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第十三話

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 開くと直ぐ応募フォームが現れた。ぱっと見で、入力項目が多数あると把握する。
 葉月がやってきて問い質される心配も生じたが、本当の事を言えば問題ないだろう。いや、出来る事なら当選してから目的を打ち明けたい所だが。
 幾多の項目の殆どはアンケートだった。任意で入力する箇所が多い。

*貴方は何故この募集に参加しようと思いましたか?
*出来るだけ細かく生い立ちを教えてください。
*自分の存在が消去された場合の利点を思い付くだけあげて下さい。

 など、つい溜め息を吐きそうになる内容が占めている。ネガティブな人間なら、質問を見るだけで死にたくなりそうだ。
 悲観的な意見を求めているのが目に見えた為、心から消去を願う人間には申し訳ないと思いつつ偽りの回答を入力した。空想に慣れているからか、それは容易かった。

 つい先日、過去を暴露したというのに、葉月の態度は以前と何も変わらなかった。ニコニコとしていて、いつもどこか楽しげだ。改めて見てみても、悲惨な経験を味わってきたようには見えない。

「同じ本ばっかり厭きない?」

 葉月は大体同じ本を読む。その中には、もちろんあの2冊も含まれている。その他の書籍も何冊かあるが。

「好きだから何回読んでも面白いの。魅力聞きたい? 語ろうか?」

 寧ろ語らせてくれ、と言わんばかりの輝きに、自然と笑みが零れていた。

「じゃあそうだな、語り合おう」

 散らかった机はそのままに、少しだけ距離を詰める。覗き込む体勢を取ると葉月は本を傾けてくれた。つらつらと並んだ活字の文字を軽く追う。

「ちょうど好きなシーンを読んでたんだよ」

 場面に至るまでのストーリーを記憶から引っ張り出し、共感を示す為の言葉を編んだ。
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