79 / 89
後日談②
6-9★
しおりを挟む
有無を言わさず服を脱がされ、肌の上を滑る熱い吐息に、背筋が震える。あまり目立たない喉仏を甘噛みされ、リオは目に涙を溜めたまま、官能に痺れた手足を精一杯ばたつかせた。
そんな可愛い抵抗を難なく封じながら、リオの首筋に唇を押し当てたままのアルトが低い声で囁く。
「駄目ですよ」
「あ……っ」
ふっと息を吹きかけられ、リオの火照った体の奥がぞくぞくした。
縋るようにアルトに手を伸ばすと、彼の端正な顔がぐっと近付く。その金色の瞳の魔性はリオには強過ぎて、見つめられるだけで体の内側まで支配されたような気がして腰が抜けてしまう。
たちまち力をなくして横たわる、リオの火照った体はすっかり魔力に酔っていた。
(きもちよくって、溶けそう……)
何もかもを手放して、本能のままに目の前の快楽に溺れてしまいたいという欲望が、身体の内側を際限なく焼いている。今はささやかな羞恥心だけが、辛うじてリオの理性を留めていた。
普段はドレスのままで事に及ぶことも多いだけに、ありのままの姿を見せることを恥じたリオは少しでもその痩せた裸体を隠そうと身をよじるものの。素肌に触れるシーツの感触さえ刺激になって、思うように動けない。
まだ何もされていないのに、吐息が艶めいたものになるのを抑えることができないリオを見下ろして、アルトは小さく微笑んだ。
「もう、入りそうですね?」
「……っ!? ん、あ、うそ。だって、まだ」
何も、と。続けようとした言葉は、尻のあわいに触れられた瞬間、身体の内側に響いた濡れた音に掻き消されてしまった。
今日はまだ何もされていないはずの、自分でする準備だってしていないはずのそこは十分すぎるほど潤んで柔らかく解れていて。快楽よりも混乱が勝っているはずなのに、突き入れられた長い指を歓喜と共に締め付けてしまったリオは、生々しい感覚に喉を反らせた。
「んっ、あっ! あぁっ!」
じゅぷっ、と。いやらしい音を立てて侵入した指が、リオの体の内側を丁寧に愛撫する。浅いところにある一番感じる部分を的確に責められて、リオはいやいやと頭を振った。そのまま弱いところばかりを責め立てられて、あっという間に限界が迫る。
「やっ! あっ……ぁ、あぁあっ!」
びくっと全身を大きく痙攣させ、薄い胸を突き出すように背中を反らして達したリオは、一度達したことでますます火が付いた全身を悶えさせながらアルトを見上げた。
縋るような視線に応えて、アルトは濡れそぼった下の口から指を引き抜くと、代わりに熱く滾った昂りを押し付ける。媚薬に等しい魅惑の魔力で敏感になったリオの肉壁は嬉々としてそれを受け入れ、奥へ誘うようにいやらしく絡みついた。
ずぶずぶと熱い塊が押し入ってくる感覚に、リオはくっと背筋をしならせて感じ入る。
「あっ……! あ、あ……っ」
ゆっくりとした動きではあるが、敏感な粘膜を満遍なく擦りながら侵入してくる愛しい人の熱に、リオが甘ったるい声を零した。
アルトのものを奥まで飲み込んだそこは、甘えるように吸い付いて離れない。その感触を楽しむかのように何度か軽く腰を打ち付けたアルトは、リオの腰を掴む手に力を込め、ぐっと引き寄せた。
「ひっ! あぁっ!!」
奥深くにまで突き刺さったものに内側を強く満たされて、リオは悲鳴じみた嬌声を上げる。さらに追い討ちをかけるように何度も弱点を突き上げられ、リオは涙を滲ませながら身悶えして乱れた。
やがて奥ばかりを責められるようになると、リオは堪らず甘えた声で鳴いた。きゅうきゅうと悦んで締めつける肉筒を振り切るようにしてずるりと引き抜かれると、逃すまいとするようにきゅんと締まる粘膜の動きがいやらしい。
そのまま浅いところで小刻みに抜き差しされて、腰が蕩けてしまいそうな気持ちよさともどかしさに腰がくねる。
「あっ、あんっ……あうっ! んん……もっと、おく……っ」
