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第4章 冒険 -王都編-

今出来ること

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「セレナ、風はどっちに向かって吹いていたか分かるか?」 

「王都に向かって左から右、やや前方向へ吹いていたわ」

「シェリル、その方向に街や村はあるか?」

「確か…、あまり大きくないけど街があったと思うよ。ポルタだったかな?」

「そうか…。シェリル、この風の中でその街へ今日中にたどり着けるか?」

「どうかなー。行ってみないと分からないけど、追い風になるから大丈夫だと思う」

「よし。セレナ、シェリルこれから急いでその街へ向かうぞ。フィリア王女様とアルテさんには変装したまま俺たちと一緒の宿屋に泊まってもらうことにする。フィリア王女様、アルテさんそれでいいですね?」

「わかったわ。そのようにして」

「それではすぐに出発します」
 

 俺たちが今出来ることの最大限は、街の中にフィリア王女を隠して街ごと守り抜くことだ。
 いつその街が魔物に襲われるのかはわからないし、もしかしたら襲われないかもしれない。それでも最悪の状況に備えておく必要があるし、その為には多少の無理もしなければならないのだ。

 シェスターには悪いことをしたが、ちょっと休めた分だけマシだったと思ってくれればいいけど、何せ相手が馬だからどう思ってるかが分からない苦笑
 いつか心が通じ合えるといいけど…。


 俺たちは相変わらずの強い風を、背中に受けながら馬車をポルタに向けて進めた。
 さすがにこの条件では魔物が現れることもなく、追い風を受け続けたこともあって陽が落ちるよりも前に、余裕を持ってポルタに着くことが出来た。
 早速冒険者ギルドでも行って情報を聞きたいところだが、まずはフィリア王女とバレずに宿屋まで行かなければならない。これが中々の難問なのだ。
 最初は街を守衛を突破しないと。


「お前達は冒険者か?」

「はい。商人と護衛の冒険者になります」


 俺はそう言ってギルドカードを守衛に見せる。


「よし。通っていいぞ」

「あの…守衛さん、今この街で何か変わったことはありませんか?」

「ん?! そうだな…。風が強くなってから魔物が少なくなったように思えるが、それがどうかしたか?」

「いえ、何でもないです。あと、この街の宿屋はどこにありますか?」

「この通り沿いを少し進んだとこにあるぞ」

「わかりました。ありがとうこざいました」
  

 やっぱり魔物は少ないか。
 これがスタンピードと結び付くのかどうかなんだよなー。
 とりあえず、宿を確保しに行きますか。


「5人なので2部屋お願いしたいのですが空いてますか?」

「ちょうど2部屋だけ空いてるよ。いつもはそんなに混んでないけど、ギルドが冒険者を集めてるから今日は宿泊客が多くてね」


 空きがあったのは良かったのだが、その後の宿主の言葉がどうにも気になったので聞いてみる。


「冒険者を集めてるって何かあるんですか?」

「俺も聞いた話でしかないけど、どうやらスタンピードの可能性があるらしく、冒険者ギルドが冒険者を集めてるって訳さ。アンタらも集められたクチだろ?」

「いや、俺たちは商人とその護衛ですよ。風が強かったんでこの街でひと休みしに来たんですけどね…」

「そうか、それは大変だったな。ゆっくり休んでってくれ」

「ありがとうございます」


 宿主は俺との会話中もチラチラと俺以外の4人を見ていたが、どうやらバレなかったようだ。
 何とか部屋まで来れたのでホッとした。少しの間フィリア王女とアルテさんにはココでじっとしててもらうしかないな。

 そしてすぐさま俺は嫁ズと冒険者ギルドへ行くことにした。



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