうなんです…。しかも、既に2人の嫁がいますしね…」

「なんと…羨ましいことを!!」

「あっ、ロビンさん。今の言葉を俺がリンダさんに伝えてきますので!!」

「待て待て待て待て!!」


 何回待て言うねん笑
 自分が余計なこと言うからやん。


「何ですか?」

「俺が悪かった………のか? そもそもシーマくんが既に2人の嫁がいるのに、クラリスに手を出してるのが悪くないか?」

「その前にココに3人目がいることをお忘れなく!!」


 おっと。
 ロビンさんが逆襲に転じてきたよ。
 しかも今まで黙ってたフィリア王女もここぞとばかりに参戦してくるし。


「あら、その3人目は私になる可能性が強いんじゃないかしら? あなたにはいろいろと超えなければならない壁があるようですけど、私は今日にでもよろしくてよ?」

「ぐぬぬぅ」


 おいおい。
 クラリスもそんなにフィリア王女を挑発せんでも…。っていうか、この2人は仲が良かったんじゃないのか?


「シーマくんも大変だな。嫁さんが何人かいるとこうなるのか…。俺はリンダ1人で良かったんだな…」


 あら?
 急にロビンさんがトーンダウンしてる。
 やっぱりこういうイザコザは面倒臭いんだろうな
 俺もぶっちゃけ面倒臭いもんな苦笑

 本当にどうしようかなー。
 セレナとシェリルみたいに最初から仲良くしてくれてたらな…。
 
 
「嫁問題は置いておいてだな...、俺がロビンさんを手伝っているのは、俺のブラックバード料理がさらに進化するかもしれないからなんだ」

「アレがさらに進化するの?!」

「あぁ。間違いなく進化するだろうなって思ってるよ」

「それはいつ食べられるの?」


 みんな大好きな唐揚げが進化するとあって、フィリア王女もクラリスも平静ではいられないようだな。無理もないか、俺も楽しみんだからな。


「勿体ぶってもしょうがないし、今日の夜にしようかな? ロビンさん、キッチン借りてもいいですか?」

「あぁ、もちろんだ。俺の分も頼むぞ」

「ロビンさん、ありがとうございます。クラリス、分かってるよな?」

「うん、大丈夫。分かってるよ。私の『今』をぶつけて来るわ」

「頼むぞ」




 この日の朝食は、マスという鮭のような魚の切り身を魚醤で焼いたものだった。
 
 クラリスが以前南風に来た時、こればかり食べていたらしい。

 大好きだった料理をまた食べられてクラリスが大騒ぎしていたが、ロビンさんもそれを咎めることなく温かい目で見守っていた。

 今日、これからクラリスは過去の自分と戦いに行くことになる。
 クラリス、大丈夫だ。
 きっと上手くいくよ。





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