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第3章 冒険 -グランツ編-
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しおりを挟むフィデールからグランツまではやはり3日かかった。
途中途中でオークやブラックバードと戦いはしたがヤル気満々の2人が呆気なくアイテムボックス送りにしていた。
俺もたまには参加したものの、どちらかと言うと馬車馬とのお留守番が多く、向こうもそう思っていたのか、随分と仲良くなってしまった。
これがホントの「ウマが合う」なのか?
今度ひっそりと名前つけようかな。
そんな冗談はさておき、グランツの商会で馬と別れるのはちょっと辛かった。スリスリしてくる頭をずっと撫でていたかったが、何かを感じたセレナとシェリルにさりげなく引き裂かれてしまった。
そこまですることないのに…。
その後、
俺は気を取り直して商会内のステラさんとレオンさんに会いに行った。もちろん料理の試食をお願いするためだ。
「あら、シェリルたちじゃない。もう帰ってきたのね」
「僕たちのところに来たってことは、もう料理が出来たのかい?」
「えぇ。それなりに納得できるものは出来ました。これから作ってもいいですか?」
俺はちょっと急ぎ過ぎかと思ったけど、せっかく商会に来たんだから結果はどうであれ1度試してもらいたかった。
「いいわよ。もう少しで夕食だからロナルドにも食べてもらおうかしら? 精がつく料理なんでしょ? 誰かロナルドを呼んできてちょうだい」
侍女に指示したステラさん...。
精がつくを強調しなくても...。
明日、ロナルドさんがやつれていたら俺のせいだな。
そうだ、精力剤をロナルドさんに渡すか?
いやいや、別の意味で危険だな。やめとこ。
「効果は分からないですけど、何となく元気は出たような気がします。この料理はちょっと匂いが強いので窓を開けっ放しにして料理しますね」
俺はキッチンに着くと、『バスタ』を茹でながら『いんにく』をスライスする。
「『バスタ』はわかるけど、そっちの食材は何だい?」
「これは『いんにく』って言うの。フィデールで手に入れた」
俺の変わりにシェリルが答えてくれた。買い付け担当として譲れないところがあったのかな。
俺は茹で上がった『バスタ』をフライパンに移して『いんにく』と一緒に火を入れると、あたりに匂いが立ち込めていく。
「確かに匂いはするけど、お腹の空く匂いね。嫌いじゃないわ」
よし。ステラさんの言葉で、まずは第1段階クリアだな。ここで嫌悪感を持たれると料理を食べるときにも影響する。あとは塩で味を整えて完成だ。
「出来上がりました!」
「おぉー。確かに簡単だね。僕でも作れそうだよ。シェリルには無理かもしれないけど笑」
「レオ兄酷い! いいもん、ボクの分はシーマが作ってくれるから!」
「ふふふっ」
レオンさんのイジリに、シェリルの返し。それにセレナが微笑む。和やかな光景だなー。家族ってこうあるべきなのかも。
「何だかいい匂いさせてると思ったら、シーマか! 今度は何を作ったんだ? あんまり俺を泣かせるなよ」
ロナルドさんが勢いよく入ってきた。
いやいや、俺は料理で泣かせにいってないからね。あんたが勝手に泣いただけで。
あっ、そうだ。いいこと思い付いた!
「この前のパーティーの時に、ステラさんに精がつく料理を頼まれましてね。その試食を是非ロナルドさんにも食べていただこうかと思いまして」
「やっぱり俺を泣かせようとしてるじゃねーか。俺がベッドで死んだらどうすんだよ...」
「うふふふっ」
「「...照」」
ちょっとだけ夜の性活の話をしたら、ステラさんは微笑み、シェリルとセレナは顔を真っ赤にして照れくさそうにしてる。
可愛いなー、もう!
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