最下位少女

有箱

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Lotta-4

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 試験は全て終えた。今は、体育館で結果が出るのを待っている。順位など分かりきっているけれど。

 着席順は自由で、右隣にはモアが、その向こうにはエレーナがいて、エレーナはモアに身を寄せていた。

 視界が霞む。気を抜けば、その瞬間に気絶しそうだ。

「エレーナ、大丈夫そうか?」

 モアへ小さく問うと、「取り敢えずはね」と返答してくれた。エレーナの髪を愛しそうに撫でながら。

 エレーナはと言うと、意識がないのか、会話に反応を示さなかった。

「ロッタさ、身代わりになる積もりでしょ」

 エレーナを見たまま、モアが早口で言う。意外ではないが、図星を付かれて正直驚いた。

「筆記試験で答え書いてないの、僕の席から丸見えだよ。エレーナを助けたいなら、なんで僕に言ってくれないの」
「ごめん。モアも大事な友達だからさ、巻き込みたくなかったんだ」
「そんなのは僕だって同じだよ」

 遠くで人影が動いた。結果を告げる人間が来たようだ。とうとう、結果が出てしまう。

「今から最下位の者を発表する。呼ばれた者は立ち、速やかに私と来るように」

 心臓が高鳴った。分かっていても、怖いものは怖い。幾ら、自分の選んだ道だとしても。

 でも、きっと彼女を救うことは出来た。
 それだけで十分だ――。

「尚、今回は王国100周年を記念して、下位2名の処刑を実施することとなった」

 そう、それだけで良かったのに。

 予期せぬ事態に動揺してしまう。変化した結末が浮かび、無意識に右側を見てしまった。

 審査員を睨むモアの向こう、エレーナは顔を上げこちらを見ていた。その顔は涙に塗れている。まだ、意識はあったらしい。

「エレーナ、ごめん……」

 助けると言ったのに出来なかった。無念さに苛まれ、涙が溢れてくる。
 可視出来るほど全身を震わせながら、エレーナが口角をあげた。唇が動く。

〝大丈夫。二人なら怖くないよ〟

 そう言った気がした。

 そうだ。抗う術はもう無い。力を発揮できなかった俺たちに、生きるという選択はない。
 ごめん、エレーナ。ごめん。

「諦める必要はないよ」

 突如モアの声が入って来て、諦めの空気を切り裂いた。向けられた顔は笑っている。それも無理やりではない、自然な笑顔だ。

「ロッタ、君はエレーナを守ったんだ。そして僕もね」

 審査員が呼んだのは、俺とモアの名前だった。
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