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第2章 宿屋
帰宅
しおりを挟むさすがセレナだ。
あっけなく帰宅許可をもらってきたので、お世話になった神官たちに礼を告げながら教会を後にした。
歩いて家に向かう途中、街のあちこちで建物が崩れてて、改めてスタンピードの脅威を目の当たりにした。
さすがにモンスターは全て討伐したようだが、傷跡というのはそうそう消えない。それは街も人も同様だ。それでも朝が来たからか、まばらに人は動いている。
そうこうしてるうちに家の近くまで来た。自分の家なのにやたらと緊張してきたが、心を決めて宿屋の扉を開けた。
「おう、シーマよく帰ってきたな!」
「シーマちゃんお帰り」
ガンマおじさんとリーザおばさんが、まるでそこにいるのが当たり前のように立っている。
「ガンマおじさん、リーザおばさん。セレナから聞きました。この宿のこと面倒見てくれてありがとうございました」
俺は頭を深く下げて感謝の礼をする。
「なぁに、当たり前のことをしただけだ。この宿が無くなると俺たちの野菜も売れないしな!」
ガンマおじさんはそう言うが、彼らの作る野菜は人気があるため、市場ではすぐ売れる。馴染みのウチには融通を利かせてくれてるのだ。
「お客さんたちに迷惑をかけずに済んだのはお2人のおかげです」
「いいのよー。本当に気にしないでいいから。困った時はお互い様なんだから」
「その通りだ。こんな時くらいは頼りにしてくれないとな!」
「本当にありがとうございました。非常に助かりました」
明るく振る舞ってはいるが、家族ぐるみで仲が良かっただけにガンマおじさんたちだってとても悲しいはずだ。それを表に出さないのはやっぱり大人なんだなって思う。
「気にしてるかもしれないから先に言っておくが、レギアスもシルビアももうお墓に入ってる。後でお墓参りに行くといい」
「そうなんですね…。何から何まですみません。」
後でお客の冒険者から聞いたことだが、父も母も激しい戦いだったため、遺体の損傷が激しかったらしい。そんな姿を息子には見せたくなかったんじゃないかってことだ。
「それでシーマ。お前はこれからどうするつもりだ」
ガンマおじさんの問いかけに、リーザおばさん、そしてセレナも耳を傾けている。
「俺はこの宿屋を継ぎます」
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