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使用人達の遊戯場
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しおりを挟む「──まあ、滅多に見れる物でも無いですが。受け入れる方だったらそう言う感じになってしまうんじゃないかと思ったんですよね」
「うーん? えっと、良くわかりましたね」
先程の出来事も手馴れた様子で処理していくテオはこういう事は本当極一部で行われていたりするとの事だった。あの料理人は隠す気が無く、しかもそう言う場所をちゃっかり選ぶらしい。
つまり、最近入ったばかりの新人だから目を付けられたのが僕だったようだ。見られてもスリル満点で、新人だから対応し切れないと思われたのだと。
あんな場面遭遇するケースは稀だろう。ましてや、どう対応するかとかも思考が追い付かなかった。
確りしなければと思いながらそれにしても暫くテオの側に着いていて仕事もそうだが、身のこなしや配慮も完璧だった。リリーに聞いたが見た目と年齢のギャップがある人が多いと聞いていた。種族によっても。
そうするとテオはいくつなのだろうか。
「まあ、元同業者の勘ですかね。あーでも、私は挿入する側だったんで貴方とは逆ですけど」
「元同業者……?」
「言ってませんでしたっけ? 私も一時奴隷だったんですよ。まあシオン様に摘発で助けて貰って今があるんですが、少なくとも貴方は捻くれてなく、素直なんでしょうね」
特にどうでも良さそうに皮肉気に淡々と語るテオ。横顔を見ても表情は無表情を貫いていて、感情を読み取る事は難しかった。でも、素直と言われてそう見えるのだろうかは少々疑問に思う。言葉のあやかもしれないけど。
「そ、そういえば何か用があると」
「ええ、シオン様の姪である本家のお嬢様が暫く滞在されるので、その事でカノンさんにお相手を頼みたいんですよね」
何となく、それ以上の追及は躊躇われて、話題を変えるように思い出した事を聞くとテオは気にしていないようで、用事についての話題に切り替わった。
「お相手、ですか?」
思わずぎょっとしそうになったが、表情には出さなかった。ここに来て、少し慣れてきたそんな時に来客対応と来た。しかも、シオン様の姪に当たり、本家と言う事は侯爵家の列記とした貴族令嬢だ。粗相があっては絶対ならないだろう。まだ慣れていない新人にお相手をさせるなんて、正気ですか。
「そうです。まあ、悪い子では無いんですが、少し夢見がちと言いますか……でもカノンさんなら意外と良く気付く方みたいなので大丈夫かな、と」
「ですが、僕にはまだ身に余るような」
何が大丈夫なのだろうかと突っ込みたくはなったが、至って平静に謙虚に行動するのが生きる為に必要な事だと思う、多分。
「お世話をしろって話ではなく、ただのお話相手になってあげてください。近い年齢と言いますか……ここの使用人は年齢が高めな為、まあ、種族によって見た目と年齢が全く比例しませんが、カノンさんは若く見えますし、お嬢様もきっと気に入るかと思うので」
にっこりと笑うテオに有無を言わせる気は無いらしい。少なくとも経験は積んでいくべきだし、良くして貰っている分、勤めは果たすべきである。悲観良くないと僕は頷いた。
「微力ながら最善を尽くします」
「いや、固い。そんな畏まらなくても大丈夫ですよ。わりとお嬢様はシオン様に似てちょろいんで」
「え、ちょろ……?」
どういう意味だろうかを問う前に侍女が廊下の角で何やら話し込んでいるのが視界に入り込んできた。後ろ姿ではあったが侍女はリリーに見える。
ゆっくりと音を立てずに近付いてみるとそれがルシェル先生とやはりリリーだった。ルシェル先生はこちらに向いている為気付いたようで、視線だけ合わせるとニコリと微笑し、特に反応はせずにリリーに何かを渡して説明をしている最中のようだった。
リリーはまだ僕達に気付いていない。如何にも怪しい取引現場を目撃した。と言う雰囲気にも見え、リリーが受け取った小瓶も何やら桃色にきらきらしており、如何にもただの薬には見えない。
「リリー、面白そうな事をしていますね、私も混ぜてもらっても良いですか?」
「ふぁッ!! テオ!?」
ドスの効いたテオの声に思わず両手を挙げて盛大に驚くリリー。余っ程予期せぬ出来事だったようで、異様な驚きぶりにこっちまで反射的に吃驚してしまったが何かが飛んできて反射的にキャッチしていた。それは、コルクで首を傾げそうになったが、リリーの声にそちらに向き直った。
「ふぁああ!? テオごめっ大丈夫? え、うそ」
「ッ……何ですか、これ甘……」
しかし、その拍子に真後ろにいたテオはそのリリーが持っていた小瓶の中身がぶち巻かれダイレクトに顔面に掛かってしまっていた。ポタポタと垂れる液体を払いつつ、袖で拭うテオ。
大慌てのリリーはしどろもどろに謝罪し、ハンカチでテオの頬を拭うが、直ぐにテオに止められ、ハンカチを貰い受け、テオは自分で拭き始めた。
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