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第3章 冒険 -グランツ編-
商会の会長
しおりを挟む翌日。
早速セレナは今日の昼過ぎからシンシアさんに弓を習い始める。
そして、夜はシェリルの家でパーティーだ。
俺は何となく嫌な予感がするので、朝から外でアイテムボックス内の魔物をひたすら解体したり『がいも』を刻んだりしておき、昼過ぎからのシンシアさんがいない間に、エリオさんからキッチンを借りて調理しておくことにした。
備えあれば何とやらだ。
そして、夕方になったのでセレナと共に、ルート商会の店の隣りにあるというシェリルの家に向かった。
実際に着いてみると、家というよりは屋敷だなこれは。規模がデカ過ぎるもん。門番もいるし…。改めてシェリルはお嬢様なんだなって思い知らされる。
門番に今夜のパーティーのことを伝えたらすぐに中へと案内してくれた。
「シーマさん、セレナさんこんばんは。今日は来てくれてありがとう! ゆっくりしていってねー」
「こんばんは、シェリル。今日はよろしくね」
パーティーはリビングで行われるようで、シェリルが早速挨拶に来たので、俺たちも挨拶をする。
名目上は護衛依頼完了パーティーということだが、本来の目的は会長と俺の顔合わせにある。だからということではないが参加者も少数のようで、シェリルの家族と友達、そして俺たちだけだ。
「今日は娘のシェリルが無事に護衛の方々とフィデールでの買い付けを終えた、簡単なお祝いパーティーです。楽しんでいって下さい。それでは、乾杯!!」
「「乾杯!!」」
イケオジの会長ロナルドさんの乾杯でパーティーが始まった。
それと同時に皆が料理のテーブルに集まる。ちょっと見た感じではあまり珍しそうな料理はなかった気がしたので、俺は真っ先に会長の元へ挨拶しに向かった。
間近で改めて見ると、シェリルのお父さんカッコイイなー。
「会長、はじめまして。私は冒険者のシーマ。隣りが婚約者のセレナです。今回の護衛を努めさせていただきました」
「ここは正式の場ではないんだから、そんなに硬っ苦しくなくていいぞ。シェリルからはいろいろと聞いてるよ。今回だけじゃなく今後もシェリルの護衛を頼みたいと思ってる」
「ありがとうございます」
「シェリルが買い付けのことをあんなに楽しそうに話すのは初めてだったからね。聞くところによると、コスタの精龍亭をやってるんだって?」
「はい。その通りなんですが、今は冒険の為に休業してます」
「でも再開した時のために、いろいろな食材を探してるんだろ?」
「えぇ、そうです。ですのでこのタイミングでルート商会、いや、シェリルさんと知り合えたことの意味はスゴく大きいと思ってます」
「いやいや、それはこちらこそだよ。アイゼンの幻陽が贔屓にしてた宿と繋がりができるのは、ウチとしても大きいことなんだよ」
「そう言ってもらえて俺も嬉しいです」
会長もフォルティスさん達を知ってるんだ。
やっぱりあの人達はスゴいんだなー。
そんな風には見えないけど笑
「そうそう、市場の『がいも』を買い占めたって本当なの?」
「はい。本当です。」
「その料理は食べることが出来るかい?」
俺は予め少し冷ましておいたフライドポテトを、アイテムボックスから1皿取り出してロナルドさんの前へと差し出す。
「こちらに来る前に作ったものです。よければ食べてみて下さい」
「見た感じ、変わった料理方法のようだね…。それでは早速いただいてみるよ」
ロナルドさんはフライドポテトを1つ手に取って口へと運んだ。
「これは…!!」
「どうです?」
「ダメだ!!」
「えっ?!」
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