122 / 413
第4章 冒険 -王都編-
ディオランサ
しおりを挟むポルタの冒険者ギルドは街の規模同様、建物自体はそんなに大きくなかったが、建物内に入ると冒険者でごった返ししていた。
職員に話を聞こうにもそこまでたどり着く気がしない。どうしようか迷っていたらどこからか大きな声が響いてきた。
「みんな聞いてくれ。俺はポルタのギルドマスターの…だ。冒険者のみんなに集まってもらったのはスタンピードの可能性があるためだ。
今、斥候隊に状況を確認させたところ、規模としてはそれほどでもないが大量のゴブリンやオークがこの街の方へ向かっているのは確からしい。予測ではココに来るのは明日の朝頃になるようだ。
時間がなくて今ココにいる冒険者しか集められなかったが、Cランクもちらほらいるので何とかなると思っている。悪いがEランク以上は強制参加だ。必ず受付でパーティー名で登録しておいてくれ。報酬はまだ決まってないがそれなりに渡せると思う。
明日の朝になったら魔法使いと弓使いは外壁の上に、それ以外は街の入口に集まって欲しい。この街を守るために力を貸してくれ。
俺からは以上だ」
やっぱりスタンピードか。
コスタでのトラウマが蘇りそうだが、あれこれ考えてもしょうがないよな。
最大限の準備をしておくか。
「ねぇシーマ、私たちのパーティー名ってあったっけ?」
「…ないな」
ヤバい。
そっかー。こういうことがあるからパーティー名は必要なんだなー。
参ったな。何も考えてない…。
「セレナとシェリルは思い浮かんでるパーティー名はあるの?」
「私は特にないわね。シーマが決めていいんじゃない?」
「ボクもないから、シーマが決めていいよ」
マジかー。
まぁ、そうなるのは仕方ないのか...。
うーん…。
何となく女神は外せないよな。
エルピスが怒りそうだし。
「...【ディオランサ】ってどう?」
「いいんじゃない? ちなみに何か意味があるの?」
「あるような無いような...苦笑」
「ハハハッ! 何それ笑 ボクもそれでいいよ」
「じゃあ、【ディオランサ】で登録しておくから」
何だかあっけなく決まっちゃったけどいいのかな…。
その後、俺たちは受付でパーティー名の申請と、スタンピード討伐の登録をしてギルドを出た。
集合は明日の朝。
セレナは遠距離攻撃なので外壁の上だが、俺とシェリルは近接戦闘なので街の入口集合だ。
明日の朝までにある程度の準備をしたかったが、もう夜なので店も閉まってしまい何も出来ることがないので、宿に戻ることにした。
宿の部屋に戻って、フィリア王女とアルテさんにひと通りの状況を説明した。
「やっぱりスタンピードなのね...」
窓の外を見ながらフィリア王女がそうつぶやいて、そのまま言葉を続ける。
「…私はここから見守ってるわ。だから、みんな絶対に無事で戻ってきてね」
「「「ありがとうございます」」」
後は、ココの守りの確認だな。
「シェリル、バリアは使えるか?」
「うん。問題ないよ。ただ、シーマやセレナほど魔力がないから大きくは展開できないけどね」
「いや、この部屋だけに展開出来ればそれでいいんだ。時間制限があるからな。俺と交代で展開していこう。明日はどうなるかわからないけど、シェリルはなるべく俺と一緒に行動して、あまりこの宿から離れ過ぎないように戦うんだ」
「わかった」
「セレナは外壁の上から弓矢と魔法を撃ちまくるようになるだろう。だが、絶対に無理はするな。矢は使い切っても構わないけど、魔力は残しておいてくれ。後でセレナのヒールが重要になるからな。魔力ポーションがあるとはいえ、状況見ながら判断してくれ」
「わかったわ」
「それじゃあ2人とも、また明日な」
「「うん。また明日」」
「姫様、セレナ様とシェリル様は明日早いので、ご迷惑をかけぬよう」
「…わかってるわよ」
俺はセレナとシェリルを残し、アルテさんと共に部屋を出た。
11
お気に入りに追加
296
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる