【完結】夢魔の花嫁

月城砂雪

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第三章(出産編)

3-6#

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「んう……っ! んっ、んあ……♡」

 途端に身体をびくつかせ、顔を真っ赤にするその敏感な様を喜んで、さらに激しくプリプリに腫れた乳首を捏ね繰り回す。口付けの狭間に与えられた甘露をとろとろと口の端から零しながら、破裂しそうな官能に悶え善がるジュゼを熱い瞳で見つめながら、レーヴェはその逞しい腰を旋回させて胎内を深めに抉った。

「いいお乳が出そうですね」
「あぅっ! あっ、しょんなっ♡ ふあっ、いっしょにぃっ♡」

 三か月の荒淫の果てに、軽く触れられるだけで頂点を極められるまでに開発され尽くした乳首を、薄い胸ごと揉みしだかれながら。胎の最奥にある肉の口を、逞しい亀頭でこそぐように刺激される。
 あんあんと高い声で泣き叫んだところで、柔い性器を揉み込みながら力強く腰を固定して巻き付く腕は少しも力を緩めなかった。滾る亀頭を押し付ける情熱的な求愛に、ただでさえとろとろに蕩けた膣内が抵抗できるはずもなく、雄に拓かれる悦びをもう知ってしまったその場所がだらしなく緩む。
 ぐぽ、と。生々しい音と共に、呆気ないほど簡単に突き破られたその場所から、その一撃だけで脳が弾け飛ぶほどの快楽の奔流が迸って。真っ赤に染まって汗を流す全身が鳥肌立ち、かと思えば一瞬で全ての毛穴が開いた。

「うぁっうっ♡ あぁああぁ~~‼ あがっ、おっ♡ おくっ、おっ、ぐぅ♡」

 赤子を孕んで以来、久し振りに貫かれた結腸から暴力的に込み上げる快楽の嵐に、瞳の焦点を飛ばしたジュゼが悶え暴れる。ガクガクと大きく痙攣しながらピンと伸びた身体を、きゅうと抱き締めるレーヴェはうっとりとした瞳でその震えを楽しみ、番を歓待する最奥の熱い抱擁に甘い吐息をこぼした。
 薄い肉の下に、赤子と雄のペニスの両方を受け入れた胎が、歪にぽこりと膨れている。僅かな重みをもたらす他はずっと大人しく眠っているようだった赤子が、俄かに目覚めたように動き出し、膨れた胎がぐにぐにと蠢いた。

「ふふ……さあ、この子を。外に出してあげましょうね」

 ぐりぐり、と。お腹を淫紋ごと圧迫されながら、ハマり込んだペニスを結腸から抜き取られて。あぉん♡ と。全身をびくりと跳ねさせながらジュゼが善がる。快楽が目蓋にスパークして、愛液に満たされた肉膣内をこそぎながらゆっくりと性器を引かれる間中、ジュゼは淫らに尻をくねらせ続けていた。
 尻穴の縁を張り出したカリで捲りながら、最後の部分が抜け落ちて、開いたままの穴からとろりと淫液が垂れ流れる。なおもぐねぐねと蠢く胎の動きに呻いていると、レーヴェが身体を離して身を起こした。
 汗に濡れた身体が夜気に触れてすうすうと寂しく、突然の喪失感に胸が疼く。レーヴェ、と。愛しい名前を紡ごうとした直前に、揺らめく炎の明かりが寝台に灯って、薄闇に慣れていた目を眩しく照らした。何事かと、緩慢に首を巡らせる間に、身体の前にだらりと垂れていた、力の入らない両手を持ち上げられる。状況を掴めないでいる間に、ジュゼはさらさらとした肌触りの布で、きゅっと手首を拘束された。

「ひゃ……っ?」
「ああ、大丈夫ですよ。怖がらないで」

 無防備に両手を上げた状態で、仰向けに転がされたジュゼが上げた驚きの声に、レーヴェが優しく囁いて頬を撫でる。いつの間に身に着けたのだろう、肌が透けるような薄い夜着が艶やかだ。
 ジュゼの腕は、寝台の装飾に、一纏めに括り付けられている。強く縛られている感覚はないのに、不思議とぴくりとも動かなかった。

「あなたは初めてのお産ですから。暴れてしまっては危ないですからね」

 ちゃんと抑えておきましょうね、と。額に口付けを落とされて、愛しさと羞恥に頬が赤らむ。薄い夜着を緩く羽織るだけの色めいた姿ながらも、肌の大半を覆った姿のレーヴェに対し、もどかしく捩ったジュゼの身体は一糸纏わぬ姿のままで。いかに深い交接を幾夜と重ねた伴侶が相手であっても、淫らで貧相な有り様を灯りの中で一方的に注視されることは耐え難かった。
 恥ずかしい、と。訴えようとした唇は、胎の赤子に内臓を押し退けられる衝撃に上げた呻きに塞がれてしまう。ジュゼは無防備な仰向けのまま、せめて脚を折り曲げて身体に近付け、尻を突き出すように腰を反らせた。ぐにぐにとうごめく胎児の動きが激しさを増し、内壁が充血する。排泄が不要なように作り変えられた身体にもたらされた三ヶ月ぶりの排泄欲は強烈で、下腹を圧迫されるような苦しさに荒い息が零れる。

「はっ、ふっ……! うっ、あっ、んあぁっ!」

 なだらかに膨れた腹はぴんと張り詰めて、その薄い肉の下に、確かな質量が潜んでいることを今こそ顕著に知らしめていた。
 ジュゼの股の間は、とろとろとぬめる分泌液に濡れている。成長した赤子が出てきやすいように、夢魔の妻としての自覚を刻まれた粘膜から無数に滲み出る粘液が、ジュゼの胎の中を濡らしてスムーズな排出に備えていた。
 足の間に身体を入れて、ジュゼの姿勢を固定したレーヴェの指が局部に伸びて、ひくつく穴を左右に割り開く。透明な液がぬるぬると垂れて、出産の準備が今にも整おうとしていた。レーヴェは長い指を優しく挿し入れると、濡れた内壁をねっとりと優しく撫で、更なる粘液の分泌を促す。胎の奥のうごめきは次第に激しくなり、ジュゼの額に汗が浮かんだ。
 これは、紛れもない出産だ。ジュゼの胎内で育った悪魔の子供を、この世に誕生させるための。緊張に青褪めて震えるジュゼの青い瞳を、レーヴェの美しい瞳が優しく覗き込む。

「大丈夫ですよ、ジュゼ。私がちゃんと、傍でお守りしますからね」

 見つめているだけで、心が蕩けてしまうような美しい瞳の魔力に当てられて、強張っていた身体が緩んだ。優しく微笑んだレーヴェが、ジュゼの頬に片手を当てて身を乗り出す。いつものように素直に唇を開いて、ジュゼはその口付けを受け入れた。
 次の瞬間――戦慄するほどの快楽が体を走り抜けたジュゼが、目を剥いて悲鳴を上げる。

「ゃ、あ……‼ レーヴェ……っ⁉」
「ふふ。あなたが苦しくないように、おまじないをさせてくださいね」

 夢魔の体液に宿る催淫効果は、状況に応じてその程度も変化する。自分の子を出産してくれる雌のために分泌されるその体液もまた特殊なもので、母体に苦痛を与えることなく、何人でも安心して産んで貰うための特別な媚薬だ。雄と子供のために身体を明け渡してくれる、雌への情愛こもった贈り物でもある。
 だが、それが。別種の責め苦にしかならないジュゼの瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれた。
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