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第3章 冒険 -グランツ編-
問題 その2
しおりを挟む気が付いたら朝だった。
昨日は寝れないかと覚悟したが、カラダは思いの他疲れてたみたいで何とか寝れたようだ。
だが、ここに来てさらに問題が発生した。
俺の腕にセレナが絡みついているのだ。
どうしてこうなった?
確か、俺とセレナは手を繋いでいたはずだ。それがいつの間にかセレナがカラダごと俺の腕に絡んでいる。
しかも、セレナの大きな胸が当たってて、すごく柔らかな感触がする。
さぁ、困ったぞ。
状況が状況なだけに、下手に動いて起こしちゃうわけにもいかないだろうしな。
かといって、二度寝出来るほど時間に余裕があるわけでもない。
俺はどうすればいい?
どうするのが正解なんだ?
かなり悩んで俺が出した答えは『寝返りを打つふりをして振りほどく』だった。
練習するわけにもいかないからぶっつけ本番だったが、ちょっと強引だったものの何とか振りほどけた。そのせいでセレナを起こしてしまったようだが、それはそれでしょうがない。俺は今起きると気まずいのでもう少し寝てるふりをしておくことにした。
その後、頃合いを見計らって俺も起きてみると、セレナがどこかそわそわしている。まぁ初めて一緒に寝たんだもんな、いろいろと思うこともあるんだろう。俺はとにかく平静を装いながら声をかける。
「おはよう、セレナ」
「うん…。おはよう、シーマ」
これでいつも通りに戻れる………はずだ。
朝食と出発の準備を済まして宿を出る時、俺はご主人に聞いておきたかったことを質問した。
「俺たちはグランツに向かうんですが、おすすめの宿ってありますか?」
「それなら、風魔亭だな」
「理由をお聞きしても?」
「あぁ。値段の割にはイイ宿なんだよ。サービスがいいっていうか…な。あと…」
「あと?」
「奥さんが綺麗だ。重要だろ?」
「「…」」
確かに重要なんだけど…、
それをセレナの前で肯定できないのが辛いところだ。
「行くのか?」
「えぇ。人気がある宿なら泊まってみたいじゃないですか」
「そうだな。でも、そこのお嬢ちゃん泣かすなよ」
あんたが余計?な情報をブチ込んできたんじゃねーか。
もうあんたが泣かしてるよ!
ほれ見ろ。
あんなに可愛いセレナの顔が沈んじゃってるじゃん。
「ありがとうございました。是非行ってみようと思ってます」
---------------------------------------------------------
「宿屋の奥さんはやっぱり綺麗なほうがいいのかな…」
宿を出て歩いていると、急にセレナがそんなことを言い出した。
えっ、そっち?
てっきり俺が綺麗な女性に会うことが嫌なのかと思ってたわ。
そっか。
俺と結婚すれば、セレナは精龍亭の女将さんになる。気にするのも当然だ。ここは未来の旦那として安心してやらねば。
「大丈夫だよ」
「えっ?」
「セレナは綺麗だよ」
「本当にそう思う?」
「もちろん。俺の婚約者はこの世界の誰よりも綺麗だ」
「うん…。ありがとう。宿も頑張るね」
よかった。
持ち直してくれたみたいだ。
めでたしめでたし。
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