8 / 8
最終話:君が死んだなら
しおりを挟む
ベンチに浅く腰掛け、丸められた背中は何だか悲しげだ。服装こそ違う物の、あの日見た姿そのものだった。
吸い寄せられるように、慧の元へと向かう。しかし、慧は気配に気付かなかった。
近くまで行くと、携帯を見詰めていることが分かった。ここまで来ると、時間の巻き戻りを疑ってしまう。
もしそうならば、慧は自殺サイトを見ているはずだ。
「違った。家族写真だ」
「うわっ!」
振り向いた慧の瞼は、酷い腫れ方をしていた。今も角膜が濡れていて、泣いていた途中だと分かる。
以前とは違う場面に遭遇したからか、思わず絶句してしまった。すると、唐突に慧が笑いだした。
「……相変わらず、幽霊みたいに気配ねぇな、宮園は!」
「うん」
泣き顔を塗り潰す、無邪気な笑顔が貼りついている。維持したままで、笑い声を上げている。
ふと、傷跡が薄くなっていることに気付いた。春休みに入り、暴力を受ける機会が減った所為だろう。
だとすると、慧はなぜ泣いていたのだろう。家で嫌な事でもあったのだろうか。
「宮園、あのさ。俺、引っ越す事になったんだ」
「そう」
「って反応薄っ!」
突然の告白に、心はあまり動かなかった。だが、学校での苦難を嘆いていた彼にとって、良い転機になるのだろうとは思う。
「おめでとう?」
一般的には祝福すべき所だろう、と祝福を渡す。
だが、慧は何の返答もしなかった。ただただ、先ほどから浮かべている笑みを続けているだけだ。
「……なぁ、もう一回見てもらっていい? これで最後」
スッと差し出された手は、以前の物より大きく厳つくなっていた。
「うん、いいよ」
行為は、別れの儀式を彷彿とさせた。慧が私に近づく切っ掛けも、この能力だったのだ。
だから、きっと最後に求めてきた――。
「家族がさ、事故で死んだんだ」
言葉は脳に突き刺さり、内側で留まった。触れた指先は冷たく、冷え切っている。
「……うん」
目を合わせる為に仰ぐと、切なげな笑みが飛び込んできた。今にも泣きそうな瞳は、細くなり無邪気さを醸す。
今初めて、辛さを笑顔で被せたのだと分かった。気付かなかっただけで、今までもそうだったのかもしれない。
集中力を高める。彼の死が生み出す悲しみを探す。死にたいと言っていた彼が、家族が居るから死ねないと言っていた彼が、居なくなった後の悲しみを探す。探す。でも居ない。どこにも見えない。
ふと、遠くに一瞬、影が見えた――気がした。
「もうさ、良いよな。楽になっても」
集中が途切れ、意識が現実世界に戻った。慧の笑顔は崩れていた。
「宮園、教えてくれ。誰も悲しむ人間なんていないよな? もう良いよな?」
耐え切れず落ちた雫が、頬を滑り繋がった手に落下した。外気に触れた涙は、とうに冷たくなっていた。
「なぁ、宮園……」
たった一つ、何者かすら分からない影は見えた。けれど、それが人なのか、そもそも生きている者なのか、それさえ分からなくては伝えようがない。
それに、そんな曖昧な影が、慧を現世に繋ぎとめられるとは思わない。
「死ぬの?」
慧は、何も答えなかった。
表情から、考えが手に取るように分かった。他者の思惑を見透かすのは、これが初めてかもしれない。
彼は死ぬ。この目は死を見据えている目だ。誰かで見たイメージの中にもあった。
いつかに祖母に問った問いが、その答えが浮き上がる。死んだら悲しいと祖母のように言えたなら、一般人のような感性を持ち合わせていたならば、私は違う答えを出しただろうか。
繋がったままの手の平を、ぎゅっと握り締める。
「誰もいない、悲しまない。だから良いよ」
辛いなら逃げても構わないと、思わなかったのだろうか――。
「……ありがと宮園。じゃあ俺いくわ!」
力を抜いた瞬間、そっと手が離れる。再び湛えられた笑みは、開放感で満たされていた。
慧は用事が済んだのか、背を向け颯爽と出口を目指した。
途中、数秒だけ立ち止まる。
「そうそう! 俺さ、宮園のこと好きだったよ! ……そんだけ!」
そして、言い終えると全力疾走で去っていった。
「……変なの」
曲がり角に消えた瞬間を見たのにも関わらず、まるで世界から彼が消えてしまったような錯覚に襲われた。
少しだけ〝寂しさ〟を知った気分になった。
それから数日後、風の便りで慧の死を知った。
***
桜の咲かない入学式を終えたばかりの教室は、その話題で持ちきりだった。
事故か自殺か、それとも他殺か、と真相を探る声も、実は家庭内が崩壊していたらしい、とでっち上げる者も、多くの生徒達が噂に尾ひれをつけていた。
