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第4話 メイド、溺愛される決意をする
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「ここが私の部屋か」
ヴァレンティンさんに案内された部屋は、私が秋葉原で一人暮らしをしていたマンションの部屋と同じくらいの広さだった。
たいして広い屋敷ではないが、私含め三人しか住民がいないため、部屋が余っているのだという。
「で、これがメイド服ね」
テーブルの上に、メイド服がおかれている。
丈は長くて、おそらく足首くらいまである。白いエプロンもシンプルで、あまり可愛いとは言えない。
「まあ、クラシカルメイド服も可愛いけど……」
正直、私の好みではない。
私が働いていたメイドカフェ・すうぃ~とふぉ~むかふぇのメイド服は膝丈だった。エプロンは白一色だったけれど、メイド服自体の色は何色かあった。
日によって変えていたものの、私は基本的にピンク色のメイド服を着ていた。
「アレンジしたいけど、私、裁縫なんてできないんだよね」
とりあえず、これを着て働くしかない。あまり気乗りはしないけれど、私ならどんなメイド服も似合うから大丈夫だ。
「とりあえず、今日はもう寝ちゃお」
ベッドに飛び乗る。マットレスは柔らかいし、布団からは太陽の香りがした。
目を閉じると、今日一日の疲れがどっと押し寄せてくる。
「めちゃくちゃよく眠れそう……」
瞼を閉じた瞬間、私の意識は睡魔に完全に支配された。
◆
「アリスさん! アリスさん!」
ゴンッ、ゴンッ、と激しく扉がノックされている。
慌てて飛び起きた私は、窓から差し込む眩しい日差しに目を細めた。
「はい、アリスです!」
返事をしつつ、窓の外を眺める。
だいぶ明るいけど……今って何時なのかしら?
そんなことを考えながら扉を開くと、ヴァレンティンさんが部屋の前に立っていた。
「ようやく起きたんですか……」
「ようやく?」
「何度も部屋をノックしたんですよ。疲れているだろうから休ませてあげようとは思っていましたが、まさか昼を過ぎても起きてこないなんて……」
「あ……」
どうやら私は、勤務初日から寝坊してしまったらしい。
でも、何時に起きろなんて言われてないし、目覚まし時計もないのに、どうやって起きればいいの?
私、早起きはめちゃくちゃ苦手なのに。
「こんなメイドは初めてですよ」
ヴァレンティンさんは、少々呆れているようだ。でも、怒っている感じはしない。
じゃあ……!
「ごめんなさい! 私、朝が苦手で……! でも、明日からはちゃんと起きれるよう、いっぱい頑張りますっ!」
とりあえず、笑顔でやる気を示しておこう。
もっと私がしおらしく謝ると思っていたのか、ヴァレンティンさんは驚いたような表情になった。
でも、すぐに目を細めて笑い出す。
「ええ。その調子で頑張ってください」
「はい!」
「アリスさんくらい元気がいい方の方が、坊ちゃんにも合うと思いますから」
褒めているのか貶しているのかはよく分からないけれど、まあいい。
「では、着替えたら一階へきてください。待っていますから」
「分かりました!」
扉を閉めて、メイド服へ着替え始める。
急いだ方がいいのかもしれないけれど、さすがに化粧はしなきゃ。
今日は私の、記念すべき初勤務日だ。精一杯、頑張ろう。
◆
「お待たせしました!」
元気よく居間の扉を開ける。
ランスロット様が昨日と同じ椅子に座っていて、隣にはヴァレンティンさんが座っていた。
どうやら、二人でお茶を楽しんでいたらしい。
使用人って言っても、ランスロット様とヴァレンティンさんはかなり距離が近いのね。
「はい。ずいぶん、支度に時間がかかったようですが……」
「ごめんなさい! なかなか準備ができなかったんです」
だって、化粧品はあったけれど、まだこの世界の化粧品には慣れていなくて、時間がかかってしまったのだ。
髪のセットは諦めてくしで整えただけにしたのを褒めてもらいたい。
「……寝坊したわりに、ずいぶん身なりが整っているようだが」
ぼそっ、と呟いたのはランスロット様だ。
「え? 可愛いってことですか?」
にっこりと笑いかけてみたが、全く効果はない。
それどころか、ランスロット様はいらいらしたように溜息を吐いた。
「ずいぶんと都合のいい耳をしているようだな」
「ごめんなさい、ご主人様が褒めてくれたのかと思ったら、嬉しくなってしまって」
ランスロット様がいらいらすればするほど、私の中の何かがメラメラと燃えてくる。
きっとここで凹んだり、泣いたりしたら、今までのメイドと同じだと思われるに違いない。
私、決めたわ。
私はここで、私なりのやり方で働く。
そして……。
このむかつくけれど超絶タイプな伯爵様に、溺愛されてみせるわ!
