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異常者は私?
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テレビなどでよく聞く『リスカ』。
ネットとかで『リスカとかマジ無いわ~』だの『ただのメンヘラでしょ?』だの『相手の気を止めて起きたいんだっけ?』だの、基本的には否定的な意見だ。
かくいう私もリスカとかやる意味が分からないも思っている。だって、わざわざ自分を痛め付ける様なことをして何がしたいのだろう。
誰も心配なんてしてはくれない。寧ろ引かれるだろう。
そんなことを思っているからこうなるんだろうか。
「俺はアンナの方を選ぶ!!」
そう、振られた。
第二の人生で。
アンナは私の方を見てニヤニヤ笑っている。私が勝ったんだと言わんばかりの表情で。特に勝負をした覚えもない私はどんな表情をすれば良いか困っているくらいだ。
私は取り敢えずニホンという場所に住んでいた時の記憶がある。そことこことでは何もかもかもが違う。
テレビはない、ネットもない、階級が明確に分かれているし、今の私は昔のヨーロッパの方が着ているようなドレスを身につけている。だか、そんなことは今問題ではない。
私はいわゆる前世では『リスカ』と呼ばれる行為をした女に負けたのだ。相手は手首いっぱいに傷がある。なんなら手首だけでは無いのだろう、前に見かけた時は普通に歩いていたのに今は車椅子に乗っている。それだけ足も切ったのか、それとも折ったのかは知らないが、全てはこの男を手に入れるために自分でやったということは確かだ。
よく言っていた。
「構ってくれないと寂しくて生きているのか分からなくていつも傷つけちゃうんです。」とあの男に。
別に私はあの男を好きだったわけではない。ただ、婚約者候補であっただけだ。私もアンナも。
そして、アンナが選ばれた。
私は『リスカ』などという行為を一度もやったことはなかったし、アンナがそれをやった痕を見るまで思い出すこともなかった。その痕を見てからニホンわ思い出しリスカを思い出した。
だから、アンナの言動が所々不思議に思えたんだと納得した。アンナも恐らくニホンにいた時の自分があるんだと。
ただ、私が気になっているのは日本では大半の人がやらないし大半の人の理解を得られないと思われるリスカがこの世界では受け入れられたのだ。
受け入れられたからアンナが選ばれた。
ニホンであれば、『リスカをする女としない女』では、『しない女』の方が選ばれそうなのに。
いや、もしかしたら私が無知であっただけでリスカを受け入れ、寂しくさせていた自分が悪いと思うような人もいるのかもしれない。だが、過半数がそうかと言ったらそんなことはないだろう。
私が思うにただ、この世界ではさほど自傷行為というものが認知されていないのではないだろうかと思う。
だから、自傷行為をしているアンナをニホンならともかく、ここでは可哀想と思われることが出来たのではないかと。
愛されたければ、自分を傷つけるのも厭わないことが実は正解の行動だったりするのだろうか?
それをしない私の方が異常だったりするのだろうか?
まあ、この場合私は相手のことを好きだとは思っていなかったのだから当てはまらないかもしれないけれど。
アンナとは婚約者候補同士だったこともあってほとんど公の場以外では話したこともないからどれほどあの男のことを好いていたかなど知る由もないのだから、本当にこの私の考えがあっているかなんて確かめようが1ミリもないというのが答えになってしまうものでもある。
それでも、考えてしまう。どうしようもなく手放したくなくて何をしてでも振り向かせたい。絶対に私以外に顔を向けて欲しくない。
そんな相手がいたら、悪手だとは分かっていても『私もリスカ』を取り入れてしまうのか。
たとえ引かれたとしてもきっと相手の脳裏にきつく焼き付くことは間違いない。
だって、そんな場面でも、それをやった直後の傷でも、私だったら、きっと一生離れることなく脳裏に焼き付くだろうから。
この件で幸いだったのはやっぱり、親がそこまで『婚約者になってこい!』という考えではなかったことだろう。ただ、勅命だったから私をいかせざるおえなかっただけで。
きっとそんな考えだったら私も切羽詰まってリスカをしていたかもしれない。
リスカでは死なないというけれども、痛いことには痛いはずだ。
とても私にはできない。
しかし、実際はそれを怖がって中々出来ない私の方がおかしいのだろうか?
