殺戮兵器と白の死にたがり

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死の香り【4】

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 専用テントの前、仲間と会った。しかし、何も言わなかった。どうせ、ここでは皆が他人だ。

「なんで助けるんだ」

 歪みに怒りが加わっている。やっと見えた表情の色合いに、どうしてか少し笑ってしまった。
 大抵は命乞いしてでも生を求めるだろうに。睨まれるなんて予想外だ。

「僕は意地悪だからね」
「……本当にな」
「なんでそこまで死にたいの。家族だっているんでしょ」

 大体の人間は、家族の元に帰りたがると聞く。事実、彼も自殺を退けるほどには、価値を見出しているはずなのに。

 僅かな躊躇いを挟み、リンジーは眉間の皺を深くする。だが、反対に怒りの気配は消え、苦悩が全面に押し出されていた。

「嘗て何度か人を殺したことがある。その罪悪感に耐えられない」

 流れ出る涙が、汚れた頬を伝う。一粒では途切れず、幾つも続いた。

「そっか。優しいんだ、君は」
「……違う。弱いだけだ、私は……いっそアルファのように戦いを楽しめたなら……心を殺せたならよかった」
「つまらない殺しは嫌いだけどね」

 皮肉で慰めてやる。リンジーは黙り込み、諦めたのか静かに目を閉じた。

「でも、そうだね」

 時差で続きに着火する。薄く開いた瞳は、潤いを閉じ込めたままだった。

「今度もし会うことがあったら、その時は必ず殺してあげる。特別にね」
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