異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎに転生した主人公の異世界飯テロチーレム冒険ファンタジー!!~

きーす

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第4章 冒険 -王都編-

ディオランサ

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 ポルタの冒険者ギルドは街の規模同様、建物自体はそんなに大きくなかったが、建物内に入ると冒険者でごった返ししていた。
 職員に話を聞こうにもそこまでたどり着く気がしない。どうしようか迷っていたらどこからか大きな声が響いてきた。


「みんな聞いてくれ。俺はポルタのギルドマスターの…だ。冒険者のみんなに集まってもらったのはスタンピードの可能性があるためだ。
 今、斥候隊に状況を確認させたところ、規模としてはそれほどでもないが大量のゴブリンやオークがこの街の方へ向かっているのは確からしい。予測ではココに来るのは明日の朝頃になるようだ。
 時間がなくて今ココにいる冒険者しか集められなかったが、Cランクもちらほらいるので何とかなると思っている。悪いがEランク以上は強制参加だ。必ず受付でパーティー名で登録しておいてくれ。報酬はまだ決まってないがそれなりに渡せると思う。
 明日の朝になったら魔法使いと弓使いは外壁の上に、それ以外は街の入口に集まって欲しい。この街を守るために力を貸してくれ。
 俺からは以上だ」


 やっぱりスタンピードか。
 コスタでのトラウマが蘇りそうだが、あれこれ考えてもしょうがないよな。
 最大限の準備をしておくか。


「ねぇシーマ、私たちのパーティー名ってあったっけ?」

「…ないな」


 ヤバい。
 そっかー。こういうことがあるからパーティー名は必要なんだなー。
 参ったな。何も考えてない…。


「セレナとシェリルは思い浮かんでるパーティー名はあるの?」

「私は特にないわね。シーマが決めていいんじゃない?」

「ボクもないから、シーマが決めていいよ」


 マジかー。
 まぁ、そうなるのは仕方ないのか...。
 うーん…。
 何となく女神は外せないよな。
 エルピスが怒りそうだし。 


「...【ディオランサ】ってどう?」

「いいんじゃない? ちなみに何か意味があるの?」

「あるような無いような...苦笑」

「ハハハッ! 何それ笑  ボクもそれでいいよ」

「じゃあ、【ディオランサ】で登録しておくから」


 何だかあっけなく決まっちゃったけどいいのかな…。
 
 
 その後、俺たちは受付でパーティー名の申請と、スタンピード討伐の登録をしてギルドを出た。
 集合は明日の朝。
 セレナは遠距離攻撃なので外壁の上だが、俺とシェリルは近接戦闘なので街の入口集合だ。
 明日の朝までにある程度の準備をしたかったが、もう夜なので店も閉まってしまい何も出来ることがないので、宿に戻ることにした。



 宿の部屋に戻って、フィリア王女とアルテさんにひと通りの状況を説明した。


「やっぱりスタンピードなのね...」


 窓の外を見ながらフィリア王女がそうつぶやいて、そのまま言葉を続ける。


「…私はここから見守ってるわ。だから、みんな絶対に無事で戻ってきてね」

「「「ありがとうございます」」」


 後は、ココの守りの確認だな。


「シェリル、バリアは使えるか?」

「うん。問題ないよ。ただ、シーマやセレナほど魔力がないから大きくは展開できないけどね」

「いや、この部屋だけに展開出来ればそれでいいんだ。時間制限があるからな。俺と交代で展開していこう。明日はどうなるかわからないけど、シェリルはなるべく俺と一緒に行動して、あまりこの宿から離れ過ぎないように戦うんだ」

「わかった」

「セレナは外壁の上から弓矢と魔法を撃ちまくるようになるだろう。だが、絶対に無理はするな。矢は使い切っても構わないけど、魔力は残しておいてくれ。後でセレナのヒールが重要になるからな。魔力ポーションがあるとはいえ、状況見ながら判断してくれ」

「わかったわ」

「それじゃあ2人とも、また明日な」

「「うん。また明日」」

「姫様、セレナ様とシェリル様は明日早いので、ご迷惑をかけぬよう」

「…わかってるわよ」


 俺はセレナとシェリルを残し、アルテさんと共に部屋を出た。




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