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ティア視点②
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時系列はマカロンと同じです。
エナと二人で出かけるなんてもう、デートだよね。
でも、エナはそうは思ってないだろうから言わないけど。
「あ、エナ、走らなくていいよ。」
エナを見つけるとまだ約束の時間にはなっていないのに小走りでこちらに向かってくるのでそちらに向かった。
「いえ、第三王子様を待たせた挙句こちらに歩いてもらうだなんて...。」
「僕は全く気にならないよ。それじゃあ、行こうか。あ、その前に、それ、なんとかならないかな。」
今日のやるべきことは僕のことを名前で呼んでもらうこと。
「それ....??」
「僕への呼び方。」
「第三王子様ですか??」
「そうそう。これはいわばお忍びみたいなものだから、そんなふうに呼んでは意味が無いよ。」
「とは言いましても、これ以外の呼び方は...。」
「分かりました!」
「おっ、本当?」
エナが自分で気づいてくれるのは予想外だった。てっきりもっと時間がかかるかと....天然なところあるしね。
いつもぽやぽやしてるから。そこもいいんだけどさ。
「はい!偽名ですね。何にしますか??」
「え、そっちかあ。うーん、これじゃあ、到底名前呼びにまでならない....。」
思わず呟いてしまった。小さい声だったから聞こえてはないと思う。
エナ自身で気づいたことに少し違和感があったけど偽名呼びになるとは思わなかった。
「第三王子様??」
「エナ、僕のことはティアって呼んでね。フォティアのままだとそのままだし、愛称のほうがいいと思うから。」
実は個人的にこんな愛称気に入ってない。女みたいじゃないか。
......だか、エナのその小さく可愛らしいぷっくりとした唇から綺麗なソプラノの声で言うのは是非聞いみたい。
「えぇ、そんな、第三王子様を愛称呼びだなんて無理です。無理すぎますー!」
「エナ.....そんなに僕の愛称を呼ぶの嫌い??」
いつもこうやってお願いをすれば聞いてくれる。そんなに甘いともっとつけいられるよ。そんなつけいられるのを利用させてもらってるからなんとも言えないんだけどね。
「ティ、ティア.....様。」
........っ!やっぱり、思った通りだ。様が無ければもっと完璧なのに....。
「惜しいね。あと一歩だ。頑張って。」
「様付きなのは許してくれませんか??さすがに厳しいんですよー。」
仕方ないか。今は愛称で呼んでくれただけでもよしとしよう。いつか必ずその様付けをなおす。
「ごめんね、頑張ってくれてありがとう。様付きなのは一万歩くらい譲って良しとするよ。」
「ありがとうございます。」
「容姿を少し変換したいから待っててくれる?」
「容姿を変換.....??」
なんで疑問語なんだ?ルリから聞いているんじゃないのか?だとしたら初めて教えたのが僕か。ルリがわざとかどうか知らないが初めて教えるってなんだかいいな。
「うん。ルリもやってたはずだけど知らない?あ、もしかしてまた言ってないのか。いつもルリは何か言ってないな。」
「あ、確かに学園へ来る前のルリは髪も瞳も色が違っていました。」
「そうそう。王族にのみ伝えられてるらしいもので容姿変換魔法って言うんだよ。」
「容姿変換魔法....。」
「はい。できたよ。」
「え、早いですね。」
「そうかな?行こうか。はぐれると困るから手を繋いどこう。」
「はい。」
それからしばらくエナと会話を楽しんだ。少なくとも僕にとっては楽しかった。時々目線を合わせてくれようとしてるのか顔をあげるエナ。その時に上目遣いも入っていて抱きつきたくなる。なんでそんなに可愛いんだ?
そんな時......
「あら、愚妹じゃない。なんでこんなところにいるのよ。」
もしかして、エナに話しかけてるのか?
と思い、そっちに顔を向ければ馬鹿がいた。
馬鹿の分際でエナのことを愚妹と言ったのか?そして、僕とエナの過ごす時を遮ったのか?