もちろん小声で話してはいたが、私には死を面白がっているように聞こえた。
あまり、良い気はしなかった。
慧は死んだ。自ら命を絶った。聞かなくとも私には分かる。
誰を悲しませるでもなく、彼は安楽を手に入れた。誰を悲しませるでもなく――。
手の平に、雫が落ちた。最後に味わった、あの冷たさは無かった。
気付けば、頬を涙が伝っていた。感情が追いつかないまま、雫だけが生まれては落ちる。
やっと、影の正体が分かった。今になって、やっと分かった。
影は、私だったんだ。
「み、宮園どうした!?」
泣いていると気付いた教師が、あからさまな動揺でこちらを見ている。そこで漸く周囲の視線を察知し、一旦教室から抜ける選択をした。
「いえ、何でも。少し保健室に行きます」
向かった先は、屋上だった。
***
開いた扉の先には、四方を覆われた世界が広がっていた。その向こうには、広い空がある。
きっと、慧は救われた。それなのに雫が落ちる。不思議と胸も痛い。はっきりと分かるほどに痛い。
きっと、これが悲しみという奴なのだろう。今まで、この目で見るだけだった感情を、今味わっているのだ。
慧はどこにも居ない。この学校にも、地上にも、広い空にも、天国にも地獄にもいない。
声も、息も、笑顔も、背中も傷も残らない。残るのは、記憶だけだ。
悲しいとは、こういう気持ちのことだったんだ。
本人が救われてでも死んで欲しくない気持ちが、少しだけ分かった気がした。
***
「先輩、変わった能力があるんですって? ちょっと僕のも見て下さいよ」
「うん、良いよ」
――教室の真ん中、目立つ場所で能力を発揮するからか、噂はたちまち広がっていった。半ば本気で来る者も遊び半分でくる者もいるようだが、見分ける力はまだ得られていない。
だが、どちらにせよ私が伝える事は一つだ。
「五人家族でいらっしゃるようですが、皆様泣いておられます。その中ではお母様が得に。死を考えるほど打ちひしがれますね。なので、絶対に死のうとなんてしないで下さい」
「……あ、はい、あざーっす……」
男子生徒は苦笑っていた。すぐさま手を解き、早足で去ってゆく。一応礼儀はあるのか、軽く会釈を残していった。
もう少し早く気付いて、慧に死なないで欲しいと言いたかった。
激しい後悔とまでは行かないが、小さな蟠りとして胸に住み着いている。恐らくこの先も、ずっと残り続けるだろう。
きっとこの能力は、彼を現世に繋ぎとめる為にあったのだ。間に合わなかったけれど。
だからせめて、誰かは繋ぎとめられるように、声を伝えようと思う。
今でも、〝悲しみ〟を理解しきれてはいない。救われるのなら送り出す方が優しいとも考えてしまう。
けれど、公園の横を通る度、裏庭を通る度、幾多のポイントで慧を思い出す度に、誰かを繋ぎとめるのも優しさではないかと考えるのだ。
短期間で、彼は私にそれを教えた。
慧と出会った季節は、直ぐそこだ。
吸い寄せられるように、慧の元へと向かう。しかし、慧は気配に気付かなかった。
近くまで行くと、携帯を見詰めていることが分かった。ここまで来ると、時間の巻き戻りを疑ってしまう。
もしそうならば、慧は自殺サイトを見ているはずだ。
「違った。家族写真だ」
「うわっ!」
振り向いた慧の瞼は、酷い腫れ方をしていた。今も角膜が濡れていて、泣いていた途中だと分かる。
以前とは違う場面に遭遇したからか、思わず絶句してしまった。すると、唐突に慧が笑いだした。
「……相変わらず、幽霊みたいに気配ねぇな、宮園は!」
「うん」
泣き顔を塗り潰す、無邪気な笑顔が貼りついている。維持したままで、笑い声を上げている。
ふと、傷跡が薄くなっていることに気付いた。春休みに入り、暴力を受ける機会が減った所為だろう。
だとすると、慧はなぜ泣いていたのだろう。家で嫌な事でもあったのだろうか。
「宮園、あのさ。俺、引っ越す事になったんだ」
「そう」
「って反応薄っ!」
突然の告白に、心はあまり動かなかった。だが、学校での苦難を嘆いていた彼にとって、良い転機になるのだろうとは思う。
「おめでとう?」
一般的には祝福すべき所だろう、と祝福を渡す。
だが、慧は何の返答もしなかった。ただただ、先ほどから浮かべている笑みを続けているだけだ。
「……なぁ、もう一回見てもらっていい? これで最後」
スッと差し出された手は、以前の物より大きく厳つくなっていた。
「うん、いいよ」
行為は、別れの儀式を彷彿とさせた。慧が私に近づく切っ掛けも、この能力だったのだ。
だから、きっと最後に求めてきた――。
「家族がさ、事故で死んだんだ」
