3 / 17
3
しおりを挟む
◆
「…顔青いですが、大丈夫ですか?」
エルの表情は、今日も不安げだ。笑顔でありながら、心配の色がはっきりしている。
「…今週に入って、何回倒れました?」
「うーん、4回位かな?増えてるよね」
カノンの、控え目な笑顔で思い出す仕草から、見えた事実にエルは軽い溜め息を漏らす。
「……記録してないんですね…」
「うん、もう面倒になってきちゃって、御免なさい」
当初エルから、不調の具合等を記録するように言われていたのだが、その頻度が多くなり、何時の間にかやめてしまった。
エルは、白いシャツの腕部分に滲む、濁った赤色を何気なく一瞥した。
「……心配ですねぇ」
「ありがとう、エルさんは優しいね」
「普通ですよ、減らすようにシンくんに言いましょうか?」
明確な内容は無くともカノンには、何について言及しているのか直ぐに分かった。
「良いの、シンも辛いんだから。僕が出来る事これ位だし」
カノンは腕を軽く上げて、笑って見せる。
エルは苦笑いして、何やら記入していた二つ折りのファイルを、折りたたみ鞄へ片付けた。
「じゃあ、行きますね」
「今日も有り難う御座いました」
後方で静かな息をするカノンの、どこか幸せそうな顔を一瞥して、エルは無意識に眉間の間、皺を寄せた。
◆
「お早うシン、よく眠れた?」
今日は、カノンの方が早起きだった。
家事に勤しんでいたのか手の平が濡れていて、白いシャツにも、もこもこしたカーディガンにも水が滲んでいる。
腹部の布の先、透けて見える傷の色に見惚れてしまう。
「寝れた、カノンは早起きだな」
「今日は早く起きたんだ、それより見て」
閉じていたカーテンを大きく開くと、眩しい光が差し込めた。反射的にシンは、目を細める。
しかし、カノンの求める物の理解に努める為、その目を開いた。
すると窓の外、チラつく雪が見えた。
「今日は雪が降ってるんだよ」
「…寒い訳だ…」
雪を見たからかシンは寒気を自覚して、かかっていた毛布を纏めて手繰り寄せる。
そしてから、小さく手招きした。
カノンは誘われて、毛布の中に入り込む。
「冷えてる、服着替えなきゃ」
毛布の中で濡れた部分に触れると、既に冷気に冷やされ冷たくなっていた。
そのまま服を捲くり、直接腹部から胸部へと指先を這わせてゆく。
「この後着替えるよ、それより今日は温かいもの作ってよ、お腹すいた」
「分かった」
シンは直ぐに手を離すと、毛布を極力揺らさないように外に出た。
部屋は暖房が付けられて居らず、とても静かだ。しかしその分、部屋内はとても寒い。
「暖房付けようか」
「良いよ直ぐ行くし、キッチンは付けたよ」
「分かった」
シンが扉を潜り姿を消したのを見て、カノンも着替える為毛布から抜け出た。
◇
身にしみる寒さから冬を自覚していたが、雪を見ると本格的な深まりを感じる。
食事すると、対して予定の無かったカノンは、途中だった本を捲くり始めた。
対してシンは何もせず、カノンをじっと見詰めている。しかし、カノンは気にしない。この過ごし方は、日常的なのだ。
暖房の力で、部屋は適温になっている。温度保持の為、カーテンは締め切られて雪景色は見えない。
◇
暫くして、読み終わったカノンが本を閉じた。表紙に外国の風景が使われている、旅行記録を少し誇張し壮大に描いた小説だ。
「終わり?」
「もう何回かめだから、内容覚えちゃって」
カノンは、苦笑いする。
「エルさんにお願いしようか」
「そうだね」
本屋は遠くにあり、ネット通販の方法も知らない無知な二人は、本の購入をエルに頼んでいる。
「そう言えば、この間写真集買って来てもらったんだけど、まだ見せてないよね」
「何の?」
「今回は自然現象集めたやつだよ」
カノンは、好んで旅行記や写真集など、現実に近い内容を扱った本を好んだ。
自然的に作られる美しい風景や、それを見た人々の感動する姿が堪らなく好きなのだ。
カノンは写真集を置いた場所を、思い出して立ち上がる。
するとその体が揺れ、シンの目の前から消えた。
直ぐに状況を理解したシンは、椅子から立ち直ぐに駆け寄る。
「カノン」
「……はは、大丈夫…」
抱え上げられたカノンは、力なく笑う。しかし、意識はあっても力は無いのか、抱えられるままだ。
「具合悪い?」
「うーん、そうは思わなかったんだけど、何時ものだよ」
「そうか、ベッドに行こう」
カノンを両腕に抱いたままシンは立ち上がり、抱え上げ、寝室へと爪先を向けた。
◇
≪エルさん、最近カノンが変≫
