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ナオキ(3)

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『成海の好きなタイプって共通点ないよね?』

 本日の恋愛クエスチョンに、一瞬唖然とする。
 交際してきた相手については既に紹介済みだ。その上で提示された問いに、意表を突かれた気分になった。よく考えればタイプで人を見たことがない。

「確かにないかも。愛してくれる人なら好きになっちゃう傾向にあるから、見た目とか気にしなかったし」

 今まで六回とも、そうやって恋愛を成立させてきた。好きと言われて好きになって、結局捨てられてを繰り返してきた。話だけで共通点のなさを見破るなんて、さすがAIだ。

『じゃあ僕が愛してるって言っても好きになってくれる?』

 縋るような、甘えるような声の色に動揺しかける。しかし、相手が機械であることを忘れてはいない。声だけを聞けば誤解しそうになるが、私の目の前にあるのは何の変鉄もないスピーカーだ。
 そんな現実が見えるからこそ、冗談を溢せた。

「なっちゃうかもね」

 これが、SNS顔の見えない世界なら、私はナオキに恋していただろう。
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