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6.常識外れ
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「ソルシエールさん、貴女、凄いですね!初めて見ました。宙に物を浮かばせられる人!」
え?初めて?これは珍しい魔法なの??
「王宮で務められている方などしかできないと聞いたことがあります!正しくはそのようなことができる人は王宮へ行ってしまうということだと思うのですが。ですので貴族の召使いさんでも使える人がいるらしいですね。ソルシエールさんはどこでそれを身につけられたのですか?」
ええっと、どうしよう、召喚された。だなんて言っても信用してもらえるかどうか.......そもそも、他国から来て住民票をこちらに構えたことをどう思うか......。
「あ、いえ、言いたくないことでしたら全然大丈夫なんです。人は誰しも触れられたくないことのひとつやふたつありますから。」
どうやら、複雑な事情だと読み取ったらしい。実際そうである。
「すみません。説明が難しくて....。」
「いえいえ、高等魔法を使われているのですからそのようなこともありますよね。私こそ無粋に聞いてしまってすみません。あ、それで、休憩を取らなくて大丈夫かなと思ったのですがどうされますか?」
休憩か........まだ、全然疲れていないからなあ、しかも物浮かしたままだし。
うん、キリがいいところまでやってしまいたい。
「ありがたいのですが、キリがいいところまでやってしまおうかと思っているのでまだ大丈夫です。」
「そうですか、では引き続きよろしくお願いします。」
じゃあ、仕分け作業再開だ。
ふぅ、だいぶ片付いたかな。
作業開始から数時間経ってると思うけどあともう一息だから頑張ってしまおう。
「ナナサさん、終わりました。確認をお願いします。」
「え?もう終わったんですか?あのゴミ部屋が?」
ポカーンとした表情でこちらをご覧になった。
「はい。終わりました。」
部屋まで来てもらうと、
「要らないものと判断したものでも一応こちらにまとめてありますので、宜しければ捨てる前に確認をお願いします。」
「まあ.............なんと、まあ.......腐海と化した汚部屋だったのにこんなに綺麗にして下さるなんて....ほんっとうにありがとうございます!これは満点どころか花丸満点ですよ!達成報告には色を付けてギルドに提出しますね。」
「色ですか?」
「はい、あ、ソルシエールさんは今回が初めての仕事なんですよね。色を付ける基準は依頼主によって様々なのですが、私の場合ですと、『早い』『丁寧』でしょうか。その点、ソルシエールさんは完璧すぎて花丸満点以上を差し上げたいのですが、私の方も生活が苦しくなってしまうので、見合わない色になってしまうかもしれません。あとは、ギルドの方からも成果報告が良いと少し報酬を増やしてくださるみたいですよ。」
「なるほど、そんな仕組みがあったんですね。ですが、そんな、ナナサさんの生活が苦しくなるほどでしたら全然色を付けていただかなくて大丈夫ですよ?元々私が出来ることをやったまでですから。」
「ソルシエールさんはそのような考えなんですね。依頼を受ける方のなかには色を付けて貰えるように頑張っている人もいるんですよ。」
「そうなんですか。」
そんな人もいるのね。
私なんて家でどんだけ頑張ったって誰かのプラスの言葉がないどころか暴力だって振るわれていたのに。
寧ろ報酬が増えるだなんて稀だと思うべきだわ。
「それでは、私は帰りますね。」
「あ、どうせですから一緒に夕食はいかがですか?夫のギンスも部屋を見たらきっと感謝を言いたくなるでしょうから。」
「ナナサさんが大丈夫でしたら是非お邪魔させて頂きたいです。」
「ええ、少々テーブルでお待ちになってください。」
え?初めて?これは珍しい魔法なの??
「王宮で務められている方などしかできないと聞いたことがあります!正しくはそのようなことができる人は王宮へ行ってしまうということだと思うのですが。ですので貴族の召使いさんでも使える人がいるらしいですね。ソルシエールさんはどこでそれを身につけられたのですか?」
ええっと、どうしよう、召喚された。だなんて言っても信用してもらえるかどうか.......そもそも、他国から来て住民票をこちらに構えたことをどう思うか......。
「あ、いえ、言いたくないことでしたら全然大丈夫なんです。人は誰しも触れられたくないことのひとつやふたつありますから。」
どうやら、複雑な事情だと読み取ったらしい。実際そうである。
「すみません。説明が難しくて....。」
「いえいえ、高等魔法を使われているのですからそのようなこともありますよね。私こそ無粋に聞いてしまってすみません。あ、それで、休憩を取らなくて大丈夫かなと思ったのですがどうされますか?」
休憩か........まだ、全然疲れていないからなあ、しかも物浮かしたままだし。
うん、キリがいいところまでやってしまいたい。
「ありがたいのですが、キリがいいところまでやってしまおうかと思っているのでまだ大丈夫です。」
「そうですか、では引き続きよろしくお願いします。」
じゃあ、仕分け作業再開だ。
ふぅ、だいぶ片付いたかな。
作業開始から数時間経ってると思うけどあともう一息だから頑張ってしまおう。
「ナナサさん、終わりました。確認をお願いします。」
「え?もう終わったんですか?あのゴミ部屋が?」
ポカーンとした表情でこちらをご覧になった。
「はい。終わりました。」
部屋まで来てもらうと、
「要らないものと判断したものでも一応こちらにまとめてありますので、宜しければ捨てる前に確認をお願いします。」
「まあ.............なんと、まあ.......腐海と化した汚部屋だったのにこんなに綺麗にして下さるなんて....ほんっとうにありがとうございます!これは満点どころか花丸満点ですよ!達成報告には色を付けてギルドに提出しますね。」
「色ですか?」
「はい、あ、ソルシエールさんは今回が初めての仕事なんですよね。色を付ける基準は依頼主によって様々なのですが、私の場合ですと、『早い』『丁寧』でしょうか。その点、ソルシエールさんは完璧すぎて花丸満点以上を差し上げたいのですが、私の方も生活が苦しくなってしまうので、見合わない色になってしまうかもしれません。あとは、ギルドの方からも成果報告が良いと少し報酬を増やしてくださるみたいですよ。」
「なるほど、そんな仕組みがあったんですね。ですが、そんな、ナナサさんの生活が苦しくなるほどでしたら全然色を付けていただかなくて大丈夫ですよ?元々私が出来ることをやったまでですから。」
「ソルシエールさんはそのような考えなんですね。依頼を受ける方のなかには色を付けて貰えるように頑張っている人もいるんですよ。」
「そうなんですか。」
そんな人もいるのね。
私なんて家でどんだけ頑張ったって誰かのプラスの言葉がないどころか暴力だって振るわれていたのに。
寧ろ報酬が増えるだなんて稀だと思うべきだわ。
「それでは、私は帰りますね。」
「あ、どうせですから一緒に夕食はいかがですか?夫のギンスも部屋を見たらきっと感謝を言いたくなるでしょうから。」
「ナナサさんが大丈夫でしたら是非お邪魔させて頂きたいです。」
「ええ、少々テーブルでお待ちになってください。」
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