まあ、『リスカをするのは変だ。』という考えが多い限り別段こんな心配をする必要もない。
私としては狂わずに普通に結婚をして普通に暮らしていきたい。
ネットとかで『リスカとかマジ無いわ~』だの『ただのメンヘラでしょ?』だの『相手の気を止めて起きたいんだっけ?』だの、基本的には否定的な意見だ。
かくいう私もリスカとかやる意味が分からないも思っている。だって、わざわざ自分を痛め付ける様なことをして何がしたいのだろう。
誰も心配なんてしてはくれない。寧ろ引かれるだろう。
そんなことを思っているからこうなるんだろうか。
「俺はアンナの方を選ぶ!!」
そう、振られた。
第二の人生で。
アンナは私の方を見てニヤニヤ笑っている。私が勝ったんだと言わんばかりの表情で。特に勝負をした覚えもない私はどんな表情をすれば良いか困っているくらいだ。
私は取り敢えずニホンという場所に住んでいた時の記憶がある。そことこことでは何もかもかもが違う。
テレビはない、ネットもない、階級が明確に分かれているし、今の私は昔のヨーロッパの方が着ているようなドレスを身につけている。だか、そんなことは今問題ではない。
私はいわゆる前世では『リスカ』と呼ばれる行為をした女に負けたのだ。相手は手首いっぱいに傷がある。なんなら手首だけでは無いのだろう、前に見かけた時は普通に歩いていたのに今は車椅子に乗っている。それだけ足も切ったのか、それとも折ったのかは知らないが、全てはこの男を手に入れるために自分でやったということは確かだ。
よく言っていた。
「構ってくれないと寂しくて生きているのか分からなくていつも傷つけちゃうんです。」とあの男に。
別に私はあの男を好きだったわけではない。ただ、婚約者候補であっただけだ。私もアンナも。
そして、アンナが選ばれた。
私は『リスカ』などという行為を一度もやったことはなかったし、アンナがそれをやった痕を見るまで思い出すこともなかった。その痕を見てからニホンわ思い出しリスカを思い出した。
だから、アンナの言動が所々不思議に思えたんだと納得した。アンナも恐らくニホンにいた時の自分があるんだと。
ただ、私が気になっているのは日本では大半の人がやらないし大半の人の理解を得られないと思われるリスカがこの世界では受け入れられたのだ。
受け入れられたからアンナが選ばれた。
ニホンであれば、『リスカをする女としない女』では、『しない女』の方が選ばれそうなのに。
いや、もしかしたら私が無知であっただけでリスカを受け入れ、寂しくさせていた自分が悪いと思うような人もいるのかもしれない。だが、過半数がそうかと言ったらそんなことはないだろう。
私が思うにただ、この世界ではさほど自傷行為というものが認知されていないのではないだろうかと思う。
だから、自傷行為をしているアンナをニホンならともかく、ここでは可哀想と思われることが出来たのではないかと。
愛されたければ、自分を傷つけるのも厭わないことが実は正解の行動だったりするのだろうか?
それをしない私の方が異常だったりするのだろうか?
まあ、この場合私は相手のことを好きだとは思っていなかったのだから当てはまらないかもしれないけれど。
アンナとは婚約者候補同士だったこともあってほとんど公の場以外では話したこともないからどれほどあの男のことを好いていたかなど知る由もないのだから、本当にこの私の考えがあっているかなんて確かめようが1ミリもないというのが答えになってしまうものでもある。
それでも、考えてしまう。どうしようもなく手放したくなくて何をしてでも振り向かせたい。絶対に私以外に顔を向けて欲しくない。
そんな相手がいたら、悪手だとは分かっていても『私もリスカ』を取り入れてしまうのか。
たとえ引かれたとしてもきっと相手の脳裏にきつく焼き付くことは間違いない。
だって、そんな場面でも、それをやった直後の傷でも、私だったら、きっと一生離れることなく脳裏に焼き付くだろうから。
この件で幸いだったのはやっぱり、親がそこまで『婚約者になってこい!』という考えではなかったことだろう。ただ、勅命だったから私をいかせざるおえなかっただけで。
きっとそんな考えだったら私も切羽詰まってリスカをしていたかもしれない。
リスカでは死なないというけれども、痛いことには痛いはずだ。
とても私にはできない。
しかし、実際はそれを怖がって中々出来ない私の方がおかしいのだろうか?
まあ、『リスカをするのは変だ。』という考えが多い限り別段こんな心配をする必要もない。
私としては狂わずに普通に結婚をして普通に暮らしていきたい。
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異常者はリスカする方でしょ(「 ꒪ͧд꒪ͧ)「
主人公は普通の感覚です(#´ᗜ`#)ニコニコ
コメントありがとうございます。
主人公への励まし嬉しいです✨