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魔国編
13 穢を消して
しおりを挟む虹色に輝く珠がセルティックに向かう
セルティックは、迫り来る珠に魔術をぶつけながら立ち上がり逃げようとするがそのまま珠はセルティックの中へと入るとセルティックは絶叫をしながら身体を丸めるように蹲った
「ガァーーーーーー !!!!」
「やめろ、やめろ、やめろ、いたい、やめろ、いたいやめろやめろいたいやめろやめろやめろーーー !!」
蹲ったセルティックの身体は徐々に真っ黒になっていった
全てが真っ黒になった時上半身だけ上げ背中を反らせ絶叫する…
顔があったであろう場所は目と口の部分だけ真っ白い空間になっていて…
口だったろう部分から「痛い」「やめろ」と繰り返し掠れしゃがれた声で叫ぶ姿は異様で恐ろしい…
真っ黒い影のようになってしまったセルティックから目線が離せず見ていればリオンがいつの間にか後ろに来て私を抱きしめ包み込み何か声をかけられる
いつもなら温かいと感じ幸福に感じられる瞬間なのに、今の私にはリオンの体温を感じる事も声をかけられ話しかけられた事も何もわからなかった
「『魂に光と休息を』」
かすかに聞き取れたのは二重に聞こえるその声だけで…私が唯一聞き取ることができた声だった
そしてその声が聞こえた瞬間、真っ黒のセルティックだったものは身体の真ん中辺りに光る虹色の玉に吸い込まれていき、シャボン玉が割れるようにパチンと小さな音を立て消えていった
カラン…カラカラカラ…カラ…
その場に響くのはゲームでセルティックが父親から認められ貰ったのだと嬉しそうに笑いヒロインに自慢する騎士の剣の落ちた音だけだった
私は何といえばいいのかわからない感情に包まれ涙がこぼれ落ちて行く
私が、ゲーム通りにしなかったからセルティックは穢などを纏うことになりあんな姿になってこの世界から魂ごと消されてしまったのでは…
そんな考えが頭に過ぎった時…私は掌が火傷しそうに熱くなった
「あつっ !!」
「リア !? 大丈夫か ??」
ずっと握っていた四神が封印されている魔石が火傷しそうなほど熱くなった為、咄嗟に魔石から手を離してしまった
地面に落ちると思っていた魔石はそのまま空中で漂いサキと呼ばれた誰かの元へ空中に浮かんだまま近づいていった
「あ、魔石が」
私は慌てて魔石に手を伸ばそうとすると鞄にまだ残っていた残りの魔石も少し輝き熱くなり勝手にアイテムバックから飛び出し同じ場所へ向かう
4つの魔石がクルクル回るようにサキの周りを回る、その様子にそこにいた者すべてが黙って見つめているとまた二重の声がまたその場に響いた
「『彼の世界の神獣よ、目を覚ましこの世界に力を貸し護って』」
そう慈しむような声が響いた後サキの身体から…、淡く光る不思議な力が魔石に流れ魔石は輝いていき「ピシリッピシピシ…」とヒビが入る音がし、やがて4つ全てが「パンッ !!」と割れる音が響いた瞬間、眩く輝き、輝きが収まった頃その魔石があった場所にいたのは全て3mはあるだろう大きな神獣…
真っ白く青模様が入ったトラ、白虎
紅く燃える鳥、朱雀
深い青で水を纏う龍、青龍
亀の様な体に蛇の尻尾、玄武
日本で見慣れた四神であり、あの日彼女に見せられた記憶にあった姿の者達だった
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