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第39話 メイド、領民たちと計画を練る
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「今日集まってもらったのは、この前話をした件についてだ」
ランスロット様がそう言うと、集まってくれた領民たちは真剣な顔で頷いた。
なかでも、サイモンさんは一際真剣な表情を浮かべている。
……私、こんなところに座ってていいの?
私が座っているのは、ランスロット様の真横。
この場ではかなりの上座だ。
メイドが座るような席じゃない。
「俺もいろいろと考えたが……」
ちら、とランスロット様は私へ視線を向けた。
そして、柔らかく微笑む。まるで、緊張しなくていい、と言ってくれているみたいだ。
「アリスが新しい発想をいくつもくれた」
ランスロット様の言葉で、みんなの視線が私に集まる。
その視線はどれも優しくて、メイドのくせに、なんて思っていそうな人はいなかった。
ここの人たちは、優しい人ばかりだわ。
街に出かけたからこそ、よけいにそれが分かった。
だからこそ私も、この村のためにできることを頑張りたい。
「今日はそれを皆に共有し、いろいろと考えたいと思ってな」
拍手が居間を包み込む。温かい空気に、私は自然と笑顔になった。
◆
私が考えていたことを一通り話すと、みんなはなるほど、と頷いてくれた。
それだけじゃなくて、みんなが楽しそうな顔をしていることが嬉しい。
レストランを作ること、この村を観光地として発展させるために動くこと。
私たちみんなにとって初めてのことだらけだ。
だからこそ、みんながわくわくしている。
「あの、領主様」
サイモンさんが手を上げ、ランスロット様が彼の名前を呼ぶ。
「レストランについてなのですが、曜日や日を限定して開くのはどうでしょう?」
「……日にちを限定?」
「はい。たとえば、週末限定、とか」
身振り手振りを交えながら話すサイモンさんは本当に生き生きとしている。
そもそもレストランを開くのが彼の夢なんだもの。当たり前よね。
「週末限定のレストランであれば、負担が少なく経営できると思うんです。
その、僕も他の仕事がありますし、それに、日を限定すれば、ヴァレンティンさんにも手伝ってもらえるかと思いまして」
私とは反対側のランスロット様の隣に座っていたヴァレンティンさんが、驚いたように目を見開く。
「私がですか?」
「はい。その、領主様や、ヴァレンティンさんさえよければ、ですが」
ヴァレンティンさんにはランスロット様の執事という仕事がある。
しかし毎日ではなくたまになら、レストランを手伝うこともできるのではないだろうか。
なにより、ヴァレンティンさんの作る料理は抜群に美味しい。
「どうでしょう?」
サイモンさんがそう言うと、ヴァレンティンさんはじっとランスロット様を見つめた。
「お前の好きにするといい。……いや、やってみたらどうだ、ヴァレンティン」
「坊ちゃん……」
「……ここで坊ちゃんはやめろ」
そう言いながらも、ランスロット様の表情は優しい。
「お前もやってみたいんだろう?」
「……ええ」
ヴァレンティンさんはゆっくりと頷いた。
そうよね。あれだけ美味しい料理を作れるんだもの。
レストランで振る舞える機会があったら、挑戦してみたいと思うはずだわ。
「安心してください、ヴァレンティンさん。ヴァレンティンさんがいない間は、私がちゃんとご主人様のお世話をしますから!」
「ありがとうございます。……食事だけは、私が作り置きしておきますが」
ヴァレンティンさんの言葉に、ここにいる全員が大笑いした。
こんなに笑わなくてもいいじゃん! まあ、正直料理を作っておいてくれるのはありがたいんだけど。
「ああ。アリスがいれば安心だな」
ランスロット様はそう言いながら、一瞬だけサイモンさんに視線を向けた気がした。
もしかして、牽制しているのだろうか。
相変わらず嫉妬深いわね。
「日を限定するなら、週末だけ、というのが分かりやすいな」
ランスロット様が話を本題に戻す。
確かにその通りだろう。
「あとは場所だが……新しく建てるのは大変だ。いい案はないか?」
さっと手を上げてくれたのはマティスさんだ。
「村の端に、空き家があります。少し古いですが、片付ければきちんと使えるでしょう。
放置しておくのも悪いと思っていましたし」
空き家があるなんて知らなかった。
それに、かなりいいアイディアだと思う。
日本でも空き家問題、なんてたまに聞いたし、きっと空き家があるのはよくないことなのよね。
だったら、空き家もなくなって、お店も確保できて最高じゃない!
「それはいいな。片付けなら、村の人間でやれるな? 給料は俺が出そう」
太っ腹な領主様の発言に、みんなから歓声が上がる。
これで、レストランの場所も営業日も決まった。
あとは……。
「どうやって宣伝するか、だろう?」
私の考えていることなんてお見通しだ、とでも言いたげな顔でランスロット様は私を見つめた。
なんだか悔しいけれど、得意げな表情が愛おしい。
「はい。宣伝しなければ、そもそも店の存在を知ってもらえませんから」
この世界にはSNSなんていう便利なものはない。
そんな状況で、どうやって宣伝すればいいのか。
ネットがない状況で、流行りの店を知る手段……。
並んでいるところを実際に見るか、人から聞くかよね。
「……あ!」
私、いいこと思いついちゃったかも。
「宣伝なら、私に任せてください!」
ランスロット様がそう言うと、集まってくれた領民たちは真剣な顔で頷いた。
なかでも、サイモンさんは一際真剣な表情を浮かべている。
……私、こんなところに座ってていいの?