口に出してしまってから、そのはしたなさに気付いてハッと口を塞いだところで、一度出てしまった言葉が取りやめになることはない。強く腰を抑えつけられ、今度は一気に貫かれた。
ごちゅんと行き止まりの壁を突き上げられて、あまりの質量に息ができないほどの快感に襲われる。
「~~ッ!! ひっ? あ……っ!!」
目の前がチカチカする。苦しいはずなのに気持ちよくて、全身が甘く痺れて力が入らない。
「あっ、アルトく、だめ。そこ以上は……」
いつになく口数少ないアルトに、ぐい、と。腰を強引に奥に勧められて、ぴっ、と。小鳥のような息が漏れる。
奥の狭い場所を抜けてしまいそうなくらいに強く押し付けられる切っ先が熱くて、気持ちよくて。皮膚が溶けてしまいそうで怖くなったリオが薄い腹をそっと手で抑えつけた。
「だめ、だめ。明日、起きられなくなっちゃうから……!」
「そうなってください」
リオの細い手首をベッドに縫い留めながら、アルトはそう囁く。
今なんて? と。無防備に瞬いたリオの瞳を苦笑と共に覗き込んだアルトは、そのまま体重をかけるようにして、一層深く腰を突き入れた。
「あぁあっ!」
悲鳴じみた嬌声を上げて、リオの体が跳ねる。
アルトはさらに腰を密着させて奥まで自身を埋め込むと、円をあがくような動きでぐりぐりと切っ先を最奥に押し付けてきた。その刺激はあまりにも強く、リオの頭はもう快楽で真っ白になっている。
「当分寝込んで、動けないようにしておかないと。あなたは何をするか解りませんから」
「あっ、んっ! あぁっ! ん、ん、ごめ、なさ……」
辛うじて、無鉄砲を怒られているのではないかと気付けたリオは、快楽に乱れる声を懸命につなげて謝罪をしたものの。そんなことで謝らないで、と。優しい声に言われてしまって、リオはどうしたらいいのか解らなくなる。
「あなたに望むことは……私の愛を、疑わないで欲しいということだけ」
ちゅ、と。慈しむように額にキスをされて、リオは瞳を潤ませた。ぐいぐいと容赦なく奥を突き上げられながら、耳元には甘く優しい囁きを吐息と共に吹き込まれ、どんどん訳が分からなくなる。
「あなたを知らない何者かの、悪意の囁きなど信じないで。……あなたを愛する私たちの言葉だけを、信じてください」
「んんっ! うっ、あぅっ! あっ。アルトく……あっ! わかっ、わかったから……っ」
とても嬉しいことを言ってもらっている気がするのに、快楽に翻弄されてしまう自分が恥ずかしい。解ったから、どうかもう少し、ゆっくり、と。懇願を満たしたリオの青い瞳を愛しげに見つめるアルトの瞳は、まだ金色から戻っていない。昂り続ける身体が、どこまで行ってしまうのか、リオにはもう解らなかった。
(あ、おく、奥が。奥が、もう、へん)
これまでだって、お腹の奥を、突き上げられたことはあった。けれど今は、これまでとは違う、どこか不穏な気配を感じる。
それでも、苦しいほどの魅了に力を奪われた身体は甘い期待に疼いていた。ドキドキと高鳴る鼓動に翻弄されて息を切らすリオの身体を改めて強く掻き抱くと、アルトはそのまま最奥を突き上げた。
「ぴっ!? ふぁっ、あぁああっ!?」
瞬間、意識が飛びそうな程の衝撃に襲われて、リオはびくんと仰け反りながら絶叫した。視界が真っ白に染まって、頭の中には火花が散っている。こんな感覚は初めてで、取り乱して伸ばした手に指を絡めたアルトがそっと囁く。
「大丈夫ですよ。……気持ちよくして、あげますからね」
「ひゃっ……?」
ぐい、と。構わずに押し込まれた奥がじんじんと痺れ、かつて味わったことのない感覚が溢れ出し、綻びてはいけない場所がほつれ出す。無防備に開かれた身体中を得体の知れないものが這い回り、目の前にはちかちかと瞬く白い光が激しく明滅した。
一つ目の衝撃が抜けないうちに、二度三度と、同じ場所を突き上げられる。ぞわぞわと、恐怖と同じ場所にある官能を刺激されたリオが呻きながらもがいた。
(なにか、なにか、きそう……っ)
