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エピローグ

第37話 これからも

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「ちょっと三人とも、遅い!」

 扉を開けると、拗ねた顔の雪さんが待っていた。授業が長引いたせいで、今日は部室にくるのが遅れてしまったのだ。

「ごめんごめん。雪ちゃん、俺が遅くて寂しかった?」

 にやにやしながら、早瀬くん……ではなく、怜音くんが雪さんの隣に座る。
 早瀬くんの時も怜音くんの時も、デレデレしっぱなしなのは変わんないな。

「別に。それより今日は、みんなで大富豪大会するって約束でしょ」

 テーブルの上には既にトランプが用意されている。それだけでなく、こっそり持ち込んでいるお菓子も並べてあった。
 雪さん、すごく楽しみにしてくれてたんだ。

「まあまあ、落ち着いて。まだ十分、時間はあるよ」

 蓮さんが爽やかな笑みを浮かべる。ふわり、と香る柑橘系の匂いは、最近買ったというお気に入りの香水だ。
 最近、姫乃はほとんど毎日教室で過ごしている。たまに保健室で過ごしている時もあるけれど、このまま順調にいけば無事高等部へ進学できるそうだ。

「それにしても、最近暑いね。ここって、冷房つくの?」

 言いながら、天井のエアコンを見つめる。電気がつく以上、壊れていなければ冷房も使えるはずだ。
 とはいえかなり古い上に薄汚れているエアコンは、かなり効果が薄そうではある。

「どうだろう。さすがについてくれないと、いろいろと厳しそうだね」

 蓮さんが顔を顰めた。
 真夏に冷房が使えないなんて、かなりきつい。けれどそれ以上に、変身部の私たちにとっては汗をかくことが大問題だ。
 だって、メイクが落ちちゃうから!

「あ、そうだ! 俺、いいこと思いついたんだけど!」

 怜音くんが笑いながら両手を叩く。すぐに反応するのは雪さんで、なんだか、そんな二人の様子が微笑ましい。

「夏休み、変身部で合宿するっていうのはどう? 修学旅行は雪ちゃん、一緒に行けないし」
「それ、すっごくいい!」

 考えるより先に、私は頷いていた。
 この四人で合宿なんて、そんなの、絶対に楽しいに決まってる。

「でしょ? 俺、絶対雪ちゃんと同部屋がいい」
「それはおいといて、私も合宿は賛成」
「えー、おいとかないでよ。俺と雪ちゃんの仲じゃん」
「まだそんな仲じゃないでしょ」
「うんうん、そうだね、まだ、ね」
「あー、もう……!」

 うるさい! なんて怒りながらも、雪さんは楽しそうだ。
 前はもっと物静かでクールな雰囲気だったけれど、今はだいぶ違う。でもそれを、雪さんも楽しんでいる気がする。
 理想だって、日々変化していい。ここは、自由な場所だから。

「蓮さんはどう思う?」
「そうだね……」

 少しだけ考え込んだ後、蓮さんは優雅に微笑んで言った。

「海辺でバーベキュー、なんてどうかな?」
「大賛成!」

 想像するだけで楽しくなってくる。こんなに夏休みが楽しみなのは、生まれて初めてかもしれない。
 天使ももとしても、天野望結としても、今年の夏は最大限に楽しみたい。

 変身部は私にとって、本当に大好きな場所。
 日常の中にある、ちょっとした非日常。
 これからもずっと、ここで過ごす時間が続きますように。
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みんなの感想(5件)

清原紫
2024.11.17 清原紫

2章拝読しました!
部活ネームいいですね。ぐっと親密感が出てきましたね。こういうルールがあると秘密を共有している感じしますよね。

望結の悩む姿を見て、私も悩みました。なりたい自分ってどんな感じでしょうね。改めてそう聞かれると難しいです。
スケッチブックに書いたり、ウィッグやカラコンをどうしようか悩む姿が可愛らしいですね。

一緒に買い物につきあってくれる蓮さんは優しい・かっこいいですね。こんな王子様みたいな先輩いたらつい巻き込まれそうです。ウィッグなどを買いに来たときの描写はまるで見てきたのかと思わせる描写でした。さすがこはくさんです。

案外早くウィッグ決まりましたね。意外でした。でもカラコンはやっぱり迷いましたね。

改めて放課後変身部に入りましたね! よかったです。これからどうなるのでしょう?

八星 こはく
2024.11.20 八星 こはく

2章も読んでくださりありがとうございます!
部活ネーム、いいですよね! 読者さんが名前が多くて困らないかも悩んだのですが、せっかくなのでやっぱり名前もつけました!!

ありがとうございます!私はあまり上手く使いこなせなかったんですが、ウィッグは持ってます!
ピンク髪!というのはやっぱり可愛くて憧れなので、一目惚れ!のイメージです。カラコンって目に入れると印象も違うので、悩むだろうと……!!

これからの展開も楽しんでくれると嬉しいです♪

解除
清原紫
2024.11.09 清原紫

一章読み終わりました!!
そうかな、とは思いましたが委員長無事に変身部に入りましたね!
お願いした時に断られるかなとも思ってドキドキしたのですが、拍手で迎え入れられて私も嬉しくなりました。

八星 こはく
2024.11.11 八星 こはく

読んでくださりありがとうございます!
嬉しくなってくれて嬉しいです。自分から入部すると言えたことは大きな進歩かなと思っております!

解除
清原紫
2024.11.08 清原紫

1-3まで拝読しました。
すごく雰囲気があって楽しいです。変身部というユニークな名前と活動。それを知ってしまった優等生委員長が憂鬱になるところなど、実際にこんな子はいそうだなと感じました。自分を変えるってドキドキしますよね。そんな緊張感もあって素敵です。

八星 こはく
2024.11.09 八星 こはく

お読みくださりありがとうございます!
自分を変える話、好きなんですよね……!!褒めてくださって嬉しいです!!

解除

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