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死の香り【3】
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爆弾にも色々あるんだな――なんて、背中の痛みを味わいながら学習する。不思議なことに傷の感覚はなかった。
変わり映えしない空が、木々の隙間に色を塗っている。
「うぅ……」
呻きが耳に灯った。身を起こし、視線を揺らす。やや前方、仰向けで苦しむリンジーを見つけた。
滲む血の中に、腕を失った肩がある。表情の歪みは、今までで一番深かった。
恐らく、このまま放置すれば死ぬ。いっそのこと、ここで惨く殺すことだって出来る。
けれど、僕の手は自らの服を割いていた。木枝も使い、肩を圧迫して止血する。
「……やめろ。このまま死なせてくれ……」
「嫌」
膝裏と無傷の肩に手を回す。力無い体は、前より簡単に浮き上がった。
変わり映えしない空が、木々の隙間に色を塗っている。
「うぅ……」
呻きが耳に灯った。身を起こし、視線を揺らす。やや前方、仰向けで苦しむリンジーを見つけた。
滲む血の中に、腕を失った肩がある。表情の歪みは、今までで一番深かった。
恐らく、このまま放置すれば死ぬ。いっそのこと、ここで惨く殺すことだって出来る。
けれど、僕の手は自らの服を割いていた。木枝も使い、肩を圧迫して止血する。
「……やめろ。このまま死なせてくれ……」
「嫌」
膝裏と無傷の肩に手を回す。力無い体は、前より簡単に浮き上がった。
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