耐え難いような戦慄が、揺さぶられる奥から込み上げて。息を殺しながら小さく痙攣するリオを宥めるようなキスを仕掛けたアルトに舌を絡められて、魅了に浮かされた脳がぽーっとした。
「んう……っ、ふ、ぁっ……」
「……っ、リオ……」
唇を重ねたまま、アルトが腰を引く。ぐちゅんと濡れた音を立てながらも奥から退いた楔の熱さに安堵の息をつく間もなく、再び息が止まるほどの強さで最奥を叩きつけられた。
「んぐっ! う、ぁ……っ!?」
「可愛い人、優しい人。……あなたを、心から愛しています」
そんな甘い言葉と共に、最奥の突き当たりをぐりぐりとこじ開けられる。嬉しさと愛しさに蕩けてしまっている身体にはもう抵抗の術もなく、強烈な圧迫感に一瞬だけ目を剥いたリオは、次の瞬間にはもうわけがわからなくなっていた。
「ひえっ? ひっ!? や、おく、だめ……!」
「ふふ……もう、大丈夫そうですね」
未知の感覚に怯えて逃げようとする腰を捕まえられ、奥の奥まで熱い肉を押し込まれる。過剰な刺激に身体が危機感を抱こうとする度に、魅惑の瞳に見つめられてキスをされ、抵抗の気力は根こそぎ快楽に奪われて尽きてしまった。
ずっぷりと奥深くを貫かれたまま、そこを小刻みに揺さぶられる。魅了の魔力を注がれて敏感になった内壁は嬉々として恋人に絡みつき、甘えるように吸いついた。
「あっ、あっ……んあっ!」
「リオ、上手ですよ。……どうかそのまま、身を任せて……」
アルトはそう言ってリオの頭を撫でると、そのまま覆い被さるようにして耳元に顔を寄せる。その熱い吐息にすら感じてしまうリオがくねらせた腰を、逃がさないとばかりに強く固定すると、大きく開かせた足の間で大胆な抽挿が始まった。
「あぅっ!? あぁっ、あッ!!」
ぐちゅぐちゅと響く淫らな水音が、外にまで響いてしまうほど、アルトは何度も執拗にその場所を攻め立てる。
リオの口から漏れるのは、もはや悲鳴に近い喘ぎ声だった。あまりに強い快楽を与えられて意識が飛びそうになる度に、更なる衝撃によって無理矢理引き戻される。
「リオ……ッ、リオ……!」
「ひゃっ! そこ……っ! あっ、あぁっ、だめ、あっ!!」
めり、と。熱い性器の先端が、奥の窄まりを破ってしまいそうな強さで突き上げる。リオが目を見開いて必死にもがけば、アルトはさらに容赦なく体重をかけながら己の腰を押しつけた。
「はっ、はっ……! リオ、愛しています……」
「ひっ!? あっ! ……あぅっ……!! ~~っ!!」
ぴっちりと閉じていたはずの奥に、遂に嵌まり込んだ先端に、リオは目を見開いて悶絶した。呼吸ができないほどの衝撃と快感が全身を貫き、意識を失いそうなほどの絶頂が襲ってくる。
内壁がうねり、突き入れられたものに甘えるように縋る度に、凄まじい多幸感がリオの脳を支配する。もっととねだるように絡みつき、引き込むように収縮し、健気に奉仕する肉筒のその動きに。アルトは苦笑し、優しくリオの頬を撫でた。
「ぐっ、……すごい、ですね。ふふ、そんなに気持ちいいですか?」
アルトは囁きながらも動きを止めようとせず、ぐぽぐぽと奥を虐めた。そのたびにリオの身体がびくんと跳ね上がり、充血し切った結合部から泡立った粘液が垂れ、半勃ちの花芯からはぷしゃっと潮が吹き出す。
「あっ、あぁあっ! ひんっ! やっ……あっ、あぁっ!!」
びくびくと痙攣してきつく肉を締め付ける度に、リオの頭と身体の奥底で何かが弾ける。もうこれ以上は耐えられないと思うほどの愉悦に襲われて、それでもなお続く激しい抽挿に、リオは為す術もなく身悶えた。
花芯からも結合部からも粘液が飛び散って、薔薇色に上気しながら小刻みに痙攣する細い身体に忘れようのない快楽が刻まれる。最奥を穿たれるたびに絶頂を迎えるリオの喘ぎっぱなしの口からは、飲み込みきれない唾液が零れていた。
「ふぃっ!? んん、だめっ……! あっ、あたま、おかしく……なっ、ちゃ」
「リオ」