仕事の合間、入っていた電話に対応したエルは、繋がって早々淡々と告げられて声を失う。
「変とは?具体的には何があって思ったんです?」
正直の所、動揺がエルを襲っていた。しかし、医師をしてきて培った冷静さで、己を静める。
≪よく倒れる≫
どうやら、シンも気付いたらしい。エルはその事実を知り、心のどこかで安心感を生み出していた。
「……原因、分かってるでしょう?」
≪……うん≫
「少し、減らした方が良いですよ」
≪……うん≫
しかし彼は、何を考えているのかよく分からない部分がある。それを言ってしまえば、カノンも同じだが。
二人の過去には一体何があり、どういった経緯があって今に至っているのか、エルは全く想像も出来ない世界に焦点を向ける。
しかし、考えた所で分かる筈もないので流した。
◆
数日間、雪は降り続いた。この地域は、よく雪が降る。そして降った際には、よく積もる。
だがそんな事は、この家には関係ない。
カーテンで隔てられた部屋は暗くて、景色など見えないのだから。
寝室のベッドにて、横から細かな息遣いが聞こえ、カノンは目を覚ましていた。
昨日も、夕方倒れてそれっきりだ。
「…シン…?」
横を見ると、顔を半分ほど毛布に埋めて、呼吸を荒げるシンの姿が見えた。
この時ばかりは、普段表情の無いシンも素直に苦痛を見せる。
「大丈夫?シン、シン…!」
「…カノン…怖い…」
悪夢でも、見たのだろう。恐らく昨夜、日常行為を疎かにしたからだ。
震えが触れた指先から伝わり、深刻さを物語る。
「ちょっと待って」
カノンはすぐさま、ベッド脇の小棚の、一番上の引き出しを引いた。
カッターナイフの刃を数センチ押し上げ、袖を落とした手首に宛がう。
「見て」
促され、ぎゅっと瞑った瞳を見開くと、ぽたぽたと落ちてくる血液が見えた。直ぐに、傷のある手首を両手で包み、視線の先へと引き寄せる。
切れ切れの傷から漏れ出す血が流れ出す前に、シンは無心で舐め取り続けた。
◇
「…落ち着いた?…夜、起こしてくれれば良いのに」
「……うん…」
どちらへの肯定か分からなかったが、カノンは追求を無しにした。
目の前のシンは、手の平や口元に血を付けながらも、いつも通りの無表情を浮かべている。状態としては、少し額が湿っている程度だ。
「変な夢でも見た?」
「…ちょっとね…」
何気ない台詞の中に、隠したい気持ちが垣間見え、カノンは直ぐに話を放棄した。
「今何時?」
シンは、枕元に置いておいた携帯を手繰り寄せ、電源を入れる。すると直ぐに、画面に文字が現れた。
「………えっと、7時24分…・・・」
「そっかー、うーん、もう一眠りしようかな」
血を見せていた時間を除けば、起床したのはそれより前になる。
カノンは軽く欠伸して、手当てもなしに再度鼻元まで毛布を被った。
シンは一連の行動を、唯々じっと見詰めていた。
◇
――――血の色は、安らぎの色。
シンの中でその定義が出来たのは、ずっとずっと昔の話だ。
思い出したくもない残酷な日々の最後、解放の日に見た真っ赤な血の海を、今も鮮明に思い出す。
シンは、悪夢の内容を再度思いだしたものの、安らいだ心が傷に泣くことは無かった。
余程眠かったのか、すっかり熟睡してしまったカノンの白い髪を救っては落とす。
「……綺麗……」
髪に隠れた傷跡に目を止めて、シンは一人呟いた。
「…顔青いですが、大丈夫ですか?」
エルの表情は、今日も不安げだ。笑顔でありながら、心配の色がはっきりしている。
「…今週に入って、何回倒れました?」
「うーん、4回位かな?増えてるよね」
カノンの、控え目な笑顔で思い出す仕草から、見えた事実にエルは軽い溜め息を漏らす。
「……記録してないんですね…」
「うん、もう面倒になってきちゃって、御免なさい」
当初エルから、不調の具合等を記録するように言われていたのだが、その頻度が多くなり、何時の間にかやめてしまった。
エルは、白いシャツの腕部分に滲む、濁った赤色を何気なく一瞥した。
「……心配ですねぇ」
「ありがとう、エルさんは優しいね」
「普通ですよ、減らすようにシンくんに言いましょうか?」
明確な内容は無くともカノンには、何について言及しているのか直ぐに分かった。
「良いの、シンも辛いんだから。僕が出来る事これ位だし」
カノンは腕を軽く上げて、笑って見せる。
エルは苦笑いして、何やら記入していた二つ折りのファイルを、折りたたみ鞄へ片付けた。
「じゃあ、行きますね」
「今日も有り難う御座いました」
後方で静かな息をするカノンの、どこか幸せそうな顔を一瞥して、エルは無意識に眉間の間、皺を寄せた。
