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第二部第十三章スチムソンドクトリン
第十三章第十六節(希望七項目)
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十六
日本政府が「二十一箇条要求」を持ち出したのは、膠州湾の還付と引き換えに旅・大の租借期限延長を図りたかったことに尽きる。
しかしこの極東の大陸では、歴史的に “遠交近攻”の外交戦略が息づいてきた。これがため遠方の欧米諸国が押し付けてきた数々の“理不尽”よりも、隣邦の日本が満洲に足場を固めたことの方に過敏に反応して種々のトラブルを引き起こしてきた。
そうして清国時代から未解決のまま残った懸案事項を、この交渉を機に解決しようと、次の七項目の“希望”を提示した。
「一、中央政府に政治、財政、軍事顧問として有力なる日本人を招聘すること。
二、民国内に存在する日本の病院、寺院および学校の土地所有権を認めること。
三、必要な地方における警察を日華合同の組織へ改め、多数の日本人を雇用すること。
四、日本から一定量(例えば必要数の半分)の兵器を購入するか、日華合弁の兵工廠を設立し日本から技師や材料を供給すること。
五、武昌と九江、南昌を結ぶ鉄道および南昌=杭州間、南昌=潮州間の鉄道敷設権を日本へ許与すること。
六、福建省における鉄道、鉱山、港湾の設備に関し外国資本を要する場合には、先ず日本へ協議すること。
七、民国内における日本人の布教権を認めること」
これら希望事項は過去の“負の遺産”を整理して、日華親交の新時代を築こうとの意図から発したにほかならない。「ひょんなことから英米の輿論に波紋が広がったが、思い切って内実を伝えたのだから、これで騒ぎは収まる」--。
加藤外相はそう楽観した。新聞輿論の鎮静化は追々のこととして、少なくとも同盟国政府の疑念は晴らせるものと期待した。
ところがその意に反してこれらは、これから始まる新たな紛議の幕開けに過ぎなかった……。
日本政府が「二十一箇条要求」を持ち出したのは、膠州湾の還付と引き換えに旅・大の租借期限延長を図りたかったことに尽きる。
しかしこの極東の大陸では、歴史的に “遠交近攻”の外交戦略が息づいてきた。これがため遠方の欧米諸国が押し付けてきた数々の“理不尽”よりも、隣邦の日本が満洲に足場を固めたことの方に過敏に反応して種々のトラブルを引き起こしてきた。
そうして清国時代から未解決のまま残った懸案事項を、この交渉を機に解決しようと、次の七項目の“希望”を提示した。
「一、中央政府に政治、財政、軍事顧問として有力なる日本人を招聘すること。
二、民国内に存在する日本の病院、寺院および学校の土地所有権を認めること。
三、必要な地方における警察を日華合同の組織へ改め、多数の日本人を雇用すること。
四、日本から一定量(例えば必要数の半分)の兵器を購入するか、日華合弁の兵工廠を設立し日本から技師や材料を供給すること。
五、武昌と九江、南昌を結ぶ鉄道および南昌=杭州間、南昌=潮州間の鉄道敷設権を日本へ許与すること。
六、福建省における鉄道、鉱山、港湾の設備に関し外国資本を要する場合には、先ず日本へ協議すること。
七、民国内における日本人の布教権を認めること」
これら希望事項は過去の“負の遺産”を整理して、日華親交の新時代を築こうとの意図から発したにほかならない。「ひょんなことから英米の輿論に波紋が広がったが、思い切って内実を伝えたのだから、これで騒ぎは収まる」--。
加藤外相はそう楽観した。新聞輿論の鎮静化は追々のこととして、少なくとも同盟国政府の疑念は晴らせるものと期待した。
ところがその意に反してこれらは、これから始まる新たな紛議の幕開けに過ぎなかった……。
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