ヴァレンティンさんに案内された部屋は、私が秋葉原で一人暮らしをしていたマンションの部屋と同じくらいの広さだった。
たいして広い屋敷ではないが、私含め三人しか住民がいないため、部屋が余っているのだという。
「で、これがメイド服ね」
テーブルの上に、メイド服がおかれている。
丈は長くて、おそらく足首くらいまである。白いエプロンもシンプルで、あまり可愛いとは言えない。
「まあ、クラシカルメイド服も可愛いけど……」
正直、私の好みではない。
私が働いていたメイドカフェ・すうぃ~とふぉ~むかふぇのメイド服は膝丈だった。エプロンは白一色だったけれど、メイド服自体の色は何色かあった。
日によって変えていたものの、私は基本的にピンク色のメイド服を着ていた。
「アレンジしたいけど、私、裁縫なんてできないんだよね」
とりあえず、これを着て働くしかない。あまり気乗りはしないけれど、私ならどんなメイド服も似合うから大丈夫だ。
「とりあえず、今日はもう寝ちゃお」
ベッドに飛び乗る。マットレスは柔らかいし、布団からは太陽の香りがした。
目を閉じると、今日一日の疲れがどっと押し寄せてくる。
「めちゃくちゃよく眠れそう……」
瞼を閉じた瞬間、私の意識は睡魔に完全に支配された。
◆
「アリスさん! アリスさん!」
ゴンッ、ゴンッ、と激しく扉がノックされている。
慌てて飛び起きた私は、窓から差し込む眩しい日差しに目を細めた。
「はい、アリスです!」
返事をしつつ、窓の外を眺める。
だいぶ明るいけど……今って何時なのかしら?
そんなことを考えながら扉を開くと、ヴァレンティンさんが部屋の前に立っていた。
「ようやく起きたんですか……」
「ようやく?」
「何度も部屋をノックしたんですよ。疲れているだろうから休ませてあげようとは思っていましたが、まさか昼を過ぎても起きてこないなんて……」
「あ……」
どうやら私は、勤務初日から寝坊してしまったらしい。
でも、何時に起きろなんて言われてないし、目覚まし時計もないのに、どうやって起きればいいの?
私、早起きはめちゃくちゃ苦手なのに。
「こんなメイドは初めてですよ」
ヴァレンティンさんは、少々呆れているようだ。でも、怒っている感じはしない。
じゃあ……!
「ごめんなさい! 私、朝が苦手で……! でも、明日からはちゃんと起きれるよう、いっぱい頑張りますっ!」
とりあえず、笑顔でやる気を示しておこう。
もっと私がしおらしく謝ると思っていたのか、ヴァレンティンさんは驚いたような表情になった。
でも、すぐに目を細めて笑い出す。
「ええ。その調子で頑張ってください」
「はい!」
「アリスさんくらい元気がいい方の方が、坊ちゃんにも合うと思いますから」
褒めているのか貶しているのかはよく分からないけれど、まあいい。
「では、着替えたら一階へきてください。待っていますから」
「分かりました!」
扉を閉めて、メイド服へ着替え始める。
急いだ方がいいのかもしれないけれど、さすがに化粧はしなきゃ。
今日は私の、記念すべき初勤務日だ。精一杯、頑張ろう。
◆
「お待たせしました!」
元気よく居間の扉を開ける。
ランスロット様が昨日と同じ椅子に座っていて、隣にはヴァレンティンさんが座っていた。
どうやら、二人でお茶を楽しんでいたらしい。
使用人って言っても、ランスロット様とヴァレンティンさんはかなり距離が近いのね。
「はい。ずいぶん、支度に時間がかかったようですが……」
「ごめんなさい! なかなか準備ができなかったんです」
だって、化粧品はあったけれど、まだこの世界の化粧品には慣れていなくて、時間がかかってしまったのだ。
髪のセットは諦めてくしで整えただけにしたのを褒めてもらいたい。
「……寝坊したわりに、ずいぶん身なりが整っているようだが」
ぼそっ、と呟いたのはランスロット様だ。
「え? 可愛いってことですか?」
にっこりと笑いかけてみたが、全く効果はない。
それどころか、ランスロット様はいらいらしたように溜息を吐いた。
「ずいぶんと都合のいい耳をしているようだな」
「ごめんなさい、ご主人様が褒めてくれたのかと思ったら、嬉しくなってしまって」
ランスロット様がいらいらすればするほど、私の中の何かがメラメラと燃えてくる。
きっとここで凹んだり、泣いたりしたら、今までのメイドと同じだと思われるに違いない。
私、決めたわ。
私はここで、私なりのやり方で働く。
そして……。
このむかつくけれど超絶タイプな伯爵様に、溺愛されてみせるわ!
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