「なんとか言ったらどうなのよ。あたしと同じ適正なんておかしいでしょ?何か不正をしたんだわ。あぁ、こわいわ、こわいわ。」
むしろ、お前の方が不正してるだろ。そうだ、今度、大司教.....いや、教皇に再度適正させよう。よし、それがいい。これは全く使えてないと聞いている。
持ってないということがはっきりすれば学園から即出させられる。
「そこの人、こんな愚妹と一緒にいるなんて格が下がりますわあ。ナツキとぉ、お茶しましょぉ?」
また言ったなぁ。これをどうしようかどんどん考えが浮かんでくるよ。
「あ、あの、だいさ....」
もしかして、第三王子って言おうとしてるよね?と目で言えば
「あ、ティア様、申し訳ありません!姉が、すみません!」
と、直ぐに言い直してくれた。
「エナ、そうか本当に君の姉なんだね。」
「はい...。」
「今回はエナに免じて何もなかったことにしてあげる。二度と僕に話しかけるな。」
エナにバレないように睨んだ。
「じゃあ、エナ好きなだけマカロン食べていいよ。僕が奢ってあげるから。」
「いやいや、私の分は私が払いますから。」
「僕に奢られるのそんなにいや??」
知ってるんだよ?お願いすればいつも折れてくれるんだから。と思っていた。
「ティア様が今持ってるお金は国民が納めている税金ですから私のような平民に使うべきではありません。」
そう来たか。エナは自分以外も考えてたんだね。ただ折れてただけじゃなかったんだ。他人の事まで考えてて下手な貴族よりよっぽどいい。
でも、僕が今持っているお金はそうじゃない。
「そっか。エナはしっかりしてるね。でも、大丈夫だよ。今僕が持ってるお金は自分で得た収入だから。」
「ええ?ティア様が...??」
そうだよ。決してエナには話せないけど。
「うん。だから、問題ないよね。奢っていいよね?」
「は、はい!お願いします。」
エナと過ごした今日は本当に幸せだった。
もっと一緒にいたい。ずっと一緒にいたい。
...........でも、まだ準備が整ってない。
準備がちゃんと整ったら向かい入れるからね。
エナと二人で出かけるなんてもう、デートだよね。
でも、エナはそうは思ってないだろうから言わないけど。
「あ、エナ、走らなくていいよ。」
エナを見つけるとまだ約束の時間にはなっていないのに小走りでこちらに向かってくるのでそちらに向かった。
「いえ、第三王子様を待たせた挙句こちらに歩いてもらうだなんて...。」
「僕は全く気にならないよ。それじゃあ、行こうか。あ、その前に、それ、なんとかならないかな。」
今日のやるべきことは僕のことを名前で呼んでもらうこと。
「それ....??」
「僕への呼び方。」
「第三王子様ですか??」
「そうそう。これはいわばお忍びみたいなものだから、そんなふうに呼んでは意味が無いよ。」
「とは言いましても、これ以外の呼び方は...。」
「分かりました!」
「おっ、本当?」
エナが自分で気づいてくれるのは予想外だった。てっきりもっと時間がかかるかと....天然なところあるしね。
いつもぽやぽやしてるから。そこもいいんだけどさ。
「はい!偽名ですね。何にしますか??」
「え、そっちかあ。うーん、これじゃあ、到底名前呼びにまでならない....。」
思わず呟いてしまった。小さい声だったから聞こえてはないと思う。
エナ自身で気づいたことに少し違和感があったけど偽名呼びになるとは思わなかった。
「第三王子様??」
「エナ、僕のことはティアって呼んでね。フォティアのままだとそのままだし、愛称のほうがいいと思うから。」
実は個人的にこんな愛称気に入ってない。女みたいじゃないか。
......だか、エナのその小さく可愛らしいぷっくりとした唇から綺麗なソプラノの声で言うのは是非聞いみたい。
「えぇ、そんな、第三王子様を愛称呼びだなんて無理です。無理すぎますー!」
「エナ.....そんなに僕の愛称を呼ぶの嫌い??」
いつもこうやってお願いをすれば聞いてくれる。そんなに甘いともっとつけいられるよ。そんなつけいられるのを利用させてもらってるからなんとも言えないんだけどね。
