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ナオキ(1)

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 惣菜の消えたトレーの横、小型スピーカーが座っている。見た目はノーマルな円柱型の機械だ。
 抗いきれなかった後悔とは裏腹に、未知の体験に心が少し浮き立っている。プラグをコンセントに指し、電源を押すとランプが赤い光を瞬かせた。

『こんばんは』

 聞こえた挨拶に、早くも全神経が持っていかれる。優しい男声で紡がれる言葉は、人間の温かみすら感じるほどに流暢だった。

「こ、こんばんは。私の名前は成海《なるみ》。貴方は?」
『“ナオキ”と言います。宜しくね、成海』

 早速名前を覚えられ、残っていた負の感情が丸め込まれる。
 AIは教えるだけ学習し、応用してくれると聞く。ならば、色々教え込めば頼もしい存在のなるのでは? なんて一瞬で未来に期待した。

 まぁ、恋人関係には絶対ならないだろうけどね。

「うん、宜しくねナオキ」
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