◆
「お早うシン、よく眠れた?」
今日は、カノンの方が早起きだった。
家事に勤しんでいたのか手の平が濡れていて、白いシャツにも、もこもこしたカーディガンにも水が滲んでいる。
腹部の布の先、透けて見える傷の色に見惚れてしまう。
「寝れた、カノンは早起きだな」
「今日は早く起きたんだ、それより見て」
閉じていたカーテンを大きく開くと、眩しい光が差し込めた。反射的にシンは、目を細める。
しかし、カノンの求める物の理解に努める為、その目を開いた。
すると窓の外、チラつく雪が見えた。
「今日は雪が降ってるんだよ」
「…寒い訳だ…」
雪を見たからかシンは寒気を自覚して、かかっていた毛布を纏めて手繰り寄せる。
そしてから、小さく手招きした。
カノンは誘われて、毛布の中に入り込む。
「冷えてる、服着替えなきゃ」
毛布の中で濡れた部分に触れると、既に冷気に冷やされ冷たくなっていた。
そのまま服を捲くり、直接腹部から胸部へと指先を這わせてゆく。
「この後着替えるよ、それより今日は温かいもの作ってよ、お腹すいた」
「分かった」
シンは直ぐに手を離すと、毛布を極力揺らさないように外に出た。
部屋は暖房が付けられて居らず、とても静かだ。しかしその分、部屋内はとても寒い。
「暖房付けようか」
「良いよ直ぐ行くし、キッチンは付けたよ」
「分かった」
シンが扉を潜り姿を消したのを見て、カノンも着替える為毛布から抜け出た。
◇
身にしみる寒さから冬を自覚していたが、雪を見ると本格的な深まりを感じる。
食事すると、対して予定の無かったカノンは、途中だった本を捲くり始めた。
対してシンは何もせず、カノンをじっと見詰めている。しかし、カノンは気にしない。この過ごし方は、日常的なのだ。
暖房の力で、部屋は適温になっている。温度保持の為、カーテンは締め切られて雪景色は見えない。
◇
暫くして、読み終わったカノンが本を閉じた。表紙に外国の風景が使われている、旅行記録を少し誇張し壮大に描いた小説だ。
「終わり?」
「もう何回かめだから、内容覚えちゃって」
カノンは、苦笑いする。
「エルさんにお願いしようか」
「そうだね」
本屋は遠くにあり、ネット通販の方法も知らない無知な二人は、本の購入をエルに頼んでいる。
「そう言えば、この間写真集買って来てもらったんだけど、まだ見せてないよね」
「何の?」
「今回は自然現象集めたやつだよ」
カノンは、好んで旅行記や写真集など、現実に近い内容を扱った本を好んだ。
自然的に作られる美しい風景や、それを見た人々の感動する姿が堪らなく好きなのだ。
カノンは写真集を置いた場所を、思い出して立ち上がる。
するとその体が揺れ、シンの目の前から消えた。
直ぐに状況を理解したシンは、椅子から立ち直ぐに駆け寄る。
「カノン」
「……はは、大丈夫…」
抱え上げられたカノンは、力なく笑う。しかし、意識はあっても力は無いのか、抱えられるままだ。
「具合悪い?」
「うーん、そうは思わなかったんだけど、何時ものだよ」
「そうか、ベッドに行こう」
カノンを両腕に抱いたままシンは立ち上がり、抱え上げ、寝室へと爪先を向けた。
◇
≪エルさん、最近カノンが変≫
仕事の合間、入っていた電話に対応したエルは、繋がって早々淡々と告げられて声を失う。
「変とは?具体的には何があって思ったんです?」
正直の所、動揺がエルを襲っていた。しかし、医師をしてきて培った冷静さで、己を静める。
≪よく倒れる≫
どうやら、シンも気付いたらしい。エルはその事実を知り、心のどこかで安心感を生み出していた。
「……原因、分かってるでしょう?」
≪……うん≫
「少し、減らした方が良いですよ」
≪……うん≫
しかし彼は、何を考えているのかよく分からない部分がある。それを言ってしまえば、カノンも同じだが。
二人の過去には一体何があり、どういった経緯があって今に至っているのか、エルは全く想像も出来ない世界に焦点を向ける。
しかし、考えた所で分かる筈もないので流した。
◆
数日間、雪は降り続いた。この地域は、よく雪が降る。そして降った際には、よく積もる。
だがそんな事は、この家には関係ない。
カーテンで隔てられた部屋は暗くて、景色など見えないのだから。
寝室のベッドにて、横から細かな息遣いが聞こえ、カノンは目を覚ましていた。
昨日も、夕方倒れてそれっきりだ。
「…シン…?」
横を見ると、顔を半分ほど毛布に埋めて、呼吸を荒げるシンの姿が見えた。
