異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎに転生した主人公の異世界飯テロチーレム冒険ファンタジー!!~

きーす

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第4章 冒険 -王都編-

足止め

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 翌日。
 この日から、フィリア王女とアルテさんは変装するようになった。

 元の素材が良いからなんだろうけど、フィリア王女は冒険者として、アルテさんは商人として、それぞれ2人とも全く違和感を感じないくらい良く似合っていた。

 ただ、その日は朝から出発したはいいものの、だんだん風が強くなってきたので山の麓の岩陰の目立たない場所へ馬車を停めた。


 「シーマさん、あまり急がなくてもいいので安全を優先して下さい」

「その通りですな。人数が少ないし、無理も良くないですからな」


 フィリア王女もアルテさんも状況を理解してくれる人でよかった。横暴な人だったら無理してでも行けってなるもんな。
 正直なところ、馬のシェスターも毎日走らせてるので休ませたかったのでちょうどいいといえばちょうどいい。


「すみません。ここはフィリア王女様の安全を優先して無理には進まないことにします」

「わかったわ。それでいいのよ」

「ありがとうございます。ただ、周りの状況が分からないので俺とセレナで様子を見てきます。
 シェリル、バリアと魔道具で馬車ごとフィリア王女様達を守ってくれ」

「大丈夫。こっちはボクに任せて!」




 俺とセレナは早速馬車を降りて、サーチを使いながら辺りを確認しながら進んでいった。
 サーチに引っかかるものはないが、風はどんどんと強くなっている気がする。そんなことを思った矢先にセレナから声がかかった。


「ねぇ、シーマ」

「どうしたセレナ? 何かあったか?」

「ううん、そうじゃないの。私の思い過ごしだといいんだけど一応聞いて」

「何だい?」

「コスタを襲ったスタンピード。あの時も前の日はこんな感じで風が強かったの」

「本当か? 俺は宿にいたから気にしてなかったけど…」

「うん。でも、今回もそうとは限らないわ。私の思い過ごしかもしれないし…」

「そうか…。この事はフィリア王女とアルテさんに相談するしかないな。俺たちがどう立ち振る舞えばいいのかも確認しておいたほうがいい」

「そうね。何かあってからでは遅いかもしれないしね」



 俺とセレナは急いで馬車へと戻り、みんなを集めてスタンピードの可能性を伝えた。


「そんな…」

「まさか…」


 フィリア王女もアルテさんも驚いていたが、問題なのはこれからどうするかだ。


「あくまで可能性に過ぎませんから、何も起きないかもしれませんが、俺としては最低限の準備くらいは必要かと思ってます」

「それもそうね。具体的にはどうするつもり?」

「わかりません」

「え?! 何よそれ。ふざけてる場合じゃないのよ!」


 俺の答えにフィリア王女が怒った。
 しょうがないじゃん。わかんないんだもん…。


「ならばフィリア王女様にお聞きしますが、もしスタンピードが起きた場合、俺たちはどう動けばよろしいですか?
 王女様を守ることを最優先にするならばこの場所から動くつもりはありませんが、スタンピードを止めることを目的とするなら王女様達をどこかの街に避難させなければなりません。
 王女様を守るか、国民を守るかどちらかなんですよ」

「それなら簡単なことよ。あなた達は国民を守って下さい」

「姫様!! それでは…」


 アルテさんが戸惑うのは当然だ。
 にしても、このフィリア王女…。
 何の迷いもなかったな。案外器が大きいのかもしれない。
 ただの食いしん坊じゃないみたいだ笑


「アルテ。私は国民があってこその王女なのよ。見捨てることなんて出来ないわ。
 私そのものには何の力もないけど、シーマさん達がいてくれる。その時が来たら、私達のことはいいから、あなた達が国民の力になってあげて下さい」

「姫様…」

「わかりました。その時はそのように動くようにします」


 それでは準備を進めますか。


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