異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎに転生した主人公の異世界飯テロチーレム冒険ファンタジー!!~

きーす

文字の大きさ
上 下
240 / 413
第5章 冒険 -教国編-

クリスside(セレナ視点)

しおりを挟む


 シーマやシェリルと別れて、私はクリスさん達とグレイスの情報を聞きに冒険者ギルドに行くことになった。

 さすがに教会本部までとはいかないまでも、冒険者ギルドも本部なのでそれなりに大きい。

 ギルドの中に入ると、まだ朝早いせいか依頼を探しているたくさんの冒険者がギルド内をうろついてる。
 

「イースさん…」

「セレナさんも...」


 私達はさりげなくフィリア王女の前後に位置取った。

 これは、私とイースさんで話し合って決めたことなんだけど、変装したフィリア王女の前後を私とイースさんで挟んで、なるべくフィリア王女の存在を見せないようにした。

 そして私達はそのまま受付に行く。


「冒険者ギルドへようこそ。本日はどのような用件でしょうか?」

「僕達はこれからグレイスに行こうと思ってるんだけど、知っておいたほうがいい情報ってあるかな?」

「現在グレイスでは教会関係者の出入りが多いくらいで、これといった問題はありません」

「道中も大丈夫かな?」

「そうですね。魔物が大量発生したというような情報もないので大丈夫かと思います」

「わかった。ありがとう」

「また何でもご相談ください」


 用は済んだから長居は無用とばかりにクリスさんは急いで席を立つ。


「それじゃみんな、行こうか」


 私達はギルドの外に出た。
 何とかフィリア王女のことはバレずに済んだようだが、ここはエルブライトだから油断は出来ない。馬車の中でもフィリア王女を挟むようにして座る。


「イース、セレナもありがとう」


 フィリア王女が突然言葉をかけてきた。


「今ココでフィリア王女の存在がバレたらどんなことになるのか、こんな私でさえも簡単にわかる。だから、感謝なんてすることないのよ。私もイースさんも当然のことをしただけよ」

「うん...それでも、ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして。でも、まだまだこれからが本番なのよ。油断しないでね」

「そうね...そうするわ」


 ギルドが終わったら、後はグレイス側、つまりは南側の出入口でシーマとシェリルと合流して、すぐにグレイスへと向かうことになる。


 シーマとシェリルは大丈夫かしら。

 この待っている時間がとても怖い。
 不安が私の胸を締め付ける。

 私がその場にいても役には立てないけど、本音を言えば、それでも一緒に居たかった。
 もし仮に何かに失敗して殺されてしまうようなことがあったとしても、3人一緒なら後悔することはないから…。

 もし、シェリルが私の立場だったらどう思うのだろうか。私と同じように思ってくれるのだろうか。


「セレナちゃん...あの2人なら大丈夫よ。きっと戻って来るわ」


 私の不安を察してくれたのか、ノエルさんが優しい言葉をかけてくれた。


「ノエルさん、私...」

「一緒に行っておけば良かったって思ってるでしょ?」

「えっ?!」

「でもね、それをしたらこっちが手薄になるわ。シーマくんはね、ちゃんといろいろと考えてフィリア王女をセレナちゃんに任せたのよ」

「...」

「セレナちゃんはそれをしっかりと実行したわ。ギルドでもフィリア王女の顔が見えにくいようにしてくれてたでしょ? そのお陰で何事もなく私達は出てこれたのよ」

「...」

「あの2人が心配なのは分かるけど、2人がセレナちゃんを信じてくれたように、セレナちゃんもあの2人を信じてあげなきゃ。そう...家族なんだからさ!!」

「!!」


 そうだよね...。
 私達は家族...。
 お互いを信じきれないとダメだよね。


「ノエルさん、ありがとうございました。私達は家族なんだから信じぬくことが大事なんだって気付くことができました」

「ふふっ。いいわよね...家族って」

「クシュン!!」


 クリスさんが少し離れたところでくしゃみをした。
 私はノエルさんと目を合わせて、お互いに「プッ」と吹き出した。




「!!」


 私のサーチに、いきなり2つの反応が現れた。
 しかも、真っ直ぐこっちに向かっている。

 シーマがテレポを使った?
 十分有り得るな...。

 ということは、早く街を出たほうがいいということ?
 

「クリスさん、もうすぐシーマとシェリルがこっちに来ます。すぐに出発の準備を」

「了解した!!」





しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...