愛しています、と。何度でも囁く声と共に、ぐっと肉を押し込まれた瞬間に再びの絶頂に達したリオは、最早言葉を発することも出来ずにピンと足を伸ばして悶絶した。
愛しい恋人の瞳は、いつの間にか宝石の紅に色を戻していたけれど。魅了の魔術のように性急なそれではなく、体の奥底からじわじわとリオを侵食する快楽の波。リオが絶頂に悶える間にも愛撫のような腰の動きは止まらず、リオが落ち着くと見るや暴かれたばかりの最奥を突き上げてくる腰の動きに、ただただ翻弄される。
「あうっ!? やっ、あっ、もうっ! あ……っ!?」
ずっとずっと、一番気持ちがいい所から下りられなくてゾクゾクする。執拗に奥を小突かれながら乳首まで摘まれて、もう耐えられないとばかりにびくびくと身体を震わせたリオが甘く訴えるも、アルトは責めを緩めず、それどころかぐりぐりと押し込んできた。
「ひゃっ!? やっ、あっ……! あーーーっ!!」
びくん、とひときわ強く仰け反ったリオの肢体は真っ赤に染まり、生々しい汗に濡れて光っている。体の外も内も痙攣が止まらず、内壁の痙攣はリオの意識に関わらず、恋人に甘えながら熱烈な奉仕を捧げていた。その歓待に応えるように、アルトは奥の括れをいじめることをやめてはくれない。
「らっ、めっ! それ以上、はいっ、ちゃっ……! んっ、お腹、こわれっ……あぅあっ!」
未知の恐怖にぼろぼろと涙を流すリオだったが、白い指先に涙を拭われ、大丈夫ですよと囁かれるだけで。恐怖よりも快楽よりも、愛しい気持ちが勝ってしまう。
彼がそれを望んでいるならば、望むところまで迎え入れてあげたいと。心から思ってしまうリオの身体から、ゆるりと力が抜けた次の瞬間――ぐっ、と。押し付けられた切っ先が、これまでは届かなかった場所に届いて。リオは声にならない悲鳴を上げた。同時にナカが激しく痙攣し、搾り取るような動きで絡みつく。
その動きが生み出した、あまりの快感に息を詰めて、アルトはリオの体の奥深くへと精を吐き出した。
そんな可愛い抵抗を難なく封じながら、リオの首筋に唇を押し当てたままのアルトが低い声で囁く。
「駄目ですよ」
「あ……っ」
ふっと息を吹きかけられ、リオの火照った体の奥がぞくぞくした。
縋るようにアルトに手を伸ばすと、彼の端正な顔がぐっと近付く。その金色の瞳の魔性はリオには強過ぎて、見つめられるだけで体の内側まで支配されたような気がして腰が抜けてしまう。
たちまち力をなくして横たわる、リオの火照った体はすっかり魔力に酔っていた。
(きもちよくって、溶けそう……)
何もかもを手放して、本能のままに目の前の快楽に溺れてしまいたいという欲望が、身体の内側を際限なく焼いている。今はささやかな羞恥心だけが、辛うじてリオの理性を留めていた。
普段はドレスのままで事に及ぶことも多いだけに、ありのままの姿を見せることを恥じたリオは少しでもその痩せた裸体を隠そうと身をよじるものの。素肌に触れるシーツの感触さえ刺激になって、思うように動けない。
まだ何もされていないのに、吐息が艶めいたものになるのを抑えることができないリオを見下ろして、アルトは小さく微笑んだ。
「もう、入りそうですね?」
「……っ!? ん、あ、うそ。だって、まだ」
何も、と。続けようとした言葉は、尻のあわいに触れられた瞬間、身体の内側に響いた濡れた音に掻き消されてしまった。
今日はまだ何もされていないはずの、自分でする準備だってしていないはずのそこは十分すぎるほど潤んで柔らかく解れていて。快楽よりも混乱が勝っているはずなのに、突き入れられた長い指を歓喜と共に締め付けてしまったリオは、生々しい感覚に喉を反らせた。
「んっ、あっ! あぁっ!」
じゅぷっ、と。いやらしい音を立てて侵入した指が、リオの体の内側を丁寧に愛撫する。浅いところにある一番感じる部分を的確に責められて、リオはいやいやと頭を振った。そのまま弱いところばかりを責め立てられて、あっという間に限界が迫る。
