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第3章 冒険 -グランツ編-
解放
しおりを挟む「シェリル、ヤバいな」
「うん。まさかあそこまでとは...ね」
今、俺たちはフィデールからグランツに戻っている途中だ。
元々身体能力が高そうだなとは思っていた。今までは「商人」の肩書きのほうが重かったのか、スキル共有が影響しているのかは分からないが、タカが外れたようにシェリルの動きがまるで違う。
サーチで獲物を確認し、隠密で近づいたら投擲で殺す。しかも、その流れに一切の無駄がない。
「ギョェー!!」
あっ、また何かがシェリルに倒された。
「またオークだったよー!! アイテムボックスに入れといたから!」
「「...」」
まさか、シェリルのアイテムボックスの使い道が魔物入れになるなんてな...。てっきり溢れんばかりの物資でいっぱいになるかと思ってたのに。
ブランク的なものがあるとはいえ、もう立派な冒険者だ。しかも俺たちよりも上位なのはもはや疑う余地もない。
俺もセレナも頑張って追いつかないとな…。そもそもの土俵が違うような気もするが、冒険者は結果が全てだ。そこで食らいついて行くしかない。
「なぁ、シェリル。商人辞めて冒険者になれば?」
「うーん...。今はまだ商人のほうがいいかなー。シーマのおかげで強くなったから、なおさらそう思うのかも」
「...」
「そもそも商人をやってなかったら、シーマとセレナに会うこともなかったからねー。ボクは商人であるべきなんじゃないかと思うんだ」
「そうか。確かにその通りだな。悪かった」
「ううん、気にしないで。ボクのことを思ってくれただけで嬉しいよ!」
俺が宿屋の主であるように、シェリルは商人なんだ。
俺もそうであるように、シェリルにとっても心の拠り所なんだろうな。無理にそこを変える必要なんてないんだ。
「!」
「どうしたシェリル?」
「ブラックバードの群れがいるけど、もっと近づかないと届かないね...」
シュッ!
シュッ!
「グワァー!!」「ヴアァー!!」
「♪」
シュッ!
「ギャァー!!」
「♪」
「「...」」
いかん。
BJセレナが復活した。
こうなると誰にも止められんわな...。
だってあんなにランランとしてるんだもんよー。
あっ!また1体落とした。
「あ~あ、終わっちゃった」
「「...」」
元々潜在的なスキルでもあったのかな?
セレナって魔法よりも弓のほうがセンスあるんじゃないかな…。
何かそう思わずにはいられないほどの状況だ。
それにしても、
セレナといい、シェリルといい、
ここにきて戦闘能力が開花している。
それに比べて
いったい俺は何をしているんだろう?
このままでいいわけがないが、2人が頑張ってるのを止めて俺がしゃしゃり出る
のもどうかと思う。
フォルティスさんやクリスさんと剣を交えてた頃が懐かしいな。
もっとあの時間を持っていれば...なんて、今になって思うとは。
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