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第5章 冒険 -教国編-
善は急げ
しおりを挟むシェスターが急いでくれたせいなのか、グレイスには思ってたよりも早く着いた。
夕方頃のグレイス到着になるんだったら、エルブライトの時と同様、あえて街の外で宿泊した上で実行する予定だったが、早めに着いたので下見をしておこうということになった。
グレイスには無事に入れて、街の外壁を挟んで中から外へと、外から中へもテレポできることも確認出来た。
まだ時間はあるな。
教会に向けてサーチを展開する。
場所は街に入る時、衛兵に確認済みだ。
ん?
今、ちょうど聖女が1人きりっぽいな。
見張りは交代の時間か?
どうする?
救出に行くか?
ちょっと待て、
今、俺は焦ってないか?
チャンスは分かるが、少し落ち着こう。
まず、テレポは発動出来るし魔力も問題ない。
何か見落としてないか?
侵入時はどうする?
当初はフィリア王女と行こうかと思ったけど、エルピスによって話が伝わってるのであれば、無理に行かせる必要はないし、見張りがいないなら俺1人でもいいよな。テレポを連続発動すれば見つかるリスクも少なくて済む。
救出した後はどうする?
急に消えた聖女を追って騒ぎになるよな…。
そうか、救出した後に馬車が街を出たらかなり怪しまれるな…。しかもまだ街に入ったばかりだし。念の為、逆の出入口から先に出てもらおうかな。そして教会から近いところまで回ってもらおう。
よし。イケる。
「みんな聞いてくれ」
俺はみんなに話始めた。
「今、聖女の見張りはいないようだから、すぐに救出を実行する。俺1人でテレポで行ってくるから、みんなは馬車で街の外へ出て俺たちを待っててくれ」
「シーマくん、大丈夫なのか?」
「はい。ちゃんと考えて出した結果です」
「…わかった。街の外で待ってる。必ず戻って来いよ」
「了解です!!」
「「シーマ…」」
「セレナ、シェリル、俺は大丈夫だから、馬車に乗る人が1人増えることになる。そのための準備を頼む」
「「…わかった」」
「フィリア王女、今さらだけど聖女を連れ去って来ることは国レベルの問題に発展するかもしれない。それでも構いませんか?」
「本当に今さらね。大丈夫よ、私も覚悟は出来てるから。エルピス様のお告げでもあるし、政治的な問題は私に任せてよ」
「よし。それじゃ、行って来る!!」
俺はみんなにそう告げて馬車から降りた。
少しだけ足が震えてるのがわかる。
国を揺るがす程の事件を引き起こそうとしてるんだからな、無理もないよな苦笑
ふぅー。
ひとつだけ深く深呼吸をして、改めて心を落ち着かす。
そして、教会に向けて走り出す。
誰もいない裏手に回り、サーチの精度を高めて聖女の存在をキャッチすると、シータを取り出す。
シータ、頼むぞ。
『まっかせなさーい!!』
俺はテレポを発動した。
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