191 / 413
第4章 冒険 -王都編-
帰り道
しおりを挟む「シーマくん達は馬車も持ってるんだね…」
山を下りてきて、隠していたシェスターと合流した時にクリスさんが呟いた。
「シェリルはルート商会会長の娘なんですよ。その伝手でもらっちゃいました」
「ルート商会っていったら結構大きいところよね。そこの娘さんがシーマくんのお嫁さんになるなんて驚きね」
「まぁそうですね。俺もビックリです笑」
「でもノエルさん、 ボクが嫁になったくらいで驚いてたら、王都に着いた時に気絶しちゃいますよ。ね、セレナ?」
「そうだね…」
「えぇー。王都で何があるの?」
「「それは着いてからのお楽しみです」」
「って、彼女達は言ってるけど、シーマくんはどうなの?」
「嫁たちが喋らないのに、俺が喋る訳にいきませんよね笑」
「わかった。そこまで言うなら王都まで楽しみにしておくわ。気絶はしたくないけどね笑」
「「「そうして下さい笑」」」
エリシオンも乗せた馬車は、俺とシェリルが御者を交代しながら、シェスターの頑張りもあって、夕方頃には王都までの距離の半分くらいは戻って来れた。
岩場のあるちょうどいい場所があったのでそこで家を出して泊まることにした。
「クリスさん、ノエルさん。今日はこの辺で泊まりますね」
「うん」
「わかった」
俺はいつものようにアイテムボックスから家を出して、魔道具をセットし、バリアを張る。
ふと振り返るとエリシオンの2人が口を大きく開けたまま凍りついていた。
あっ、ヤベー。
何の説明もしてなかったわ笑
「これはいったいどういうことなんだい?」
「王都に着く前に気絶するかも」
まぁそうだろうよ。
初見ではそれが正しい反応だと思う。
「詳しいことは中に入ってから説明しますよ」
「「う、うん」」
俺はリビングのテーブルのみんなに紅茶を出してから話し出した。
「まず、この家はルート商会の会長が娘であるシェリルの婚約祝いにくれたものです。それを俺はアイテムボックスに入れて持ち歩いているんです。簡単に言うとそんな感じです笑」
「本当に簡単に言うね…苦笑」
「シーマくん、それがどれだけ凄いことなのか、わかったほうがいいわよ」
エリシオンの2人が呆れ返ってるな。
他から見たら、これが本当の反応なんだろうなー。
「シーマはいつもこんな感じですよ。ね、シェリル?」
「そうだね。ボクたちもだんだん驚かなくなってきたしね苦笑」
確かに嫁ズはずっと一緒にいるからな。
いちいち驚いてたら心が持たないようなことの連続だったし…。
慣れって怖いなー笑
「そういえば、外の見張りはしなくていいのかい?」
「一応、魔除けと認識阻害の魔道具を起動してますし、家の周りにバリアを張ってますからね。相当なことが無い限りは問題ありませんよ」
「「…」」
あー。また2人が呆れてしまった。
でも、間違ったこと言ってないしな…。
「僕もシーマくんと結婚しようかな…苦笑」
「クリスがそうするなら私も…苦笑」
おいおい、君たち遂に壊れたか?
変な事口走ってるけど大丈夫?
「冒険ってこんなに快適でいいのかな笑」
「シーマくんといるといろいろな概念が崩れちゃいそう笑」
「本当ですよね笑」
「ボクたちもそう思います笑」
あれ?
嫁ズがいつの間にか、エリシオン側に付いてないかい?
俺だけアウェーなのか?
俺にはエルピスしかいないのか?
「やっとわかってくれたの?」
!!
いやいや、突然頭の中に話しかけないでよ。ビックリするじゃん。
っていうか、よく俺の事見てるよな笑
「そんなことよりシーマくん、ちょっと落ち着いたら会えるかしら? 話したいことがあるんです」
何か嫌な予感がするな。
でも断れない類いのものだろう。
「よくわかってるじゃないですか」
わかった。
今日の夜に行くことにするよ。
11
お気に入りに追加
296
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる