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9月30日
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ルアンはニーオとの約束を守る為、ティニーと時を共にしていた。
久しぶりの雨音が遠い天井を叩きつけ、そこらじゅうに雨漏りを齎す。だが、掬う容器もないので放置だ。
一緒に固いベッドに横になり、たった一枚の薄くて小さなシーツを共有して被る。体の弱いティニーを配慮して面積の大半をティニーに被せている為、ルアンは殆ど露出している状態に近い。
「お兄ちゃん寒くない?」
「大丈夫だよ、温かい」
だが、ティニーを抱く形で横にいると、凍えるくらいの寒さも気にならず、心が落ち着いた。
「良かった。そうだ、今日はニーオ君とメイカちゃんのところは行かなくても良いの?」
「今日はティニーと一緒にいるよ」
雨音が床に落ちる音は、まるで楽器みたいだ。寒さはあるが新鮮さもある。
「本当!? 嬉しい! じゃあまた本を読みましょう!?」
「良いよ。下にあるから取ってくるね」
ルアンは地下に下りると、少ない本の中から一冊、ティニーのお気に入りの本を手に取った。
ニーオは上手く言えただろうか、と無音で階段を上りながら、真っ赤になって笑うニーオの様子を想像してみる。
二人が恋人になったら疎外感に苛まれるかもしれない。あの後考えたが、それでも大事な仲間同士が親密になるのは、ルアンにとって喜び以外の何でもなかった。
「ティニー、取って来たよ。読もうか」
「うん!!」
ぱっと太陽のような笑顔を輝かせたティニーを見て、愛しい人の偉大さを改めて胸に抱く。
愛しさは希望になる。勿論逆の発想をすれば、簡単に絶望にもなるけれど。
二人で本を眺められるよう、うつ伏せでベッドに入り込む。ティニーも体を翻した。
「ティニー、大好きだよ」
「うん、私もお兄ちゃん大好きだよ」
二人してクスクスと笑ってから、薄くて煤けた表紙を開いた。
久しぶりの雨音が遠い天井を叩きつけ、そこらじゅうに雨漏りを齎す。だが、掬う容器もないので放置だ。
一緒に固いベッドに横になり、たった一枚の薄くて小さなシーツを共有して被る。体の弱いティニーを配慮して面積の大半をティニーに被せている為、ルアンは殆ど露出している状態に近い。
「お兄ちゃん寒くない?」
「大丈夫だよ、温かい」
だが、ティニーを抱く形で横にいると、凍えるくらいの寒さも気にならず、心が落ち着いた。
「良かった。そうだ、今日はニーオ君とメイカちゃんのところは行かなくても良いの?」
「今日はティニーと一緒にいるよ」
雨音が床に落ちる音は、まるで楽器みたいだ。寒さはあるが新鮮さもある。
「本当!? 嬉しい! じゃあまた本を読みましょう!?」
「良いよ。下にあるから取ってくるね」
ルアンは地下に下りると、少ない本の中から一冊、ティニーのお気に入りの本を手に取った。
ニーオは上手く言えただろうか、と無音で階段を上りながら、真っ赤になって笑うニーオの様子を想像してみる。
二人が恋人になったら疎外感に苛まれるかもしれない。あの後考えたが、それでも大事な仲間同士が親密になるのは、ルアンにとって喜び以外の何でもなかった。
「ティニー、取って来たよ。読もうか」
「うん!!」
ぱっと太陽のような笑顔を輝かせたティニーを見て、愛しい人の偉大さを改めて胸に抱く。
愛しさは希望になる。勿論逆の発想をすれば、簡単に絶望にもなるけれど。
二人で本を眺められるよう、うつ伏せでベッドに入り込む。ティニーも体を翻した。
「ティニー、大好きだよ」
「うん、私もお兄ちゃん大好きだよ」
二人してクスクスと笑ってから、薄くて煤けた表紙を開いた。
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