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第2章 宿屋

朝食

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 宿の朝食は7時からなので、5時頃に起きて準備を始める。
 少し経ってからセレナも起きてきた。
 

「おはようセレナ。ちゃんと寝れたかい?」

「おはよう…。うん…、少しはね」
 

 昨日はいろいろあっただけに、寝れてなくてもしょうがないだろう。ましてや今日から宿屋の仕事だ。無理もない。少しでも負担を減らしてあげないとな。


「俺は朝食作るから、セレナは食堂の準備を頼めるかな」

「わかった」


 初日ということで特に緊張するが、やっぱりセレナがいてくれてよかった。


 
 初日の朝食には、昨日も作ったスクランブルエッグ トマトソースにパンを添えて紅茶を出す程度だ。

 昨日発現した料理スキルの効果なのか、調味料も使う量によってある程度どんな味になるかわかるようになってきたので、調理自体も楽になった。ホントにこの世界はスキル様々だ。


 やがて7時頃になると、ゾロゾロと食堂にお客さんがやってきたので、セレナと共に出迎えて挨拶をする。

 やはり昨日フォルティスさんが伝えてくれたのが効いたのだろう。みんな俺たちを激励をしてくれた。
 朝食についてもどんどん食べ進めてくれてるから、概ね好評のようでホッとひと安心する。


 そんな中、フォルティスさんたちが食堂に現れると同時に空気がガラリと変わった。


「「アイゼンの幻陽の皆さん、おはようございます」」


 俺たちは他のお客さんたちにもしたように挨拶をするが、当然のようにみんなの視線が集まる。


「おはようシーマ。朝から硬っ苦しいなー! 楽にやれ、楽に」

「そうよー。ずっとそんなんだと疲れちゃうよー」


 フォルティスさんの返しにエテルナさんも同意する。オルテガさんはまだ眠いのか黙って頷いている。


「いえいえ、そうもいきませんよ。最初が肝心なので。朝食を用意しておりますので、お召し上がりください」

「ほぉー。これがお前の朝食か。ちょっと変わってるけど楽しみだな、エテルナ」

「ねー、早く食べようよー」

「そうだな。それじゃ、遠慮なくいただくぞシーマ!」


 Aランクともなれば高価な料理を食べることも多い。女性であるエテルナさんは特に舌が肥えてるだろう。

 エテルナさんの反応からすると、見た目はクリアしたみたいだな。後は味次第か…。


「おっ?! こう来たか…」

「「え???」」


 最初に言葉を発したのは、
 まさかのオルテガさんだった。

 ノーマークだったな。あまり食に興味ないかと思ってた。思わず俺もセレナもビックリしたが、他の2人が何も言わないところを見ると、当たり前の光景なんだろうな。


「スクランブルエッグに、トマトのソースを合わせてくるとはねー。やられたわ」

「あぁ、これは美味いな」


 一時はどうなることかと思ったけど、一つ大きな壁を無事に乗り越えたようだ。


「喜んでもらえて良かったです」

 「おう! この調子で明日からも期待してるからな!」

 「楽しみにしてるわよー」

 「本当にな」


 3人の言葉がプレッシャーにもなるが、とりあえず今は認めてくれたことを素直に誇りたい。
 

 朝食を片付けながら、チェックアウトする人たちや、それぞれの理由で外出する人たちの対応していると、いろいろとお褒めの言葉をいただけた。


 こういう言葉は本当に励みになる。
 これからもこの気持ちを忘れないようにしなければ。



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