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今日もいつも通り、朝から足音が大きい。起きてくるのは遅いし、何かを無くしたらしいし――いいかげん学習しろよ、とまた溜め息を吐いてしまった。
母さんは三時間前に起きて、しっかり準備も済ませていると言うのに。
「うーん、じゃあ今日は私の車使う? 仕事終わりにでも鍵は探しとくから」
どうやら、紛失物は鍵らしい。あの忌まわしい写真が付いている鍵だ。マジで有り得ないんだけど……朝っぱらから本日一日の憂鬱が確定した。
「うん、そうする! ごめんね母さん、行ってきます!」
「じゃあ私もそろそろ出ようかな」
突風っぽく出ていった父さんを見送り、母さんも鞄を手にする。母さんの職場は徒歩県内にあるが、車と徒歩じゃ随分出勤時間が違ってくる。
全く災難だなぁと母さんの代わりに息をつき、同時に思い立った。空になった皿を重ね、流し台へ運ぶ。
「僕ももう出よっかな」
「何かあったっけ? 部活?」
「まぁちょっとね」
見つかるまで待つのはソワソワするから、やっぱ探そ。
家と車と僕のキーホルダーなんていう、プライバシーの塊を放っておくわけにはいかない。
母さんは三時間前に起きて、しっかり準備も済ませていると言うのに。
「うーん、じゃあ今日は私の車使う? 仕事終わりにでも鍵は探しとくから」
どうやら、紛失物は鍵らしい。あの忌まわしい写真が付いている鍵だ。マジで有り得ないんだけど……朝っぱらから本日一日の憂鬱が確定した。
「うん、そうする! ごめんね母さん、行ってきます!」
「じゃあ私もそろそろ出ようかな」
突風っぽく出ていった父さんを見送り、母さんも鞄を手にする。母さんの職場は徒歩県内にあるが、車と徒歩じゃ随分出勤時間が違ってくる。
全く災難だなぁと母さんの代わりに息をつき、同時に思い立った。空になった皿を重ね、流し台へ運ぶ。
「僕ももう出よっかな」
「何かあったっけ? 部活?」
「まぁちょっとね」
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