「ティ、ティア.....様。」
........っ!やっぱり、思った通りだ。様が無ければもっと完璧なのに....。
「惜しいね。あと一歩だ。頑張って。」
「様付きなのは許してくれませんか??さすがに厳しいんですよー。」
仕方ないか。今は愛称で呼んでくれただけでもよしとしよう。いつか必ずその様付けをなおす。
「ごめんね、頑張ってくれてありがとう。様付きなのは一万歩くらい譲って良しとするよ。」
「ありがとうございます。」
「容姿を少し変換したいから待っててくれる?」
「容姿を変換.....??」
なんで疑問語なんだ?ルリから聞いているんじゃないのか?だとしたら初めて教えたのが僕か。ルリがわざとかどうか知らないが初めて教えるってなんだかいいな。
「うん。ルリもやってたはずだけど知らない?あ、もしかしてまた言ってないのか。いつもルリは何か言ってないな。」
「あ、確かに学園へ来る前のルリは髪も瞳も色が違っていました。」
「そうそう。王族にのみ伝えられてるらしいもので容姿変換魔法って言うんだよ。」
「容姿変換魔法....。」
「はい。できたよ。」
「え、早いですね。」
「そうかな?行こうか。はぐれると困るから手を繋いどこう。」
「はい。」
それからしばらくエナと会話を楽しんだ。少なくとも僕にとっては楽しかった。時々目線を合わせてくれようとしてるのか顔をあげるエナ。その時に上目遣いも入っていて抱きつきたくなる。なんでそんなに可愛いんだ?
そんな時......
「あら、愚妹じゃない。なんでこんなところにいるのよ。」
もしかして、エナに話しかけてるのか?
と思い、そっちに顔を向ければ馬鹿がいた。
馬鹿の分際でエナのことを愚妹と言ったのか?そして、僕とエナの過ごす時を遮ったのか?
「なんとか言ったらどうなのよ。あたしと同じ適正なんておかしいでしょ?何か不正をしたんだわ。あぁ、こわいわ、こわいわ。」
むしろ、お前の方が不正してるだろ。そうだ、今度、大司教.....いや、教皇に再度適正させよう。よし、それがいい。これは全く使えてないと聞いている。
持ってないということがはっきりすれば学園から即出させられる。
「そこの人、こんな愚妹と一緒にいるなんて格が下がりますわあ。ナツキとぉ、お茶しましょぉ?」
また言ったなぁ。これをどうしようかどんどん考えが浮かんでくるよ。
「あ、あの、だいさ....」
もしかして、第三王子って言おうとしてるよね?と目で言えば
「あ、ティア様、申し訳ありません!姉が、すみません!」
と、直ぐに言い直してくれた。
「エナ、そうか本当に君の姉なんだね。」
「はい...。」
「今回はエナに免じて何もなかったことにしてあげる。二度と僕に話しかけるな。」
エナにバレないように睨んだ。
「じゃあ、エナ好きなだけマカロン食べていいよ。僕が奢ってあげるから。」
「いやいや、私の分は私が払いますから。」
「僕に奢られるのそんなにいや??」
知ってるんだよ?お願いすればいつも折れてくれるんだから。と思っていた。
「ティア様が今持ってるお金は国民が納めている税金ですから私のような平民に使うべきではありません。」
そう来たか。エナは自分以外も考えてたんだね。ただ折れてただけじゃなかったんだ。他人の事まで考えてて下手な貴族よりよっぽどいい。
でも、僕が今持っているお金はそうじゃない。
「そっか。エナはしっかりしてるね。でも、大丈夫だよ。今僕が持ってるお金は自分で得た収入だから。」
「ええ?ティア様が...??」
そうだよ。決してエナには話せないけど。
「うん。だから、問題ないよね。奢っていいよね?」
「は、はい!お願いします。」
エナと過ごした今日は本当に幸せだった。
もっと一緒にいたい。ずっと一緒にいたい。
...........でも、まだ準備が整ってない。
準備がちゃんと整ったら向かい入れるからね。
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