(R18) 悪役令嬢なんて御免です!

ねねこ

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獣国編

25 未来と拘束

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「んっ…ふっ、ん…はぁ」
「はぁ、リアまだだ」
「ん、まっ、まってリオン」
「なんだ」

キスをし続けようとするリオンの胸を押し距離をとろうとする。
けれどリオンの手は私の腰と背中をがっしり囲っていて距離をとることができなかった。

「ヒ、彼女は ??」
「ちっ…」

今舌打ちしたよ…
何とか解放してもらおうと唇を隠していればリオンは諦めて少し離れた。といっても腰に手を回したまま横に立ちヒロインがいる方に視線を送った。
そこには球体の蔦のようなものがあった。

「あれは… ?」
「少し前にリョダリに預かった、捕獲用魔道具だ」
「捕獲用って…」
「元々は魔獣はぐれ用の捕獲魔道具らしいが…あんな風になるとはな」
「ええー」

蔦の球体を見ながら詳しく聞いてみれば、今回スタンビートで国に帰る時渡されたらしい。試作品とかで試しに使ってみてくれとの事…
いや、彼女人間なんだけど…
そんな考えを読んだのかリオンが鼻で嗤った

「盛り常識の分からん奴は獣と同じだ」
「でも」
「そもそも奴は罪人だ、リアが気にすることはない」
「うん…」

暫くするとセバスさんやキール様が帰ってきた。

「坊っちゃん、お待たせしました」
「お二人とも大丈夫ですか ?」
「セバスさん、キール様」
「ご無事でよかったです。マリアン様」
「はい…」
「目が真っ赤になっておりますね。[ヒール]」

セバスさんが私の目に手を少し当て詠唱するとホワリと暖かいものが目に当たり痛く重かった目や身体が軽くなった。その後蔦の檻を観察し始めた

「これが渡された新しい魔道具ですか」
「すごいですね。[拘束バインド]に[吸収インバイン]、[消音サイレント]、[術封じケンティム]ですか」
「え…そんな凄いやつなの」
「拘束し攻撃できないよう術封じしなお魔力を吸収し騒いでも大丈夫な様に中の音を消す。そんな術式が見えます」
「ええー(えげつない)」
「さて、このまま焼き尽くすか」
「待って、リオン待って !!(怖いわ !! )」
「ちっ…」
「とりあえず、何故このようなことをしたのか聞いてみましょう」
「解くのか ?」
「一部だけうまくどけましょう」

キール様がそう言うと蔦の球体に顔一つ分だけの穴が開き、そこからヒロインが顔を急に出してきた。

「何するのよ !!」
「マリアンに危害を与える奴になにも言う資格などない」
「はぁ !! リオンは私の事好きになったんでしょ !?」
「はっ、そんなことある分けないだろう」
「なら、ならなんでこの<翠縛の首飾り>をくれたのよ !!」
「それは魔獣捕獲用の魔石で作られたものだ」
「な、によそれ…」

翠縛の首飾り…それはゲームで好感度の高い攻略キャラから渡されるアイテムの一つ。束縛の意味がある首飾りだ。確かに前世の記憶があればリオンが自分を好きになったと思い込むわ…それが実はあんな物だった…私は少しだけヒロインを哀れに思い見つめてしまった。
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