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獣国編

32 話し合い

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眩しくてぼんやりする頭を何とかしながらゆっくりとまぶたを開ければ、そこは見慣れない部屋の天井だった。
 
ここはどこだろう…
たしか、ヒロインたちに出くわしてリオンが助けに来てくれて…
ああ…リョダリの離宮だ。それから…

後の事を思い出しては私はボンッと音が鳴るくらいの早さで顔を真っ赤に染めリオとの諸事の事を思いだし悶えた。
そこでふと気づく、自分の身体がさっぱりしていていつもの諸事後のように思いというわけでもなく…勿論何もないわけではない…多少は腰や中…が違和感あるけれど…
えっとそれに、可愛い白のネグリジェを着ている。
誰が着せてくれたんだろうと考えていると部屋の扉が開いた、そちらに目を向けるとリオンがいた

「起きたか」
「うん、おはようリオン」
「ああ、おはよう」

そう言って額に唇を落とす。その行動に少し前の諸事の事を思いだしドキドキさせた

「少し無理させ過ぎたか ?」
「っ…だ、だ、だ、だいじょうぶ ですわ!!」

ついつい令嬢言葉になってしまった !!
ぃゃ…確かに激しくて気持ち良かったけど…って違う違う !!


私は顔を真っ赤にしながら視線をさ迷わせていると、クスと少し笑ったリオンはそのまま私を抱き上げ膝の上に座らせた。

「リ、リオン !? 何でひ、膝の上なの ??」
「ヒールで回復したとしても腰がたたなさそうだからな」
「ぅ、それは…」
「安心しろ今はしない」

いまはなの !? とツッコもうとした瞬間私の口のなかにマスカットをリオンが放りこんだ為黙って咀嚼した。
プチプチと弾力ある皮にジュワッと沢山の芳醇な果実のつまった美味しいマスカット…
それはとても美味しくて私はリオンに視線を向けた、きっと私はキラキラした目をしていたのだろう、口角を上げて口の中がなくなると次のマスカットを放り込んでくるリオン。
結局私がもう要らないと思うまでそれは永遠と続いた。

「今後の事だが」
「うん」
「リョダリから頼まれたことがある」
「なに ?」
「学園に留学という形で学園に通ってほしいそうだ」
「な、なんで !?」
「ああ、それが…」

リオンの言葉に大きな声で反応してしまったがその後の話を聞き唖然としてしまった

リオンいわく、リョダリの側近達がスタンビートが終わった頃からある女生徒を囲みだしたらしい。
魅力でも使われているのかとそれ対策の魔道具を貸したが効果はなく話し合いをしたが聞く耳をもたない状態なんだとか…

ええー、ヒロイン退場してまた新たなヒロイン誕生…

「それって…つまり私に…」
「悪役になってほしいわけではないらしい」
「え、じゃぁなんで ??」
「原因捜索と対策をしてほしいらしい」
「つまり…その女性の事を調べるのと、引き離すのをしてほしいってこと ?」
「そうだ」
「…どのみち悪役令嬢になるかもしれないパターン…」
「俺も臨時講師として通うことになった」
「ええ !! っ !! 分かった、私も行く」
「セバスが獣化して常にリアについている」
「分かったわ」

リオンが行くなら私も行くと、いきこんで頷けばリオンは私の頬に唇を落とした後話を続けた。

「キールは聖地の調べものを頼んだ」
「え、キール様に ?」
「この世界にはない魔道具と知識があるため王宮に稀人としてリョダリが招待した」
「稀人」
「300年に一度そういう人物が現れると記録があるらしい」
「300…年…」
「記録があったのもリョダリがかなり古いものを調べ知ったことらしいが」
「召喚とは違うのね」
「召喚は神類(天使や悪魔)しかできない事で、稀人は迷い突然この世界に現れるものらしい」

異世界定番の召喚はこの世界では無理なの… ?初めて知った…
あれでもそうなると、ゲームでたまに見る契約精霊や契約魔獣の召喚はどうやってるの ??

そう悩んでいるとリオンが察したのか教えてくれた

「他世界と時空を繋げるのは並みの魔力や術式では出来ないが、同じ世界で魔力を共有しているものならば少ない魔力や簡単な術式で行うことはできる。簡単にいうならば転移と変わりないからな」
「そうなのね」

私は納得し頷いた。その時タイミングよくノックオンが聞こえた

「いいかな」
「はい」
「ああ」

開けて入ってきたのはこの離宮の主であるリョダリだった。私の顔を見た後チラリとベット周辺を見回し私たちに視線を戻し笑顔を見せた

休めたようで良かったよ」

ゆっくりの意味に色々入っていることを察しし私は真っ赤になってしまい慌ててリオンの胸に顔を埋めた。

「弄るなリョダリ」
「ははは。すまない、ところで話は」
「リアも了承した」
「助かるよ、今は生徒会も私一人で回していてね…とてもじゃないが手が回らなくて困っているんだ」
「まさか生徒会まで手伝えなど」
「流石にそこまでは頼まないよ、また生徒会として活動できるぐらいには彼等をちょぅ…いや、しつ…違った。正常にしてくれれば」
「はぁ、分かった躾とこう」
「助かるよ、リオン、それからマリー」

リオンとリョダリがポンポン話し合い決めていく。
途中不穏な言葉を聞いた気が…否、聞いたが気にしては敗けだと気にしないことにする、するとリョダリから声をかけられたがリョダリが両親しか呼ばれないマリー呼びをし、私達にとって馴染みある前世の名前、雪と呼ばないことに頭をかしげるとリョダリが苦笑した。

「リオンに怒られてね、前世の名前は俺だけ知っていればいいし呼べるのも俺だけでいいって」
「え ? 」
「間違えて名前を呼びそうになると殺気を込めて睨んでくるからね。譲歩してマリー呼びにさせてもらった」
「黙れリョダリ」
「こんな感じなんだ、だからこれからはマリーと呼ばせてもらうことにした。改めてよろしくねマリー」
「分かりましたわ、よろしくお願いします」

リオンの膝に乗ったまま私はお辞儀した。その後留学、もとい躾計画会議を三人で始めたのだった。
勿論、私はずっとリオンの膝の上だったのはいうまでもない

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