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第2章 宿屋
お肉と迷い
しおりを挟む「うーん。やっぱり肉が欲しいよね」
「そうだよな…」
市場へ向かいながら隣りを歩くセレナの言葉に、俺も頷くしかないのが正直なところだ。だが、朝食としてガッツリしたものを出していいのか悩む。
元の世界で朝食の肉類と言えばウィンナーやベーコンになるが、ウィンナーはこの世界でも既に一般的で美味しいことは美味しいが珍しくはない。
となると、ベーコンだ。
売ってなければ作るしかないのか…。
この世界で食料を長期保存させるには干し肉やドライフルーツのように乾燥させるのが一般的だ。燻製やら塩漬けとかはない。
ん? 塩漬けか…。それもアリだな。
いやいや、今回のテーマは肉だからな。
とりあえず多少多めにオーク肉を買って帰ることにする。
帰りにセレナの家に行き、ガンマおじさんから木屑をもらうことが出来た。果たして上手く出来るだろうか。
宿に戻ってきたら、オーク肉を塩漬けにして寝かせておく。確か2~3日必要だった気がするが、明後日くらいまでにしておこう。
さて、明日と明後日の朝食はどうするか…。明日はこの前作ったニンジンのオーク肉巻きでいいとして、明後日か…。
「また朝食のこと考えてるの? 少し休んだら?」
セレナが宿内の掃除を終えて、キッチンに入ってきた。
「セレナも慣れないことばかりで疲れただろ? 軽く何か作ろうか?」
「えっ? いいの? じゃあ甘いものがいいなー」
ちょっと甘えてくるセレナが可愛い。
気合い入れて作りたくなるな。
「じゃあ、ちょっと待ってな」
パンと卵が残ってるし、明日にも影響がないから、フレンチトーストを作ってあげた。
「どう? かなり甘いかもしれないけど」
「スゴい! パンなのにデザートみたい! 」
セレナがほっぺたを両手で押さえながら悶えている。うん、可愛い。そんな仕草を見れただけでも作ったかいがあるな。
「喜んでもらえてよかったよ」
「これを朝食に出してもいいんじゃない?」
「えっ?」
そんなこと思ってもいなかったからビックリしたが、よくよく考えてみたら前の世界でもモーニングで出てくるか…。
「エテルナさんとか、スゴく好きそう!」
「確かに…」
「たまには甘い朝食があってもいいんじゃない? みんな疲れてるだろうし」
そっか。
そういう考え方もあるな。
俺1人でやってるわけじゃなくて、セレナもいるんだ。せっかくの意見は取り入れて行こう。
「わかった。ちょうど明後日の朝食を何にしようか迷ってたから、コレにしてみるよ」
「うん。そうしようよ」
「ありがとう、セレナ」
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