言葉は脳に突き刺さり、内側で留まった。触れた指先は冷たく、冷え切っている。
「……うん」
目を合わせる為に仰ぐと、切なげな笑みが飛び込んできた。今にも泣きそうな瞳は、細くなり無邪気さを醸す。
今初めて、辛さを笑顔で被せたのだと分かった。気付かなかっただけで、今までもそうだったのかもしれない。
集中力を高める。彼の死が生み出す悲しみを探す。死にたいと言っていた彼が、家族が居るから死ねないと言っていた彼が、居なくなった後の悲しみを探す。探す。でも居ない。どこにも見えない。
ふと、遠くに一瞬、影が見えた――気がした。
「もうさ、良いよな。楽になっても」
集中が途切れ、意識が現実世界に戻った。慧の笑顔は崩れていた。
「宮園、教えてくれ。誰も悲しむ人間なんていないよな? もう良いよな?」
耐え切れず落ちた雫が、頬を滑り繋がった手に落下した。外気に触れた涙は、とうに冷たくなっていた。
「なぁ、宮園……」
たった一つ、何者かすら分からない影は見えた。けれど、それが人なのか、そもそも生きている者なのか、それさえ分からなくては伝えようがない。
それに、そんな曖昧な影が、慧を現世に繋ぎとめられるとは思わない。
「死ぬの?」
慧は、何も答えなかった。
表情から、考えが手に取るように分かった。他者の思惑を見透かすのは、これが初めてかもしれない。
彼は死ぬ。この目は死を見据えている目だ。誰かで見たイメージの中にもあった。
いつかに祖母に問った問いが、その答えが浮き上がる。死んだら悲しいと祖母のように言えたなら、一般人のような感性を持ち合わせていたならば、私は違う答えを出しただろうか。
繋がったままの手の平を、ぎゅっと握り締める。
「誰もいない、悲しまない。だから良いよ」
辛いなら逃げても構わないと、思わなかったのだろうか――。
「……ありがと宮園。じゃあ俺いくわ!」
力を抜いた瞬間、そっと手が離れる。再び湛えられた笑みは、開放感で満たされていた。
慧は用事が済んだのか、背を向け颯爽と出口を目指した。
途中、数秒だけ立ち止まる。
「そうそう! 俺さ、宮園のこと好きだったよ! ……そんだけ!」
そして、言い終えると全力疾走で去っていった。
「……変なの」
曲がり角に消えた瞬間を見たのにも関わらず、まるで世界から彼が消えてしまったような錯覚に襲われた。
少しだけ〝寂しさ〟を知った気分になった。
それから数日後、風の便りで慧の死を知った。
***
桜の咲かない入学式を終えたばかりの教室は、その話題で持ちきりだった。
事故か自殺か、それとも他殺か、と真相を探る声も、実は家庭内が崩壊していたらしい、とでっち上げる者も、多くの生徒達が噂に尾ひれをつけていた。
もちろん小声で話してはいたが、私には死を面白がっているように聞こえた。
あまり、良い気はしなかった。
慧は死んだ。自ら命を絶った。聞かなくとも私には分かる。
誰を悲しませるでもなく、彼は安楽を手に入れた。誰を悲しませるでもなく――。
手の平に、雫が落ちた。最後に味わった、あの冷たさは無かった。
気付けば、頬を涙が伝っていた。感情が追いつかないまま、雫だけが生まれては落ちる。
やっと、影の正体が分かった。今になって、やっと分かった。
影は、私だったんだ。
「み、宮園どうした!?」
泣いていると気付いた教師が、あからさまな動揺でこちらを見ている。そこで漸く周囲の視線を察知し、一旦教室から抜ける選択をした。
「いえ、何でも。少し保健室に行きます」
向かった先は、屋上だった。
***
開いた扉の先には、四方を覆われた世界が広がっていた。その向こうには、広い空がある。
きっと、慧は救われた。それなのに雫が落ちる。不思議と胸も痛い。はっきりと分かるほどに痛い。
きっと、これが悲しみという奴なのだろう。今まで、この目で見るだけだった感情を、今味わっているのだ。
慧はどこにも居ない。この学校にも、地上にも、広い空にも、天国にも地獄にもいない。
声も、息も、笑顔も、背中も傷も残らない。残るのは、記憶だけだ。
悲しいとは、こういう気持ちのことだったんだ。
本人が救われてでも死んで欲しくない気持ちが、少しだけ分かった気がした。
***
「先輩、変わった能力があるんですって? ちょっと僕のも見て下さいよ」
「うん、良いよ」
――教室の真ん中、目立つ場所で能力を発揮するからか、噂はたちまち広がっていった。半ば本気で来る者も遊び半分でくる者もいるようだが、見分ける力はまだ得られていない。
だが、どちらにせよ私が伝える事は一つだ。