「やっ! あっ……ぁ、あぁあっ!」
びくっと全身を大きく痙攣させ、薄い胸を突き出すように背中を反らして達したリオは、一度達したことでますます火が付いた全身を悶えさせながらアルトを見上げた。
縋るような視線に応えて、アルトは濡れそぼった下の口から指を引き抜くと、代わりに熱く滾った昂りを押し付ける。媚薬に等しい魅惑の魔力で敏感になったリオの肉壁は嬉々としてそれを受け入れ、奥へ誘うようにいやらしく絡みついた。
ずぶずぶと熱い塊が押し入ってくる感覚に、リオはくっと背筋をしならせて感じ入る。
「あっ……! あ、あ……っ」
ゆっくりとした動きではあるが、敏感な粘膜を満遍なく擦りながら侵入してくる愛しい人の熱に、リオが甘ったるい声を零した。
アルトのものを奥まで飲み込んだそこは、甘えるように吸い付いて離れない。その感触を楽しむかのように何度か軽く腰を打ち付けたアルトは、リオの腰を掴む手に力を込め、ぐっと引き寄せた。
「ひっ! あぁっ!!」
奥深くにまで突き刺さったものに内側を強く満たされて、リオは悲鳴じみた嬌声を上げる。さらに追い討ちをかけるように何度も弱点を突き上げられ、リオは涙を滲ませながら身悶えして乱れた。
やがて奥ばかりを責められるようになると、リオは堪らず甘えた声で鳴いた。きゅうきゅうと悦んで締めつける肉筒を振り切るようにしてずるりと引き抜かれると、逃すまいとするようにきゅんと締まる粘膜の動きがいやらしい。
そのまま浅いところで小刻みに抜き差しされて、腰が蕩けてしまいそうな気持ちよさともどかしさに腰がくねる。
「あっ、あんっ……あうっ! んん……もっと、おく……っ」
口に出してしまってから、そのはしたなさに気付いてハッと口を塞いだところで、一度出てしまった言葉が取りやめになることはない。強く腰を抑えつけられ、今度は一気に貫かれた。
ごちゅんと行き止まりの壁を突き上げられて、あまりの質量に息ができないほどの快感に襲われる。
「~~ッ!! ひっ? あ……っ!!」
目の前がチカチカする。苦しいはずなのに気持ちよくて、全身が甘く痺れて力が入らない。
「あっ、アルトく、だめ。そこ以上は……」
いつになく口数少ないアルトに、ぐい、と。腰を強引に奥に勧められて、ぴっ、と。小鳥のような息が漏れる。
奥の狭い場所を抜けてしまいそうなくらいに強く押し付けられる切っ先が熱くて、気持ちよくて。皮膚が溶けてしまいそうで怖くなったリオが薄い腹をそっと手で抑えつけた。
「だめ、だめ。明日、起きられなくなっちゃうから……!」
「そうなってください」
リオの細い手首をベッドに縫い留めながら、アルトはそう囁く。
今なんて? と。無防備に瞬いたリオの瞳を苦笑と共に覗き込んだアルトは、そのまま体重をかけるようにして、一層深く腰を突き入れた。
「あぁあっ!」
悲鳴じみた嬌声を上げて、リオの体が跳ねる。
アルトはさらに腰を密着させて奥まで自身を埋め込むと、円をあがくような動きでぐりぐりと切っ先を最奥に押し付けてきた。その刺激はあまりにも強く、リオの頭はもう快楽で真っ白になっている。
「当分寝込んで、動けないようにしておかないと。あなたは何をするか解りませんから」
「あっ、んっ! あぁっ! ん、ん、ごめ、なさ……」
辛うじて、無鉄砲を怒られているのではないかと気付けたリオは、快楽に乱れる声を懸命につなげて謝罪をしたものの。そんなことで謝らないで、と。優しい声に言われてしまって、リオはどうしたらいいのか解らなくなる。
「あなたに望むことは……私の愛を、疑わないで欲しいということだけ」
ちゅ、と。慈しむように額にキスをされて、リオは瞳を潤ませた。ぐいぐいと容赦なく奥を突き上げられながら、耳元には甘く優しい囁きを吐息と共に吹き込まれ、どんどん訳が分からなくなる。
「あなたを知らない何者かの、悪意の囁きなど信じないで。……あなたを愛する私たちの言葉だけを、信じてください」
