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第4章 冒険 -王都編-
公表
しおりを挟む冒険者ギルドからアイゼンの幻陽のパーティーハウスに戻ると、エテルナさんとオルテガさんはもちろんだが、既にフィリア王女とアルテさんの他にもセレナとシェリルも来ていた。どうやらフィリア王女がヒーラで嫁ズを拾ってきてくれたようだ。
「相変わらずフィリア王女は早いですね笑」
「だって楽しみにしてたんだもん、悪い?」
「いや、そんなことないですよ。アルテさん、ご無沙汰してます」
「シーマ殿、お久しぶりですな。今日も楽しみにしておりますぞ」
「今日は品数が少なくて申し訳ないんですが楽しんでいって下さい」
今日の食事会に備えてなのか、テーブルが大きいものに新調されていた。
「テーブルが大きくなってますね」
「あぁ、今日は大勢になるからな。新しく買ったんだよ。とはいっても同じものを2つくっつけてるだけだけどな」
それにしても、今日の食事会が決まったのは2日前だ。すぐに買えるなんて金持ちは違うなー。
みんな待ちきれないみたいだし、ボチボチ始めますかね。
「みんな、始める前に話しておきたいことがあるの。特にディオランサにだけど」
ん、何だ?
あれか、遂に公表されるのかー。
「明後日になるけど、貴族会議で遂にあの件が公表されることになったわ。
公表されるのは、私が公務中に魔物に襲われてディオランサに救出されたこと。その報酬として私が今後のディオランサを支援すること、そしてリーダーであるシーマさんの準男爵への叙爵よ」
「シーマもいよいよ貴族の仲間入りか!!」
「フォルティスさんたちも貴族なんですか?」
「おう、一応俺達も準男爵ではあるぞ。それ以上は面倒臭いから上げないように言ってあるけどな」
「シーマくん、何だかスゴいことになってるんだね...」
クリスさんが驚いている。
急にこんな話をしたらそうなるよな。
「そういえば、この件を話してませんでしたね。ちょっと長くなりそうなので、今日のために用意した飲み物を飲みながらにしますか」
俺はそう言って、みんなにホットレモネードを渡していく。
「あっ、これ美味しいー!!」
「そうだな、これは落ち着く味だ」
レモネードは万人受けする味だからな。よっぽどでなければ問題ないはずだ。
「ねぇシーマ、これって簡単に作れるの?」
「えぇ、とても簡単ですよ。エテルナさんでも作れるでしょう」
「本当? 教えて教えて」
「レモを切って砂糖に漬けて、ちょっとハチミツを入れるんですよ。それを2~3日そのままにしておけば出来上がりです。そのまま食べてもいいんですが、今回は飲み物にしたかったので、少しカップに入れてお湯を足してます」
「聞くだけだと本当に簡単そうね」
おっ! エテルナさん作るのか?
「シーマ殿、このレシピは王家にいただけますかな?」
「アルテ、このレシピをどうするつもりなの?」
アルテさんが絡んできたと思ったら、それをフィリア王女が不思議がっている。
「このレシピを王家で管理して、その収益をシーマ殿にお渡しするのです」
「なるほど。それもアリね。シーマさんもそれでいいかしら?」
「アルテさん、俺は今回の件で王家からたくさんの報酬をいただいてます。さすがにこれ以上は...」
「シーマ殿…。今回の件で命を救われたのは私も同じなんです。私からシーマ殿にしてあげられることなんてこれくらいのことしかないんです」
「アルテ...」
「アルテさん。...わかりました。そこまでおっしゃるなら、このレシピはアルテさんに預けることにしますので、あとはお任せします」
これで良かったんだよな...。
「この飲み物はあっという間に王国内に拡がるよね...。レモと砂糖とハチミツか...。砂糖とハチミツは難しいかもしれないけど、レモだけでも多めに押さえておくように会長に言っておこうかな」
シェリル、商人の顔になってるぞ笑
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