ボクの父さんはダメおやじ

有箱

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「じゃあ昼食べてから行くか~。正人何食べたい?」
「聞いても作れないでしょ。味付けおかしいし僕作るからいいよ、テレビでも見てて。あ、さっきホラー番組やってたからチャンネルは変えないでよ」
「え、見てていいの? じゃあお言葉に甘えて……」

 父さんの座るタイミングで席を立つ。お米とネギと玉子があるし、炒飯でいっか――食材を調理台に集合させた先、情けないオッサンの後ろ姿が見えた。絶対ああはならない――決意させるほどのシルエットだった。吐き捨てた通り、番組も変えずテレビを見ている。

『なんと代表、UFOやUMAと言った未確認生物を追いかけ、全世界を駆け回っているそうです。氏の所属する未確認生物発掘委員の調査により、実際に新事実が明らかにされており』

 何が面白いのか声を出して笑い、指先で髪を巻いて遊んでいた。
 見れば見るほど沸騰する熱をヘラに込め、米を混ぜ合わせる。完成品をフライパンの中で二等分し、鍋敷と重ねて机に置いた。

「わぁ、美味しそうだ!」

 父さんの瞳がキラキラ光る。無邪気すぎる表情を、ど突きたくなったがやめた。この後、僕には体力消耗必須のイベントが待っている。だから体力温存しておかなければ。

「食べたら準備してね」
「はーい」
「…………予定さ、ちゃんと覚えてた?」
「昨日の夜までは覚えてたよ!」

 結局は、背中をバシッと叩いてしまったけど。
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