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第4章 冒険 -王都編-
気分転換
しおりを挟むポルタを出た俺たちは、王都に向けて順調に進んでいた。
スタンピードの後ということもあって、正直なところ、しばらくは戦いたくはなかったのでちょうどいいといえばちょうどいいのだが。
何か気分転換出来るものが欲しいな...。
デザートでも作ろうかな...。
プリンは作っちゃったしな...。
ホットケーキがいいかな?
蜂蜜は持ってないから、カラメルソースでいいだろう。
やべー。
ちょっと楽しくなってきた。
「セレナ、シェリル。悪いんだけどさ、ちょっと作りたい料理があるから、次の休憩の時に見張りを頼めるかな?」
「いいわよ。その代わり食べさせてね❤」
「ボクも❤」
「私も❤」
「「...」」「姫様...」
本人はどさくさに紛れて来たつもりだろうが、ガッツリ浮いてましたからね、フィリア王女。
「初めて作るから、上手く出来るかわからないんだけどな...」
「大丈夫よ」
「「そうそう!!」」
何だ女性陣のこの連帯感は。
嫁ズ+1かー。なんのこっちゃだな。
そうこうしてるうちに、休憩する時間になったので馬車を停めて家を出す。
そしたらシェリルが意外そうに声をかけてきた。
「あれ? 家を出すの? 屋台じゃないんだー」
「うん。今回は室内で作りたい料理だからね。一応魔道具とバリアはお願いね」
「わかった」
家のキッチンに入った俺は、砂糖と水でじっくりとカラメルソースを作った後で、卵を卵黄と卵白に分けた。それぞれに砂糖を入れて混ぜ合わせるのだが、卵白の泡立てが肝だ。手だけでしっかりと泡立てるのは気合いと根性がいるが、これがないとふんわりと仕上がらない。やがてそれらを徐々に混ぜ合わせたら焼くことになる。
いざ焼き始めたら、家中に甘い匂いが立ち込めてしまい、嫁ズ+1が代わる代わる様子を見に来ては立ち去っていくという、生地作りで疲れてしまった俺にとっては面倒臭い時間が無限ループする。
そんなこんなで焼き上げたホットケーキは、カラメルソースをかけて何とか完成。
リビングのテーブルに持っていくと何故か全員揃っていた。まさかのアルテさんまで...。
「何これ!! スゴく美味しそうなんだけど!!」
フィリア王女が真っ先に騒ぎ出した。
「あー、これは美味しいやつだわ」
「そうね。食べる前からわかるやつね」
シェリルとセレナは、何だか一段階上に行っちゃったようなここ言ってるし。
「皆様、早く頂かないと料理にもシーマ殿にも失礼ですぞ」
尤もらしいことを言ってるアルテさんが一番早く食べたいんじゃないのかな...。
「それもそうね。皆さんいただきましょ!!」
フィリア王女の一声でみんな一斉にホットケーキに手を伸ばした。
しかし、口に入れたと思ったら、みんな一斉に両頬を手で押さえ始めた。
何だ?
「「「あっ!!」」」
「ほっぺが落ちちゃうよー!!」
あっ、そっちねー。
美味しく作れたみたいでよかった。
でも、泡立てるのが大変だから、出来れば定番化はしたくないんだよなー。
「シーマさん、とても美味しかったわ。また作って下さいね」
コクコク×3
フィリア王女に言われたら作りたくないなんて言えない。
その辺が分かってる嫁ズ+アルテさんはちょっとズルいよな笑
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