とある少女の物語

有箱

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「というお話がありましたとさ、おしまい」
「えー! 終わっちゃったの!? 続きはないの? 二人はどうなったの?」

 ベッドの上、子どもと母親が二人で横たわっている。母親が空で聞かせた物語に、子どもは納得がいかない様子だった。

「それはね、もう少し大きくなったらきっと分かるわ」

 母親が柔らかな瞳で子どもに微笑む。子どもは対称的に頬を膨らませた。

「えーなんでー? 今は内緒なのー?」
「そうよ、だから楽しみにしておいて」
「うーん、分かった! でもねママ、私の考えではね、呪いが解けて幸せになったと思うわ!」
「ふふ、どうでしょうね。さぁ良い子はもう寝る時間よ」

 母親が優しく頭を撫でる。プロセスのように子どもは目を閉じた。物語の続きでも想像しているのか、口元が幸せそうだ。

「おやすみ、私の愛しい子」

 無防備なその顔に、母親は再び微笑んだ。
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