「五人家族でいらっしゃるようですが、皆様泣いておられます。その中ではお母様が得に。死を考えるほど打ちひしがれますね。なので、絶対に死のうとなんてしないで下さい」
「……あ、はい、あざーっす……」
男子生徒は苦笑っていた。すぐさま手を解き、早足で去ってゆく。一応礼儀はあるのか、軽く会釈を残していった。
もう少し早く気付いて、慧に死なないで欲しいと言いたかった。
激しい後悔とまでは行かないが、小さな蟠りとして胸に住み着いている。恐らくこの先も、ずっと残り続けるだろう。
きっとこの能力は、彼を現世に繋ぎとめる為にあったのだ。間に合わなかったけれど。
だからせめて、誰かは繋ぎとめられるように、声を伝えようと思う。
今でも、〝悲しみ〟を理解しきれてはいない。救われるのなら送り出す方が優しいとも考えてしまう。
けれど、公園の横を通る度、裏庭を通る度、幾多のポイントで慧を思い出す度に、誰かを繋ぎとめるのも優しさではないかと考えるのだ。
短期間で、彼は私にそれを教えた。
慧と出会った季節は、直ぐそこだ。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ノイズノウティスの鐘の音に
有箱
現代文学
鐘の鳴る午前10時、これは処刑の時間だ。
数年前、某国に支配された自国において、原住民達は捕獲対象とされていた。捕らえられれば重労働を強いられ、使えなくなった人間は処刑される。
逃げなければ、待つのは死――。
これは、生きるため逃げ続ける、少年たちの逃亡劇である。
2016.10完結作品です。
パラレルライン─「後悔」発、「もしも」行き─
石田空
ライト文芸
バイト先のリニューアル工事で、突然収入源を絶たれてしまった苦学生のフク。
困り果てていたところで【パラレルライン売店店員募集】という怪しいチラシが降ってきた。背に腹は変えられないと行きついた先には、後悔を抱えた人しか入ることのできない路線、パラレルラインの駅だった。駅長の晴曰く、この路線は「もしも」の世界へと行くことができるという。
こうしてフクはアルバイトに励みながら、後悔を抱えてもしもの世界に移り住むことを希望する人たちを見送ることとなる。やがてフクや晴にも、後悔と向き合うときが訪れる……。
「もしもあのとき、こうすればよかった」を本当に行えるとしたら、未来は変えられますか?
サイトより転載となります。
幽閉アリスは夢を見る
有箱
現代文学
〝不思議な国のアリス〟と言う本の自由な登場人物に憧れるアリス。アリスにとって、部屋の中が世界の全てだった。
退屈な日々を過ごしていたアリスだが、ある月の夜、夢の中で登場人物の一人である〝白うさぎ〟と出会う。
【R15】いなか、の、じけん~ハートは意外と頑丈だった
あおみなみ
現代文学
1979年春。
小学5年生になったばかりの「久美」は、
母親にないがしろにされることを少し気に病みつつも、
平々凡々とした毎日を送っていたが、ある日突然、事件に巻き込まれる。
(軽い性的表現がありますので、閲覧にはご注意を)
少年少女たちの日々
原口源太郎
恋愛
とある大国が隣国へ武力侵攻した。
世界の人々はその行為を大いに非難したが、争いはその二国間だけで終わると思っていた。
しかし、その数週間後に別の大国が自国の領土を主張する国へと攻め入った。それに対し、列国は武力でその行いを押さえ込もうとした。
世界の二カ所で起こった戦争の火は、やがてあちこちで燻っていた紛争を燃え上がらせ、やがて第三次世界戦争へと突入していった。
戦争は三年目を迎えたが、国連加盟国の半数以上の国で戦闘状態が続いていた。
大海を望み、二つの大国のすぐ近くに位置するとある小国は、激しい戦闘に巻き込まれていた。
その国の六人の少年少女も戦いの中に巻き込まれていく。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
愛する人は、貴方だけ
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。
天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。
公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。
平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。
やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる