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第4章 冒険 -王都編-
予定外
しおりを挟む翌朝。
俺は変な胸騒ぎを覚えて目を覚ました。
起きて窓の外を見ると、あけぼの色に染まる街の外で冒険者が大量の魔物と戦っていた。
まさか、予定よりも早く来たのか?
俺はすぐさま隣りの部屋のセレナとシェリルを叩き起して、シェリルにはフィリア王女の部屋にバリアをかけてもらってから戦地へ向かった。
魔物達は既に街の入口付近まで迫っていた。
俺たちと同じように後から参戦してくる冒険者達はいるものの、風に押されるようにしてジリジリと魔物達は戦線を押し込んでくる。
冒険者と魔物が文字通り入り乱れての戦闘だと、陣形云々は言っていられない。セレナを外壁には行かさずに近くで戦ってもらうことにした。そうでなければ守れないからだ。
「シェリル、俺と背中合わせで戦ってくれ。セレナはその間に入って弓で遠くの魔物を迎撃だ。2人とも出来るな?」
「「わかった」」
「よし、やるぞ!」
魔物の多くはゴブリンとオークで、たまに上位種がいるような感じだ。
「ウオォォォー!!」
「ハッ!! ハッ!!」
俺とシェリルは手当り次第に剣で切り付けていく。
シェリルもあまり得意ではないだろうが今回は剣にしてもらった。数が少なければ暗殺系のスキルでナイフでの対応が出来るが今回ばかりはそうもいかない。共有スキルの恩恵があるのでショートソードならある程度扱えるだろうと急遽用意したのだ。
そしてその結果は思った通りだった。元々のセンスにスキルが加わることで剣での経験不足をカバー出来ている。
シュッ!! シュッ!!
セレナも負けじと右に左に矢を放っている。
セレナはシェリルに比べるとパワー不足だからな。今は遠距離を担当してもらっているが、そのうちレイピアでも扱えるようになると選択肢が増えるのだが...。
「クッ!!」
「ウッ!!」
「シーマ、シェリルも大丈夫なの?」
「ああ...ッ!!」
「なんとか...ね!!」
どうやっても多勢に無勢だ。
倒しても倒してもキリがない。
どのくらい時間が経ったのかもわからない。
そんな中、傷付かずに勝つのは不可能だと言っていいだろう。
それでも俺はともかく、シェリルやセレナが傷付くのはヒールで回復するとはいえ耐え難い苦痛だ。
何とかして少しでも早くこの時間を終わらせたい。
これだけ人や魔物が入り乱れてるとカッター系の全体攻撃魔法も使えないから不便だ。せめて分散させることが出来れば少しは楽に戦えるんだがな。
「おい! ここにいる冒険者達は聞いてくれ! 俺たちが大きな全体攻撃魔法を撃ちたいから一旦引いてくれ!
もう一度言う! 全体攻撃攻撃魔法を撃ちたいから、冒険者達は一旦引いてくれ!」
おぉー、Cランク冒険者かな?
俺らも下がって魔物を間引いてもらおう。
「セレナ、シェリル聞いたか? 一旦下がるぞ!」
「「わかった!!」」
俺とシェリルは剣を振りながら、セレナは弓を撃ちながら他の冒険者と共に徐々に後退していく。
少しだけ休んでまた仕切り直しだな。
「よし! 後は任せろ!」
「いくよ! ファイヤーボム!」
「グオォォ!!」
「ブモォ!!」
スゲー!
さすがは上級魔法だな。
目に見えて魔物の数が減ったよ。
ホントにCランクなのかな...。
「もう1発、ファイヤーボム!」
「グアァァー!!」
「ガァァァ!!」
うひょー!
これまたスゴいな。
俺らにも上級魔法が使えればなー。
そのためにも早くレベルを上げねば…。
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