ボクの父さんはダメおやじ

有箱

文字の大きさ
上 下
8 / 15

4-1

しおりを挟む
 今日もいつも通り、朝から足音が大きい。起きてくるのは遅いし、何かを無くしたらしいし――いいかげん学習しろよ、とまた溜め息を吐いてしまった。
 母さんは三時間前に起きて、しっかり準備も済ませていると言うのに。

「うーん、じゃあ今日は私の車使う? 仕事終わりにでも鍵は探しとくから」

 どうやら、紛失物は鍵らしい。あの忌まわしい写真が付いている鍵だ。マジで有り得ないんだけど……朝っぱらから本日一日の憂鬱が確定した。

「うん、そうする! ごめんね母さん、行ってきます!」
「じゃあ私もそろそろ出ようかな」

 突風っぽく出ていった父さんを見送り、母さんも鞄を手にする。母さんの職場は徒歩県内にあるが、車と徒歩じゃ随分出勤時間が違ってくる。
 全く災難だなぁと母さんの代わりに息をつき、同時に思い立った。空になった皿を重ね、流し台へ運ぶ。

「僕ももう出よっかな」
「何かあったっけ? 部活?」
「まぁちょっとね」

 見つかるまで待つのはソワソワするから、やっぱ探そ。
 家と車と僕のキーホルダーなんていう、プライバシーの塊を放っておくわけにはいかない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

私とHしませんか?

あかせ2
大衆娯楽
夏休み目前の7月上旬のある日。坂巻 登(さかまき のぼる)がいつも通り登校してから机の中を確認すると、そこにHのお誘いのメモが入っていて…。

大人への門

相良武有
現代文学
 思春期から大人へと向かう青春の一時期、それは驟雨の如くに激しく、強く、そして、短い。 が、男であれ女であれ、人はその時期に大人への確たる何かを、成熟した人生を送るのに無くてはならないものを掴む為に、喪失をも含めて、獲ち得るのである。人は人生の新しい局面を切り拓いて行くチャレンジャブルな大人への階段を、時には激しく、時には沈静して、昇降する。それは、驟雨の如く、強烈で、然も短く、将に人生の時の瞬なのである。  

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

【遺稿】ティッシュの花

牧村燈
現代文学
春先に父が突然亡くなった。私と父の関係は最悪だった。だから私は寂しくも悲しくもなかった。その父の遺品を整理していた時に見つけた古いスマホ。小説投稿サイトのアプリに父が書いたであろう短編小説を見つけた。何も遺してくれなかった父が遺した小説「ティッシュの花」。その貧乏くさいタイトルに嫌悪感を抱きながらも、私は何故かその話に引き込まれていく。 家族がバラバラになり、仕事にもとん挫した娘が、生きることに迷う最中に出会った父の遺稿。そして、その遺稿を読んだことをきっかけに変わり始める娘の今を描く。

処理中です...