私が座っているのは、ランスロット様の真横。
この場ではかなりの上座だ。
メイドが座るような席じゃない。
「俺もいろいろと考えたが……」
ちら、とランスロット様は私へ視線を向けた。
そして、柔らかく微笑む。まるで、緊張しなくていい、と言ってくれているみたいだ。
「アリスが新しい発想をいくつもくれた」
ランスロット様の言葉で、みんなの視線が私に集まる。
その視線はどれも優しくて、メイドのくせに、なんて思っていそうな人はいなかった。
ここの人たちは、優しい人ばかりだわ。
街に出かけたからこそ、よけいにそれが分かった。
だからこそ私も、この村のためにできることを頑張りたい。
「今日はそれを皆に共有し、いろいろと考えたいと思ってな」
拍手が居間を包み込む。温かい空気に、私は自然と笑顔になった。
◆
私が考えていたことを一通り話すと、みんなはなるほど、と頷いてくれた。
それだけじゃなくて、みんなが楽しそうな顔をしていることが嬉しい。
レストランを作ること、この村を観光地として発展させるために動くこと。
私たちみんなにとって初めてのことだらけだ。
だからこそ、みんながわくわくしている。
「あの、領主様」
サイモンさんが手を上げ、ランスロット様が彼の名前を呼ぶ。
「レストランについてなのですが、曜日や日を限定して開くのはどうでしょう?」
「……日にちを限定?」
「はい。たとえば、週末限定、とか」
身振り手振りを交えながら話すサイモンさんは本当に生き生きとしている。
そもそもレストランを開くのが彼の夢なんだもの。当たり前よね。
「週末限定のレストランであれば、負担が少なく経営できると思うんです。
その、僕も他の仕事がありますし、それに、日を限定すれば、ヴァレンティンさんにも手伝ってもらえるかと思いまして」
私とは反対側のランスロット様の隣に座っていたヴァレンティンさんが、驚いたように目を見開く。
「私がですか?」
「はい。その、領主様や、ヴァレンティンさんさえよければ、ですが」
ヴァレンティンさんにはランスロット様の執事という仕事がある。
しかし毎日ではなくたまになら、レストランを手伝うこともできるのではないだろうか。
なにより、ヴァレンティンさんの作る料理は抜群に美味しい。
「どうでしょう?」
サイモンさんがそう言うと、ヴァレンティンさんはじっとランスロット様を見つめた。
「お前の好きにするといい。……いや、やってみたらどうだ、ヴァレンティン」
「坊ちゃん……」
「……ここで坊ちゃんはやめろ」
そう言いながらも、ランスロット様の表情は優しい。
「お前もやってみたいんだろう?」
「……ええ」
ヴァレンティンさんはゆっくりと頷いた。
そうよね。あれだけ美味しい料理を作れるんだもの。
レストランで振る舞える機会があったら、挑戦してみたいと思うはずだわ。
「安心してください、ヴァレンティンさん。ヴァレンティンさんがいない間は、私がちゃんとご主人様のお世話をしますから!」
「ありがとうございます。……食事だけは、私が作り置きしておきますが」
ヴァレンティンさんの言葉に、ここにいる全員が大笑いした。
こんなに笑わなくてもいいじゃん! まあ、正直料理を作っておいてくれるのはありがたいんだけど。
「ああ。アリスがいれば安心だな」
ランスロット様はそう言いながら、一瞬だけサイモンさんに視線を向けた気がした。
もしかして、牽制しているのだろうか。
相変わらず嫉妬深いわね。
「日を限定するなら、週末だけ、というのが分かりやすいな」
ランスロット様が話を本題に戻す。
確かにその通りだろう。
「あとは場所だが……新しく建てるのは大変だ。いい案はないか?」
さっと手を上げてくれたのはマティスさんだ。
「村の端に、空き家があります。少し古いですが、片付ければきちんと使えるでしょう。
放置しておくのも悪いと思っていましたし」
空き家があるなんて知らなかった。
それに、かなりいいアイディアだと思う。
日本でも空き家問題、なんてたまに聞いたし、きっと空き家があるのはよくないことなのよね。
だったら、空き家もなくなって、お店も確保できて最高じゃない!
「それはいいな。片付けなら、村の人間でやれるな? 給料は俺が出そう」
太っ腹な領主様の発言に、みんなから歓声が上がる。
これで、レストランの場所も営業日も決まった。
あとは……。
「どうやって宣伝するか、だろう?」
私の考えていることなんてお見通しだ、とでも言いたげな顔でランスロット様は私を見つめた。
なんだか悔しいけれど、得意げな表情が愛おしい。
「はい。宣伝しなければ、そもそも店の存在を知ってもらえませんから」
この世界にはSNSなんていう便利なものはない。
そんな状況で、どうやって宣伝すればいいのか。
ネットがない状況で、流行りの店を知る手段……。
並んでいるところを実際に見るか、人から聞くかよね。
「……あ!」
私、いいこと思いついちゃったかも。
「宣伝なら、私に任せてください!」
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