ボクの父さんはダメおやじ

４-３

「やっぱりそうだ！　君は異界の存在を知っているかな！？」

　怯えの抜けない肩を、両手でガッツリと掴まれる。恐怖の傍らで浮かび上がったのは“変な人”とのワードだった。
　宗教か、それとも変質者か。もしかしたら異世界に連れていかれる！？　
　現実的な恐怖と、本能的な恐怖で心臓がバクバクしている。

「えっ……あっ……」

　否定の代わりに汗が流れ出た。男の両手から、動けなくなる毒でも出ているみたいだ。

「君はこの写真の子だよね？」
「えっ」

　離れた右手に、求めていた物体が現れる。チャラリと甲高い音を鳴らし、鍵二つとキーホルダーが揺れた。

「私たちはね、未確認の発見に全てをかけているんだ！　君はその為の大きな一歩になる！　是非君には話が聞きたい！　だから、こちらへ来てくれたまえ！」

　意味の分からない呪文を前に、先程以上に固まってしまう。瞬間的に手首を捕まれ、ぐいと引かれた。重心が操られる。

　嫌だ！　行きたくない！　怖い！　こんなことになるなら鍵なんか探すんじゃ――。