この時ばかりは、普段表情の無いシンも素直に苦痛を見せる。
「大丈夫?シン、シン…!」
「…カノン…怖い…」
悪夢でも、見たのだろう。恐らく昨夜、日常行為を疎かにしたからだ。
震えが触れた指先から伝わり、深刻さを物語る。
「ちょっと待って」
カノンはすぐさま、ベッド脇の小棚の、一番上の引き出しを引いた。
カッターナイフの刃を数センチ押し上げ、袖を落とした手首に宛がう。
「見て」
促され、ぎゅっと瞑った瞳を見開くと、ぽたぽたと落ちてくる血液が見えた。直ぐに、傷のある手首を両手で包み、視線の先へと引き寄せる。
切れ切れの傷から漏れ出す血が流れ出す前に、シンは無心で舐め取り続けた。
◇
「…落ち着いた?…夜、起こしてくれれば良いのに」
「……うん…」
どちらへの肯定か分からなかったが、カノンは追求を無しにした。
目の前のシンは、手の平や口元に血を付けながらも、いつも通りの無表情を浮かべている。状態としては、少し額が湿っている程度だ。
「変な夢でも見た?」
「…ちょっとね…」
何気ない台詞の中に、隠したい気持ちが垣間見え、カノンは直ぐに話を放棄した。
「今何時?」
シンは、枕元に置いておいた携帯を手繰り寄せ、電源を入れる。すると直ぐに、画面に文字が現れた。
「………えっと、7時24分…・・・」
「そっかー、うーん、もう一眠りしようかな」
血を見せていた時間を除けば、起床したのはそれより前になる。
カノンは軽く欠伸して、手当てもなしに再度鼻元まで毛布を被った。
シンは一連の行動を、唯々じっと見詰めていた。
◇
――――血の色は、安らぎの色。
シンの中でその定義が出来たのは、ずっとずっと昔の話だ。
思い出したくもない残酷な日々の最後、解放の日に見た真っ赤な血の海を、今も鮮明に思い出す。
シンは、悪夢の内容を再度思いだしたものの、安らいだ心が傷に泣くことは無かった。
余程眠かったのか、すっかり熟睡してしまったカノンの白い髪を救っては落とす。
「……綺麗……」
髪に隠れた傷跡に目を止めて、シンは一人呟いた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
孤独な蝶は仮面を被る
緋影 ナヅキ
BL
とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。
全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。
さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。
彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。
あの日、例の不思議な転入生が来るまでは…
ーーーーーーーーー
作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。
学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。
所々シリアス&コメディ(?)風味有り
*表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい
*多少内容を修正しました。2023/07/05
*お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25
*エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
忘れられない君の香
秋月真鳥
BL
バルテル侯爵家の後継者アレクシスは、オメガなのに成人男性の平均身長より頭一つ大きくて筋骨隆々としてごつくて厳つくてでかい。
両親は政略結婚で、アレクシスは愛というものを信じていない。
母が亡くなり、父が借金を作って出奔した後、アレクシスは借金を返すために大金持ちのハインケス子爵家の三男、ヴォルフラムと契約結婚をする。
アレクシスには十一年前に一度だけ出会った初恋の少女がいたのだが、ヴォルフラムは初恋の少女と同じ香りを漂わせていて、契約、政略結婚なのにアレクシスに誠実に優しくしてくる。
最初は頑なだったアレクシスもヴォルフラムの優しさに心溶かされて……。
政略結婚から始まるオメガバース。
受けがでかくてごついです!
※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる