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第2章 宿屋
言ったけど
しおりを挟む唐揚げの夜が終わり、精龍亭は普通?の日常に戻る…かに思われたが、残念ながらそうはいかなかった。
アイゼンの幻陽、そしてエリシオンからたびたび魔物の素材を貰うようになり、その度に料理を提供しなければならなくなった。
しかも自分から言い出したこととはいえ、解体からしなければならない。
解体のレベルも上げたかったのでそれは良いことなのだがその分忙しくもなる。何でも適度がいいなと思ってしまう。
そんな中、エリシオンがブラックバードを持ってきてくれた。
俺が待ち望んだ鳥素材だ。
ロックバードに比べたら大きさも旨味も落ちるが、それでも人気のある食材には違いない。
今度こそ骨まで使い切ってやる。
俺的にメインは肉ではない。
皮と骨だ。
肉から剥がした皮は、1口サイズに切ってどんどん串に刺してアイテムボックスに入れて置く。
さらに解体で残った骨は、ぶつ切りにして大きな鍋ににんにくを少し加えてじっくり煮込んだら火を止めてそのまま一晩寝かせる。
翌日の夕方頃、エリシオンが帰る頃に合わせて鳥皮串を焼き、さらにガラスープを仕上げておいた。
念の為?セレナに味見を頼んだら、美味そうにしてたので問題ないだろう。
やがて、エリシオンの2人が帰ってきたので食堂へ案内する。
「クリスさん、ノエルさん。昨日はブラックバードありがとうございました。調理したので、食べてみてください」
「ありがとう、シーマくん。腹も減ってるからすぐにいただくよ」
「実は楽しみにしてたんです」
まず先にブラックバードの肉を焼いたもので少しお腹を満たしてから、串焼きとスープをテーブルに置く。
「これもブラックバードなのかな?」
「ええ、そうです。皮を串に刺して焼いたものと、骨から作ったスープです」
おそらくほとんど目にしたことのない料理だろうから、クリスさんの問いかけにも簡単に答えておく。
やがて2人はそれらを口へと運んだ。
いつものことだが、最初の1口というのは見ていて緊張してしまう。どんな反応があるのか不安になるのだ。
「面白いですね、これ。味はもちろん、食べた感触も」
まぁ初めて食べる鳥皮だろうから、ノエルさんの感想で間違いはないよな。クリスさんも無言ではあるが口を止めずに食べているので問題はないだろう。
「このスープも何ていうか、とても深い味わいですね」
おぉー!ガラスープも中々の評価だな。
どちらもメインにはならないが、捨ててしまう部位から作った料理としては十分通用しそうだ。
後日、
この話を聞いたアイゼンの幻陽がブラックバードをニコニコしながら大量に持ってきたのは言うまでもない。
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