レッテル

有箱

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到達と未来

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 コンビニで購入した、週刊誌の表紙を捲る。目的のページまで一気に飛ばし、先月号の続きに目をやった。華々しく飾られた表紙には、話題性を唄うフレーズがついている。

 あれから数年、あの人は夢を叶えた。デビュー作を筆頭に作品をヒットさせ、アニメ化の功績まで掴んでみせた。

 ただ、別れて以来連絡はとっていない。ファンレターを送る形での接触も可能だったが、敢えてやめた。僕は僕で自分の人生を生きながら、ひっそりと応援を続けている。
 
 あの後、僕は二社目で内定をもらった。しかも、現在も働き続けている。

 アルバイト入社した当時は、様々な誤解や苦難に揉まれた。心が折れかけたこともあったが、少なからずいてくれた理解者の支えでなんとか続けてこられた。現在では、副社長として会社を支えている。

 職場には、当然ながら様々な人間がいた。だが、対立もあれど皆が協力して仕事をしている。そんな姿を見ていると、外見や学歴はもちろん、外側にある情報なんか関係ないのだと再認識した。
 
「お、待たせしてすみません。私、本日面接を担当させて頂く者です」

 受付で硬直する背中に、ゆっくりと声をかける。はっと振り向いたのは、自信なさげな女性だった。初見では四十代くらいに見える。笑いかけると、ぎこちなくも笑い返してくれた。

 歩きながら情報を回顧する。聞いた話、最初の電話で『就職未経験だが大丈夫か』との質問があったらしい。境遇に懐かしい己の姿を重ねたものだ。きっと彼女も、様々な感情や事情に揉まれ、ここにやってきたのだろう。
 さて、彼女はどんな人だろうか。

「……では、履歴書をいただけますか?」
「はい……」 

 限られた時間ではあるが、ゆっくりと耳を傾けて話を聞こう。内側を彩る、その本質を見逃さないように。
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