「んんっ! うっ、あぅっ! あっ。アルトく……あっ! わかっ、わかったから……っ」
とても嬉しいことを言ってもらっている気がするのに、快楽に翻弄されてしまう自分が恥ずかしい。解ったから、どうかもう少し、ゆっくり、と。懇願を満たしたリオの青い瞳を愛しげに見つめるアルトの瞳は、まだ金色から戻っていない。昂り続ける身体が、どこまで行ってしまうのか、リオにはもう解らなかった。
(あ、おく、奥が。奥が、もう、へん)
これまでだって、お腹の奥を、突き上げられたことはあった。けれど今は、これまでとは違う、どこか不穏な気配を感じる。
それでも、苦しいほどの魅了に力を奪われた身体は甘い期待に疼いていた。ドキドキと高鳴る鼓動に翻弄されて息を切らすリオの身体を改めて強く掻き抱くと、アルトはそのまま最奥を突き上げた。
「ぴっ!? ふぁっ、あぁああっ!?」
瞬間、意識が飛びそうな程の衝撃に襲われて、リオはびくんと仰け反りながら絶叫した。視界が真っ白に染まって、頭の中には火花が散っている。こんな感覚は初めてで、取り乱して伸ばした手に指を絡めたアルトがそっと囁く。
「大丈夫ですよ。……気持ちよくして、あげますからね」
「ひゃっ……?」
ぐい、と。構わずに押し込まれた奥がじんじんと痺れ、かつて味わったことのない感覚が溢れ出し、綻びてはいけない場所がほつれ出す。無防備に開かれた身体中を得体の知れないものが這い回り、目の前にはちかちかと瞬く白い光が激しく明滅した。
一つ目の衝撃が抜けないうちに、二度三度と、同じ場所を突き上げられる。ぞわぞわと、恐怖と同じ場所にある官能を刺激されたリオが呻きながらもがいた。
(なにか、なにか、きそう……っ)
耐え難いような戦慄が、揺さぶられる奥から込み上げて。息を殺しながら小さく痙攣するリオを宥めるようなキスを仕掛けたアルトに舌を絡められて、魅了に浮かされた脳がぽーっとした。
「んう……っ、ふ、ぁっ……」
「……っ、リオ……」
唇を重ねたまま、アルトが腰を引く。ぐちゅんと濡れた音を立てながらも奥から退いた楔の熱さに安堵の息をつく間もなく、再び息が止まるほどの強さで最奥を叩きつけられた。
「んぐっ! う、ぁ……っ!?」
「可愛い人、優しい人。……あなたを、心から愛しています」
そんな甘い言葉と共に、最奥の突き当たりをぐりぐりとこじ開けられる。嬉しさと愛しさに蕩けてしまっている身体にはもう抵抗の術もなく、強烈な圧迫感に一瞬だけ目を剥いたリオは、次の瞬間にはもうわけがわからなくなっていた。
「ひえっ? ひっ!? や、おく、だめ……!」
「ふふ……もう、大丈夫そうですね」
未知の感覚に怯えて逃げようとする腰を捕まえられ、奥の奥まで熱い肉を押し込まれる。過剰な刺激に身体が危機感を抱こうとする度に、魅惑の瞳に見つめられてキスをされ、抵抗の気力は根こそぎ快楽に奪われて尽きてしまった。
ずっぷりと奥深くを貫かれたまま、そこを小刻みに揺さぶられる。魅了の魔力を注がれて敏感になった内壁は嬉々として恋人に絡みつき、甘えるように吸いついた。
「あっ、あっ……んあっ!」
「リオ、上手ですよ。……どうかそのまま、身を任せて……」
アルトはそう言ってリオの頭を撫でると、そのまま覆い被さるようにして耳元に顔を寄せる。その熱い吐息にすら感じてしまうリオがくねらせた腰を、逃がさないとばかりに強く固定すると、大きく開かせた足の間で大胆な抽挿が始まった。
「あぅっ!? あぁっ、あッ!!」
ぐちゅぐちゅと響く淫らな水音が、外にまで響いてしまうほど、アルトは何度も執拗にその場所を攻め立てる。
リオの口から漏れるのは、もはや悲鳴に近い喘ぎ声だった。あまりに強い快楽を与えられて意識が飛びそうになる度に、更なる衝撃によって無理矢理引き戻される。
「リオ……ッ、リオ……!」
「ひゃっ! そこ……っ! あっ、あぁっ、だめ、あっ!!」
