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第2章 宿屋
できるかな
しおりを挟む朝のフレンチトースト騒動が収まり、掃除や買い出しなどを済ませたら、いよいよベーコン作りに取りかかる。
塩漬けしたオーク肉の塩抜きをした後、燻製器などあるわけもないので、鍋にチップと網と肉を入れたら火をつけて蓋をする。
中身が気になるが蓋を開けてしまうと意味がなくなるのでひたすらじっと待つ。
1時間くらい経って、蓋を開けて確認してみると、ちょっと中の温度が熱すぎたのか色が若干黒ずんでしまったが、いい感じに仕上がったようだ。
「煙臭いけど、大丈夫?」
「あー、ごめんごめん。これはこういう調理方法だから気にしないで」
セレナが慌ててキッチンに入ってきたので、問題ないことを伝えてはみるものの、匂いが残ってるから怪しさ満点だ。
とりあえず窓を全開にして換気しよう。
「ホントなの? 初めて見るけど」
「そうだろうな。俺も初めてやるもん」
「何よ、それ」
「でもこれが上手くいけば、いろいろと幅が広がりそうなんだよ」
「ふぅーん」
「せっかく来たんだから、試しに食べてみるか?」
俺はオークベーコン?を少し厚めに切って焼いてみることにした。いい具合に焼けたら食べやすくカットして1つ味見すると、うん。確かにあの厚切りベーコンだ。そして残りをセレナの前に置く。
「オーク肉なんだけど、少し見た目が違うわね。味付けは?」
「まぁ、そのまま食べてみてよ。」
「うん…。え?!」
セレナがベーコンを口にすると、驚いたように目を見開いた。
「ちゃんと味が付いてる…。しかも香ばしくて美味しい」
「どうやら、上手くいったらしいね」
「どういうこと?」
セレナが???な感じなので、出来る範囲で説明することにする。
「オーク肉を塩漬けにして寝かしたら、塩抜きして煙で燻したんだ」
「へぇー。それでこんなに美味しくなるんだ。でも、手間がかかるから大変なんじゃない?」
「そうなんだけど、その分少し保存が効くから使いやすいんだ。」
「これも朝食に出すの?」
「セレナはどう思う? 俺としては朝のパンが女性向けなら、この肉が男性向けかなって思ってるけど」
「そうね。その通りだわ。ガッツリし過ぎてないから朝食にいいかもね」
「そっか。じゃあ早速明日にでも出してみようかな」
「また質問攻めに遭わないといいけど。」
「…」
ベーコン作りに成功したはいいけど、何だか急に明日が来るのが怖くなってきたな…。
まぁ、何とかなるだろ。
何とかなるよね?
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