めり、と。熱い性器の先端が、奥の窄まりを破ってしまいそうな強さで突き上げる。リオが目を見開いて必死にもがけば、アルトはさらに容赦なく体重をかけながら己の腰を押しつけた。
「はっ、はっ……! リオ、愛しています……」
「ひっ!? あっ! ……あぅっ……!! ~~っ!!」
ぴっちりと閉じていたはずの奥に、遂に嵌まり込んだ先端に、リオは目を見開いて悶絶した。呼吸ができないほどの衝撃と快感が全身を貫き、意識を失いそうなほどの絶頂が襲ってくる。
内壁がうねり、突き入れられたものに甘えるように縋る度に、凄まじい多幸感がリオの脳を支配する。もっととねだるように絡みつき、引き込むように収縮し、健気に奉仕する肉筒のその動きに。アルトは苦笑し、優しくリオの頬を撫でた。
「ぐっ、……すごい、ですね。ふふ、そんなに気持ちいいですか?」
アルトは囁きながらも動きを止めようとせず、ぐぽぐぽと奥を虐めた。そのたびにリオの身体がびくんと跳ね上がり、充血し切った結合部から泡立った粘液が垂れ、半勃ちの花芯からはぷしゃっと潮が吹き出す。
「あっ、あぁあっ! ひんっ! やっ……あっ、あぁっ!!」
びくびくと痙攣してきつく肉を締め付ける度に、リオの頭と身体の奥底で何かが弾ける。もうこれ以上は耐えられないと思うほどの愉悦に襲われて、それでもなお続く激しい抽挿に、リオは為す術もなく身悶えた。
花芯からも結合部からも粘液が飛び散って、薔薇色に上気しながら小刻みに痙攣する細い身体に忘れようのない快楽が刻まれる。最奥を穿たれるたびに絶頂を迎えるリオの喘ぎっぱなしの口からは、飲み込みきれない唾液が零れていた。
「ふぃっ!? んん、だめっ……! あっ、あたま、おかしく……なっ、ちゃ」
「リオ」
愛しています、と。何度でも囁く声と共に、ぐっと肉を押し込まれた瞬間に再びの絶頂に達したリオは、最早言葉を発することも出来ずにピンと足を伸ばして悶絶した。
愛しい恋人の瞳は、いつの間にか宝石の紅に色を戻していたけれど。魅了の魔術のように性急なそれではなく、体の奥底からじわじわとリオを侵食する快楽の波。リオが絶頂に悶える間にも愛撫のような腰の動きは止まらず、リオが落ち着くと見るや暴かれたばかりの最奥を突き上げてくる腰の動きに、ただただ翻弄される。
「あうっ!? やっ、あっ、もうっ! あ……っ!?」
ずっとずっと、一番気持ちがいい所から下りられなくてゾクゾクする。執拗に奥を小突かれながら乳首まで摘まれて、もう耐えられないとばかりにびくびくと身体を震わせたリオが甘く訴えるも、アルトは責めを緩めず、それどころかぐりぐりと押し込んできた。
「ひゃっ!? やっ、あっ……! あーーーっ!!」
びくん、とひときわ強く仰け反ったリオの肢体は真っ赤に染まり、生々しい汗に濡れて光っている。体の外も内も痙攣が止まらず、内壁の痙攣はリオの意識に関わらず、恋人に甘えながら熱烈な奉仕を捧げていた。その歓待に応えるように、アルトは奥の括れをいじめることをやめてはくれない。
「らっ、めっ! それ以上、はいっ、ちゃっ……! んっ、お腹、こわれっ……あぅあっ!」
未知の恐怖にぼろぼろと涙を流すリオだったが、白い指先に涙を拭われ、大丈夫ですよと囁かれるだけで。恐怖よりも快楽よりも、愛しい気持ちが勝ってしまう。
彼がそれを望んでいるならば、望むところまで迎え入れてあげたいと。心から思ってしまうリオの身体から、ゆるりと力が抜けた次の瞬間――ぐっ、と。押し付けられた切っ先が、これまでは届かなかった場所に届いて。リオは声にならない悲鳴を上げた。同時にナカが激しく痙攣し、搾り取るような動きで絡みつく。
その動きが生み出した、あまりの快感に息を詰めて、アルトはリオの体の奥深くへと精を吐き出した。
45
お気に入りに追加
168
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる